官能トルクの新機軸エンジンでモーターサイクルの世界に旋風を巻き起こしたヤマハMT-09が、さらに魅力を増したユーロ5時代対応の第3世代に進化して登場。ディテール写真を見ながらその特徴を解説する。
●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:長谷川徹/真弓悟史 ●外部リンク:ヤマハ
エンジンとフレームを刷新。電子制御も進化した
’14年の登場から初となるフルモデルチェンジを果たしたMT-09。エンジンはストロークアップによる排気量43cc増で4psのパワーアップを実現したが、エンジン高は拡大せず、同時に軽量化も果たしている。
フレームも完全新設計で、最新のCFアルミダイキャスト技術によって最低肉厚は1.7mmに。エンジン搭載角を47.5度から52.3度へと立て気味にし、コンパクト化とディメンションの最適化を行なった。
また、鍛造並みの強度と靭性のバランスを実現したスピンフォージド鋳造ホイールを採用。電子制御はバンク角連動のトラクションコントロール、旋回をサポートするスライドコントロール、ウイリー抑止のリフトコントロールを盛り込み、それぞれ調整とON/OFF設定が可能だ。
MT-09の特徴ストロークアップした新型エンジン |
【YAMAHA MT-09】エンジンとフレームを刷新した、ヤマハを代表する3気筒ネイキッドスポーツ。先代比で約4kgの軽量化を果たし、電制も充実した。●色:灰 青 暗灰 ●価格:110万円
[左]バイファンクションLEDのモノアイを採用し、独特な小顔でタンクやエンジンまわりの抑揚が際立つ。タイヤはBSのS22だ。[右]ナンバープレートホルダーはスイングアームから一般的なシートレールマウント に。細身のウインカーなど灯火類はフルLEDだ。
【排気量向上と慣性マスを増量しながら1.7kg軽量化を達成】ユーロ5適合となったエンジンは3mmのストロークアップにより888ccに。最高出力4ps、最大トルク0.6kg-mを上乗せしつつ低中速トルクを太らせた。ギヤ比は1/2速をロング化。
軽量CFダイキャスト製フレームと新シートレールは2.3kgの軽量化を達成。ニーグリップ部の絞り込みはお見事!
左右シンメトリーのサイレンサーは1.5段膨張室を採用。排気口は下向きで、路面からの音の反射を含めたサウンド設計を実施。
STDは前後にKYB製アジャスタブルサスペンションを採用。フロントブレーキにはラジアルマウントのモノブロックキャリパーを奢る。
鍛造ホイールに匹敵する強度と靭性のバランスを達成したスピンフォージド鋳造ホイールを採用。先代比では前後で約700g軽くなった。
バイファンクションLEDは1灯でHi/Lo切り替え可能。ヤマハのYをモチーフにしたポジションランプを備え、極端なまでに小顔。
MT-09もハンドル位置とステップ位置を2段階に調整可能。ラジアルマスターシリンダーやテーパーバーの採用はトレーサーと同様。
ETCインジケーター機能付きのコンパクトなフルカラーTFT3.5インチメーター。シンプルなコックピットで視界は広々。
燃料タンク容量は14Lで、WMTCモード燃費はトレーサーと同じく20.4km/L。計算上の航続距離は285kmほどになる。
モタードを思わせるダブルシートは初代からの特徴。こちらは調整機能なしだが、スリムなため足着き性はトレーサーに勝る。
薄型シートに合わせたLEDテールランプは、トレーサーと異なる“Yモチーフ”の独自デザイン。細身のウインカーは共通デザインだ。
上級バージョンのSPは足まわりを強化
【YAMAHA MT-09SP】●色:黒 ●価格:126万5000円
サスペンションは前後とも専用で、倒立フォークはDLCコートしたKYB製。リヤはオーリンズ製だ。
仕上げに凝りまくったバフ&クリア塗装のスイングアーム。グッとレーシーな雰囲気に仕上がっている。
塗り分け塗装のタンクはセンターにシルバーを配し、フラッグシップモデルのYZF-R1Mイメージに。
シートはダブルステッチを施した専用表皮を採用。スエード調のしっとりした触感だ。
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