各メーカーからトラッカー&ストリートモデルが多数リリース! それはまるで「雨後の筍」状態!?
さて、トラッカーブームのピークは2000年、TBS系列のドラマ「ビューティフルライフ」で木村拓哉さんが水色のTWカスタムに乗ってから。これでTW人気は不動のものとなり、さらにその後、各メーカーからニューモデルとしてストリートバイクが多数リリースされた。
たとえばグラストラッカー・ビッグボーイは、タイヤにこのモデル専用サイズのダンロップK180を採用するほどで、各メーカーの力の入れ具合がわかるというもの。ちなみにダンロップからは当時、TW200/225に装着できるK180も発売されていた。まさに1億総トラッカー時代だったのだ!(言い過ぎ)
グラストラッカーは純然たるトラッカースタイルだが、その後はトラッカー以外のストリートバイクも数多く発売された。250ccクラスで特に人気を博したのがカワサキ・250TRで、他にもホンダ・XL230やヤマハ・トリッカーなど、個性的なモデルが数多く発売されたのだ。
そうして「ビューティフルライフ」の放送から1〜2年で、TW人気は徐々に勢いを失っていったが、スクランブラースタイルの250TRやトラディショナルなエストレヤ、独自性の強いトリッカーなど、トラッカー以外の広義のストリートバイクは、その後も人気を維持し続けていた。むしろトリッカーはつい先日まで現行モデルとしてラインナップされていて、いちブームとしてのストリートバイクを超えた支持を集めるに至っている。
400ccクラスではSR400のカスタム人気が爆発!
また400ccクラスでは、王者ともいえるヤマハ・SR400を筆頭に、ホンダ・CL400やその後継機ともいえるCB400SS、カワサキ・W650/400などが発売された。
しかし、そのなかでもSR400が圧倒的な人気だったことは、言うまでもないだろう。
さて、そんなSR400だが、ストリートバイク/トラッカーブーム以前のSRカスタムといえば、ほとんどがカフェレーサーだったのだが、90年代後半からトラッカーカスタムが急増。トラッカー/ストリートバイクブームは、SRのカスタムベースとしての懐の深さを知らしめる結果となった。
ちなみにこの後、SRカスタムはチョッパーやVMX(ヴィンテージモトクロッサー)など、さらに多様化を進めていくのだが、その話はまた機会があったときに……。
250ccクラスは群雄割拠という言葉が相応しいモデルラインナップだったが、400ccクラスは良くも悪くもSR400の独壇場。この頃、CB400SSやW400の人気がもうちょっと高ければ、いまの400cc中古車市場はもっと面白いことになっていただろうなぁ……。
そして歴史は繰り返す……
さて、歴史は繰り返すというか……レーサーレプリカの高性能主義への反動でネイキッド、アメリカン、そしてストリートバイクが支持されたのだが、2008年以降、さらにその反動によって人気を回復したのが「フルカウルスポーツ」。キッカケとなったのは、KAWASAKI Ninja250Rである。
しかし、Ninja250Rはかつてのレーサーレプリカのような性能至上主義ではなく、ビギナーにも優しい乗り味。街中でも苦労することなく乗ることができる。つまり、見方を変えれば、これらのモデルもまたストリートバイクといえなくはない。いや、これはもう、ストリートバイクだ!
そう、僕が大好きなストリートバイクとは、レーサーレプリカやネイキッドなどとは根本的に異なる点がある。レーサーレプリカやネイキッドがバイクのジャンルを表すのに対し、ストリートバイクとはカルチャーを指すということ。だからこそ、トレールだったTWがストリートバイクになりえたし、トラディショナルなシングルスポーツ・SRもまた、ストリートバイクの王者となったのだ。
トラッカーは正直、20年前に比べれば随分減ってしまったけれど、「街中でバイクをかっこよく乗りたい」……そう思う若いライダーがいる限り、じつはストリートバイクというジャンルは、決して廃れてなんかいないのだ。
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