個人売買にありがちな事例を再現したNG車と、正常車を乗り比べ、中古車選びの難しさを実感した前編。後編では、どうすれば賢い買い物ができるか考えてみた。
取材協力:ヤングマシン
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信頼できるショップから買うのが間違いない
これまで試乗してきたとおり、中古車におけるエンジン出力やアライメントの異常などは、目視での判断が困難。体感でもわかりづらい上に、車検での点検義務もない。また、故障診断などの検査機を個人が入手するのは難しく、ショップや業者にしてもシャーシダイナモはまず導入していない。悪意のある売り手なら、不具合を隠したまま、NG車を正常車と同じように高額で販売してしまうだろう。
結論としては、やはり信頼できるショップから買うのが一番の近道だ。
つまり、厳密なチェック体制と、万一の際の保証がしっかりした相手から買うということ。試乗はできないにしろ、少なくとも自分の目で現車を見たい。加えて、購入後の保証とアフターサービスが最低条件となる。そしてライダーの安全を第一に考え、プロの国家整備士がいるショップならなお良い。
安心な中古車選びの条件を満たしているレッドバロン
レッドバロンはこれらの条件を全て満たしている上に、外見からは見えない「中身」を『コンピュータ総合診断機ACIDM(アシダム)』によって数値化。一部を除き、同社で販売する全ての中古車に『譲渡車検』が付いてくる。
『譲渡車検』は下記の8種類の検査から成り立つ。法令車検がない250cc以下にも実施され、点検基準はもちろんビッグバイクと同じだ。これにより中古車には最長6ヶ月、または6000kmの品質保証が付帯される。
『譲渡車検』のネーミングは、中古車の販売とは「お客から代金をいただく代わりにアフターサービスという付加価値をつけてバイクを売り主から買い主にへ譲渡する行為」との思いから命名された経緯がある。
安心のキモである『譲渡車検』の8種検査とは?
1 フレームが安全であること
フレームは重要なパーツだが、一般の車検では、フレームの歪みに関する点検義務がない。しかも転倒などで大きく歪むと修正は不可となる。レッドバロンではアシダムでアライメントを測定し、正常な車両のみを販売する。お客が他社で購入した車両をチェックしたところ、フレーム異常が判明した事例もあるという。
『ACIDM』ならアライメントやパワーほか多彩な検査が可能
レッドバロンが独自開発した『コンピュータ総合診断機ACIDM(アシダム)』は、全店舗に設置済み。普段の整備&点検はもちろん、『譲渡車検』でもフル活用されている。前後輪をクランプし、ホイールアライメントのズレを0.1mm単位で測定可能。さらに埋め込み式のシャーシダイナモにより最高出力、ブレーキの制動力、スピードメーターチェックと様々な検査ができる。昔ながらの勘や経験に頼った整備ではなく、車両の状態を的確に「見える化」。バイクに安心して乗り続けるため、莫大な設備費を投入してきた同社ならではのシステムだ。
2 リコール未実施項目がないこと
メーカーが行うリコール(回収・無償修理)は、命に関わる重要な内容の場合もあるため、見過ごしてはならない……が、意外と対策を受けていない中古車は多い。実際、レッドバロンのお店に査定で持ち込まれたGSX-R1000が、先日まで他店に入庫していたのにリコール未実施だったと言う。
レッドバロンではリコールが実施されているか確認。万一、未実施だった場合は、対策を施してから販売する。上記写真は対策済みのステッカーだ。
3 部品調達が可能であること
メーカーの部品在庫義務期間は、生産終了から約7年。この期間を過ぎたバイクは、パーツが手に入らなくなることで、突然乗れなくなってしまうケースがある。レッドバロンでは、25年をかけてリサイクルパーツの確保、オリジナルパーツの開発、パーツ本体の修理技術の蓄積に取り組んできた。こうして中古車に対し、最長3年間の『修理保証』を実現。一般的に年式の古い中古車は部品の調達がネックになるが、安心して購入できる。
本社工場は東京ドームの約3倍にあたる広大な敷地を有し、3700機種以上・77万点を超える膨大なパーツをストック。修理保証期間内は、パーツ供給を含め、修理体制の維持を保証してくれる。
4 基幹部品に異常がないこと
レッドバロンで仕入れた中古車は、「走る・曲がる・止まる」に影響を与える部品に異常がないか入念にチェック。アンダー250ccを含め全車とも、検査項目は車検より多い84項目に及ぶ。個人で、ここまで検査するのは困難だろう。
また、リコールでは、クラッチやエンジン内部など高度な整備が要求される場合もあるが、同社では充実の設備と、メカニックの技術力で問題なく対応可能。その安心感から、成約に至ったケースも数多いと言う。
5 スピードメーターに異常がないこと
中古車を仕入れた時点で、メーターの巻き戻しや改ざんなどの不正表示がないか検品。さらに、速度計が正しく機能しているかアシダムでチェックしている。アシダムでは、スピードメーターの40km/hと80km/h時の誤差を測定可能だ。
車検では40km/hでのみ測定するが、より高い速度でも計測するのでさらに安心だ。メーターに異常があると、実際よりスピードが出過ぎていて速度超過に……なんてケースも。速度計を検査する機会がまずない中古の250ccにはあり得る話だ。
6 違法改造箇所がないこと
保安基準をクリアしているかチェックし、違法改造箇所のない車両を販売。見落とされがちなウインカーの取り付け位置やハンドルなどの構造変更もきちんと点検する。近年、LEDヘッドライトの光量や、タテ付け禁止などナンバープレート表示義務に関する違反が多いが、これらも当然チェック済み。法令車検がない250cc以下でも安心だ。
7 必要書類が揃っていること
レッドバロンでは、書類に不備がないか厳しくチェック。車検証や軽自動車届出済証、自賠責保険証書はもちろん、名義変更の際は、譲渡証明書や委任状(代理人が手続きの場合)も必須だ。輸入車、およびマフラーをカスタムした車両は、排ガスの試験結果証明書も必要となる。特に個人売買では書類の有無がトラブルの元になりがちだ。
8 装着マフラーが適法であること
マフラーのカスタムは人気だが、実は違法のケースも多い。年々強化されている騒音と排ガス規制。加えて、年式や排気量、仕向地によって規制が異なるため、非常に複雑。特に触媒付きのバイクで、触媒なしの社外マフラーに交換して車検に通らない場合が多い。レッドバロンでは、サイズや形状も含め、適法マフラーかチェック済みだ。
まとめ:中古車選びは「モノ」ではなく、「安心と安全」を買うということ
来歴のわからない中古車を選ぶ。それは単純にモノを買うのではなく、「安心と安全」を買う側面が大きい。中古車を買う際は、外見や値段に惑わされず、安心と安全を最重視した相手と取り引きすべき。ベストな1台を選び、充実したバイクライフを送ってほしい。