’22年2月、いよいよ発売されたヤマハ入魂の新生「YZF-R7」。MT-07をベースとしたミドルクラスの並列2気筒フルカウルスーパースポーツは、普通二輪免許クラスからのステップアップに最適というだけでなく、かつてレーサーレプリカに熱狂した世代に刺さるモデルとしても注目を集めている。本特集では、同じ排気量帯に属するライバルメーカーのフルカウルスポーツモデル×3台(アプリリアRS660/ホンダCBR650R/カワサキ ニンジャ650)を連れ出して、それぞれの車種が持つ特徴やYZF-R7との違いについて徹底検証&極寒のストリートテストを敢行した。本記事ではスペック比較として、ライディングポジションと主要装備を見比べよう。

●まとめ:ヤングマシン編集部(田宮徹) ●写真:長谷川徹 真弓悟史 ●外部リンク:ヤマハ アプリリア ホンダ カワサキ

ライディングポジション

’22 ヤマハYZF-R7:超戦闘的な王道のSS系ポジション

シート高はかなりあるが、足つき性を高める配慮がされていて、両足の母趾球まではしっかり接地。ハンドルは低めで、かなりの前傾姿勢となる。正統派のスーパースポーツといったライディングポジションだが、シートとハンドルの位置が遠すぎないので、それほど窮屈感はない。ステップも高めにセット。
▲テストライダーは身長168cm/体重61kg( 以下同)
ハンドルは低めで、さらに垂れ角と絞り角が多めに与えられている。シート高は835mmもあるが、シート前方や燃料タンクはかなり絞られていて、これにより足つき性が高められている。

’22 アプリリアRS660:ストリートも配慮したハンドル設定

ハンドルはシートに対してそれなりに低い位置にあるが、垂れ角や絞り角は少なめ。全開で攻めたときにはもう少し前傾姿勢になりたいが、公道走行では意外と楽チンでもある。シートやフレームと太ももが干渉するため、両足のつま先が接地する程度の足つき性。ステップ位置は高めだ。
シート高は820mm。シートが幅広で硬くフレームの張り出しもあるため、足つき性は悪い。ただしこのシート、ライダーがハングオフなどの体重移動をしたときにはホールド性がいい。

ホンダCBR650R:スポーツツアラーらしい適度な前傾

両足のかかとがやや浮く程度の良好な足つき性。ハンドル位置が低いというよりは遠いことに由来して、それなりの前傾姿勢となるが、ハンドルの垂れ角は少なめなので、市街地走行でも疲労は少ない。ステップ位置もそれほど高くはなく、フルカウル4気筒モデルだがSSというよりはツアラー寄りだ。
810mmのシート高ながらシート前方がかなり絞られているため、足つき性ではRS660とはかなりの差がある。ハンドルはフロントフォークの奥側を起点とし、絞り角が多めに与えられている。

カワサキ ニンジャ650:かなりアップライトでネイキッド的

シートは低くてハンドルは高め。これにより、上半身がかなり起きたアップライトなライディングポジションとなっている。ステップ位置も、シートに対して前側にある。足を着いたときにステップとふくらはぎが干渉しやすいが、それでも両足の裏が完全に接地。ルックスとはやや合わないが、とにかく楽チンだ。
トップブリッジの上側に、左右が一体化したセパハン風のハンドルを装備する。シート高は、今回の4機種ではもっとも低い790mm。しかも、ライダー側シートの前方はかなり絞られている。 

メーター&ライト

ヤマハYZF-R7:価格低減を図りながら新作パーツも多数導入

新作のメーターは、ネガポジ反転表示のモノクロタイプ。バックが漆黒に見えるようこだわって設計されている。もちろん、公道での使用に欠かせない燃料計/時刻/ギヤ段数の表示機能もある。
灯火類は当然のフルLED仕様。新気を取り込むM字ダクト内に、バイファンクション式のLEDヘッドライトを配置するのが斬新だ。その左右にLEDポジションランプもある。

アプリリアRS660:ゴージャスな装備で所有満足度も高める

カラーTFTメーターを搭載。5タイプのライディングモードを備え、公道用とサーキット用でメーターの表示デザインも切り替わる。オプション追加により、スマートフォンとの連携も可能な高性能型だ。
DRL(デイタイムランニングライト)を採用。昼間はヘッドライトを囲むようなライン状のDRLのみで走れる。暗くなると自動でロービームに切り替わり、DRLは減光される。

ホンダCBR650R:シンプルにまとめつつルックスと機能を追求

反転表示のモノクロメーターは、表示面を縁まで透明アクリルで覆うことで液晶サイズを最大化。ギヤポジションインジケーター/水温計/エンジン回転数ピークホールドなどの表示機能がある。
こちらも灯火類はフルLED仕様。ヘッドランプはデュアルタイプとしてCBRシリーズの血統を感じさせるフェイスに。テールランプはコンパクトにまとめてある。

カワサキ ニンジャ650:車両本体価格は低いがカラーメーターを採用

4.3インチのTFTカラー液晶ディスプレイを採用。背景色は白または黒から選べる。平均速度やアワーメーターや電圧計など、表示項目はかなり多彩。さらにスマートフォンとの接続機能も標準装備する。 シャープなツインLEDヘッドライトは、左右それぞれにロービームとハイビームとポジションランプを内蔵。LEDテールランプはX字状に点灯して、高い被視認性を誇る。

ユーティリティ

ヤマハYZF-R7:本格的デザインを優先

テールカウル左右にダクトが設けられた、スーパースポーツのトレンドデザインを用いているため、タンデムシート下の収納スペースはかなり小さい。便利なヘルメットホルダーは標準装備される。

アプリリアRS660:意外と利便性は高め!

ライダー側シートの下には、スーパースポーツとしては比較的大きめな小物入れがある。タンデムシートを取り外すと、コードロープなどを掛けるのに活用できる小さなホールが出現するのも嬉しい。※試乗車はアクセサリーのシングルシートカバーを装着。

ホンダCBR650R:ツアラー要素も感じる

ETC車載器はオプション扱いだが、シート下収納部にはやや余裕があり、問題なく収まりそうだ。車載工具もそれなりに充実。タンデムステップが荷掛けフックとして使いやすい位置にある。環状バンドもあり。

カワサキ ニンジャ650:ETC2.0車載器を装備

車両価格は抑えられているが、ETC2.0車載器を標準装備していて、タンデムシート下に本体が収められている。ヘルメットホルダーもあり、タンデムステップはコードロープが掛けやすい構造だ。 

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