スズキは、新型GSX-S1000の派生モデルで、従来のGSX-S1000Fの後継モデルに当たるブランニューのスポーツツーリングマシン「GSX-S1000GT」を世界同時発表。ネイキッドモデルのGSX-S1000と同様の新世代を感じさせるデザインに生まれ変わり、各種電子制御やスマートフォン接続機能など装備も充実だ!
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
アップハンドルのスーパースポーツから、正調スポーツツーリングモデルへ
スズキが発表したブランニューモデル「GSX-S1000GT」は、従来のGSX-S1000Fの後継モデルではあるが、車名をF→GTに変えるとともに、よりロングツーリング適性を高めた新生スポーツツーリングだ。デザインは外国車を思わせるエッジの利いたものとなり、より上半身が起き上がったライディングポジションはまさしく“GT(グランドツアラー)”を体現している。
2015年にローンチされた現行GSX-S1000Fは、2005年型GSX-R1000(通称K5)ベースのエンジンを搭載したスポーツツーリングモデルだったが、その乗り味はかなりスポーティで、積載性もそれほど重要視されておらず、言うなれば“アップハンドルのスーパースポーツ”に近い立ち位置だった。
現行2020年モデルのGSX-S1000F。独自性の強いデザインにスポーツ性重視のキャラクターが持ち味だ。 国内仕様■148ps/10000rpm 10.9kg-m/9500rpm 214kg 17L シート高810mm ●価格:120万7800円 ●色:黒、白、黒×青 |
これがライバルのニンジャ1000SXなどに対する違いとして個性を際立たせていたが、今回のモデルチェンジではライディングポジションの見直しにはじまり、パッセンジャーの快適性、荷物の積載性などを向上しており、従来の長所を生かしたまま幅広いライダーに受け入れられる万能性を持たせたスポーツツーリングモデルに生まれ変わったと言えそうだ。
同じ左右2灯でも、雰囲気は大きくチェンジ!
スタイリングは新型GSX-S1000に通ずるシャープなデザインになり、大ぶりになったウインドスクリーンやマッシブなサイドパネル、そしてコンパクトなテールセクションによってマスフォワードの力強い出で立ちに。左右に配置したモノフォーカスLEDヘッドライト(KOITO製)は、光源から直接レンズに光が向かうタイプとすることで、コンパクトながら十分な光量を確保。その上にはライン状のLEDポジションランプがあり、アグレッシブな表情を作り出す。
ライディングポジションはシート位置、ステップ位置を従来通りとしつつ、ハンドルグリップ位置をライダーに14mm近付け、さらに左右グリップ間は23mm広がった。これによりライダーは上半身が少し起き上がり、リラックスしたライディングポジションが可能に。パッセンジャーには新たにグラブバーが標準装備(従来はオプション設定もない)され、シートも快適性を増した形状&大きさの専用パーツになった。ステップはライダー&パッセンジャーともラバー付きを新採用し、フローティングマウント式ハンドルバーとあいまって振動対策もバッチリだ。
ライディングポジションは図のように変化。従来通りの優れた足着き性はキープしつつ、上半身はよりリラックスしたものになった。
新型のフロントカウルとウインドスクリーン、バックミラーはトータルでの空力に配慮したもので、幅広になったスクリーンは左右端の形状を工夫することで風の巻き込みを大幅に軽減。従来のハンドルマウントからカウルマウントになったミラーは、ライダーの手元への風もコントロールする。カウルの内側、アンダーブラケットの下にはカバーが設置され、ライダーの顔に目掛けて抜けてくる風をシャットアウトした。
カウル左右やメインキーには新たに『GSX-S GT』のロゴを制作。車体色はメタリックトリトンブルー、メタリックリフレクティブブルー、グラススパークルブラックの3色だ。2021年10月より世界各国で順次販売を開始するとしており、日本への導入にも確実と見ていいだろう。
なお、英国における価格は1万1599ポンドと発表されていり、ネイキッド仕様の新型GSX-S1000は1万999ポンドである。すでに発売済みの日本仕様GSX-S1000は143万円であり、価格比で計算すると、日本へのGSX-S1000GT導入の暁には約150万8000円という、意外にも思える予想価格が算出できた。……待て続報!ライドバイワイヤシステムを核とした、S.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)と呼ばれるライディングモードを新採用し、双方向クイックシフターやクルーズコントロールも新設。トラクションコントロールシステムは3段階+OFF→5段階+OFFに進化した。メーターは6.5インチフルカラーTFTになり、左手元のスイッチも充実。スズキイージースタートシステムやローRPMアシスト(進化版)も引き続き採用する。また、新たにUSB充電ポートを設けたほか、スマートフォンにインストールしたスズキ“mySPIN”アプリ(iOS&Android)にBluetoothまたはWi-Fiで接続することで、電話機能やナビ、音楽(ヘッドセット別売)、カレンダーなどが使用できるようになる(※日本仕様への導入は未発表)。新作ヘッドライト。左からライトOFF、ロービーム、ハイビームだ。ウインカーも細身のLEDを採用。
傑作と呼ばれ続けるK5ベースの並列4気筒エンジンや最新の電子制御、新作シートフレーム採用の車体、アップデートされたサスペンションなどについては関連記事で解説する。
SUZUKI GSX-S1000GT[2022 model]
主要諸元■全長2140 全幅825 全高1215 最低地上高140 軸距1460 シート高810(各mm) 車重226kg(装備)■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 999cc 152ps/11000rpm 10.81kg-m/9250rpm 変速機6段 燃料タンク容量19L■キャスター25°/トレール100mm タイヤサイズF=120/70ZR17 R=190/50ZR17 ※諸元は欧州仕様
※欧州仕様の現行GSX-S1000Fは150ps/10000rpm、11.02kg-m/9500rpmで、国内仕様とは表記が異なっている
Metallic Triton Blue
Metallic Reflective Blue Glass Sparkle Black
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