バッテリー切れは、バイクで頻繁によくあるトラブルだけに、解決法を知っておくと安心だ。今回はクルマからブースターケーブルで充電する方法を紹介。昔からあるポピュラーな方法で、モバイルバッテリーを持ってない人や、出先で救援してもらう際に有効だ。

ブースターケーブルでの救援は昔ながらの手法

久々にバイクに乗ろうと思ったら、バッテリーが上がってエンジンがかからない! なんてことはよくある。ちょっと年季が入ってバッテリーが弱っている愛車ならなおさらだ。
復活させるには、元気なバッテリーをつないで救援する「ジャンプスタート」、「バッテリーを外して充電器で充電する」、「ロードサービスを呼ぶ」などの方法があるが、メジャーで手っ取り早いのはジャンプスタートだろう。
ちなみにバッテリーが完全に上がった場合、キャブ車なら「押しがけ」が可能だが、電磁ポンプに電力が必要なインジェクション車はまず無理だ。

ジャンプスタートにも複数のやり方があり、近頃は、コンパクト&低価格化が進んだモバイルジャンプスターターがメジャーになってきた。

バッテリー上がりでもエンジン始動 ! ジャンプスターターは必需品!

モバイルジャンプスターターはバッテリー切れのバイクにつなぐだけで充電できるのに対し、ブースターケーブルは、救援車としてバッテリーが元気なクルマやバイクが必要だ。
ややハードルが高く感じるが、ケーブルを使うメリットとしては、価格が安いこと。モバイルジャンプスターターが3000~5000円に対し、ブースターケーブルは低価格な製品なら1000円以内から買える。
また、モバイルジャンプスターターは事前に充電しておく必要があるが、ケーブルの場合は不要。出先で仲間や通りがかりの人に救援してもらう場合も、ケーブルなら積んである確率が大きいだろう。

ただしケーブルの接続に若干手間がかかり、つなげる順番を覚える必要がある。昔ながらの方法だが、ライダーなら覚えておいて損はないはずだ。

「許容電流値」がケーブル選び最大のポイント

様々なタイプのケーブルが販売されているが、選ぶ際に最も重要なのは許容電流値。ブースターケーブルは、商品によって流すことが出来る最大電流が決まっており、 車種に必要な電流を流せるケーブルを使用しなければ、エンジンを始動できない。それどころか電流値が小さいと、ケーブルが発火する危険性があるのだ(電流値が高い分には問題ない)。
電流値50A以下は400ccまでのバイクや軽自動車、電流値80Aは大型バイクや2000cc程度の乗用車、電流値100Aは乗用車やトラックに対応。80~100Aを選ぶと使える範囲が広がっていいだろう。

ケーブルの長さは、故障車と救援車のバッテリーを近づけられることが条件となるが、たいてい3mもあれば十分。それ以上の製品はより様々な状況に対応できるが、運搬を考えると思いのほかかさばってしまう。

クリップに関しては、大きすぎても小さすぎても使いにくい。バイク側のバッテリーは端子が小さく、クルマ側のバッテリーは端子が大きいため、上手く挟み込めない場合がある。

ブースターケーブル

↑筆者のブースターケーブル。プラスが赤、マイナスが黒く塗色された2本1組のコードとなる。端はワニ口クリップで、故障車と救援車それぞれのバッテリー端子に接続する。

グルッと「赤赤黒黒」でケーブルをつなぐ

では、バッテリーが切れたバイクに、クルマ(救援車)から充電する手順を見ていこう。

ブースターケーブルを使う際、重要なのはつなげる順番。筆者も経験があるのだが、順番を間違えるとケーブルのクリップから火花が出てしまう。
恐ろしいのは、バッテリーへの引火だ。バッテリーは開放型でもMF型でも、充電中に水素が外部に放出される。この水素にブースターケーブルの火花が引火すると爆発する恐れがあるのだ。また、救援車のヒューズが飛んでしまう可能性もある。
くれぐれも順番を守って接続してほしい。

① バッテリーが上がったバイクのバッテリー(プラス 赤)にケーブルを接続。

② 元気なクルマのバッテリー(プラス 赤)にケーブルを接続。

③ クルマのバッテリー(マイナス 黒)にケーブルを接続。

④ バイクのエンジンブロックかフレーム(アルミは不可)に黒ケーブルを接続する。つなげる時は、充電される側から一筆書きのように「赤赤黒黒」とつなぐと覚えておこう。

⑤ ケーブルのつなぎ方を確認し、クルマのエンジンを始動。

⑥ バイクのメインキーをONにし、ギヤがニュートラルなのを確認してからセルを回す。

⑦ エンジンがかかったら、先ほどと逆の順にケーブルを外す(バイクのマイナス→クルマのマイナス→クルマのプラス→バイクのプラス)。

なお、始動できたからと言ってすぐにエンジンをOFFにするのではなく、そのまま30分以上走行するのがオススメ。これで弱っていたバッテリーに充電することができる。

ただし一度バッテリー上がりすると、バッテリーの性能はダウンしてしまいがち。数日でセルが弱くなったり、再びバッテリーが上がってしまうなら、バッテリーの新品交換を考えたい(充電系に異常がある可能性も)。バッテリーの交換時期は、一般的に3年程度だ。
なお、バッテリーを取り外す際もマイナス(黒)が最初。プラス(赤)から外すとショートしてしまう。

ハイブリッド車は救援NG!

ハイブリッド車では他車を救援できないことも覚えておこう。ハイブリッド車には、高電圧(200V以上)の駆動用バッテリーと、12Vの補機用バッテリーがあるが、どちらとつないでも救援車のエンジンがかかった瞬間に大きな電流が流れ、ハイブリッド車の電装系やユニットを故障させる恐れがある。

ブースターケーブルによるジャンプスタートは、バッテリー上がりを解消する王道の手法。知識として覚えておけばトラブル解決の幅が広がるはずだ。

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