バイクに乗るために必要な運転免許は、エンジンの大きさを表す排気量によって必要な運転免許のレベルが違ってくる。例えばクルマの免許、普通自動車免許に付帯してくる原付免許は排気量50ccまでのバイクしか運転することができない。この免許条件の排気量の上限が大きくなればなるほど、大きく重く、ハイパワーなバイクに乗ることができる。排気量が大きくなればなるほど、大きく重くスピードが出るようになるから、それ相応の運転技術を習得する必要があるというわけだ。
デビューに失敗しないバイク免許選び
バイクの免許区分 | |||
種類 | 運転条件 | 分類 | 現行モデル例 (2021年4月現在) |
原付免許 |
〜50ccの二輪車 |
A | スーパーカブ50、クロスカブ50、ジョルノ、ジョグ、ビーノ、アドレスV50、レッツなど |
AT限定普通自動二輪免許 (小型限定) |
~125ccのAT車 に限る |
B | PCX、CT125ハンターカブ、トリシティ125、Nマックス、アドレス125、スウィッシュなど |
普通自動二輪免許 (小型限定) |
〜125ccの二輪車 すべて |
C | ABに加えて、グロム、CB125、GSX-R125ABS、GSX-S125ABS、、Z125プロなど |
AT限定普通自動二輪免許 | ~400ccのAT車 に限る |
D | ABに加えて、フォルツァ、ADV150、PCX160、トリシティ300/155、Xマックス、Nマックス155、バーグマン400/200ABSなど |
普通自動二輪免許 | 〜400ccの二輪車 すべて |
E | ABCDに加えて、CB400SF/SB、400X、レブル250、CRF250L、YZF-R25/3、MT-25/03、SR400、セロー250、Vストローム250ABS、GSX250R、ジクサー150、ニンジャ400、ニンジャZX-25R、Z400/250、KLX230、ヴェルシス-X250など |
AT限定大型自動二輪免許 | 排気量の上限はないが AT車に限る |
F | ABDに加えて、ゴールドウイングやアフリカツイン、レブル1100、X-ADVなどのDCTモデル、Tマックスなど |
大型自動二輪免許 | 排気量に関係なく 二輪車すべてOK |
G | ABCDEFに加えて、CBR1000RR-R、CB1000R、NC750X、YZF-R1、MT-09/07、ナイケン、トレーサー900、テネレ700、ハヤブサ、GSX-R1000R ABS、カタナ、Vストローム1050/XT、SV650ABS、ニンジャH2、ニンジャZX-10RR、Z900RS、W800シリーズ、ニンジャ650、バルカンSなど |
運転免許は、上位免許を持っていれば、上限以下の排気量のモデルは全て運転することができる。つまり、大型自動二輪免許を持っていれば、50ccのスクーターも400ccのスポーツモデルも、世界最大排気量2457ccのトライアンフ・ロケットスリーだって走らせることができる。一方、125ccまでしか運転できない普通自動二輪免許(小型限定)を選んでしまうと、50ccや125ccのモデルは運転できるが、購入時に多くの種類が選べる250ccのモデルを運転することができなくなってしまう。
さて、取得する免許をどれにするか? という選びの話に早速移りたいところだが、まずは大前提として“資格”の話をしなければならない。実は運転免許は年齢で取得できる免許が決まっている。他にも両目(メガネ等による矯正もOK)で0.7以上の視力や、色力(色盲でないこと)、聴力など、運転操作障害がないかの適正検査はあるが、一般的な健康状態であれば問題ないのでここではひとまず割愛。年齢に関する話をすれば、免許取得時に以下の規定年齢を満たしている必要がある。
年齢などの取得条件 | |
種類 | 取得条件 |
原付免許 | 満16歳以上 |
AT限定普通自動二輪免許(小型限定) | |
普通自動二輪免許(小型限定) | |
AT限定普通自動二輪免許 | |
普通自動二輪免許 | |
AT限定大型自動二輪免許 |
満18歳以上 |
大型自動二輪免許 |
つまりバイクに乗りたいなら、16歳以上であることを前提に18歳になっているかどうかで、取得できる免許の種類が違ってくる。ちなみに、普通自動車免許(クルマの免許)とは違い、“教習所への入校は誕生日の2ヶ月前からOK”のような特例はないことも覚えておこう。
最初は、とにもかくにも普通自動二輪免許!
さてここからがいよいよ“選び”の話。…なのだが、のっけから結論を言ってしまうと、バイク初心者が最初に取得するのに最適なのは、400ccまでのバイクならなんでも運転できる“普通自動二輪免許”。この一択である。
理由は、第一に取得希望者が多く、教習所のインフラや受け入れ体制が整っているからだ。さすがにひと昔前のように「大型自動二輪はやってません!」なんて教習所は少なくなったが、最近は小型限定免許に関しては、取得日数の大幅短縮などを理由に「AT限定のみしかやっていない」ところもある。多くの人が取得する普通自動二輪免許を目指しておくと、教習所が選びやすく、教習所での受講もスムーズ。つまりはいろいろ手っ取り早い。
しかし、中には
・いきなり400ccは怖いので125ccから始めたい。
・通勤用途なので小排気量のスクーターで良い。
…なんて理由から、〜125ccまでの普通自動二輪免許(小型限定)や、オートマチック車しか乗ることができないAT限定免許に心惹かれているライダー予備軍がいるかもしれないが、悪いことは言わない。ひとまず免許だけは、“400ccまでのバイクならならなんでも乗ることができる”普通自動二輪免許にしておこう。何を選ぶかは取得した後に決めればいいのだ。
それに技術に関しては、自転車に乗ることができるなら、練習次第で普通自動二輪免許は必ず取れると断言しよう。車の免許も持っているがAT車しか運転したことがなく、ギヤチェンジが不安な方もいるかもしれないが、正直慣れの問題である。
最初こそ「右手のアクセルを戻して、左手でクラッチレバーを握り、左足でギヤをチェンジ。左手のクラッチレバーを放しながら、右手のアクセルを開ける…」なんて作業手順を考えながら乗ることになるかもしれないが、そんなことを考えながら乗るのは教習の最初のうちだけである。乗れば乗るほど自然に手足が動くようになり、1年もすれば、トイレでトイレットペーパーを適量切り取ってお尻を拭くのと同じくらい、何も考えることなくスムーズに手足が動くようになるものなのだ。
それにあえて排気量の小さな免許やAT限定免許からのスタートを考えるような方は、運転に対して慎重な方だと予想できる。しかし、慎重になるからこそ普通自動二輪免許の取得をおすすめしたい。ギヤチェンジが不安でAT限定にしたいなら、せめて免許取得時ぐらいは、複雑な操作のギヤで練習しておく。それだけで、いざスクーターを買って公道に出る時には、ギヤチェンジがなくなることで心に十分な余裕ができる。
大きさや重さに関しても同じ。安全が確保された教習所でまずは400ccを思う存分体験して、実際に公道に出る時にコンパクトな125ccを選べば、これも大きな“心の余裕”につながる。
それにいざ、バイクを買う段になれば、乗ることができるバイクの選択肢が広ければ広いほど、バイク選びが楽しくなる。「小さな排気量で十分と思っていたけど、実際に教習所に通い出したら、思っていたより楽しくてもっと大きなバイクに乗りたくなった!」なんてことはよくある話。スタンダードな普通自動二輪免許を選んでおけば、250ccだって400ccだって選び放題。
繰り返しになるが、まずは“普通自動二輪免許”、それもAT限定も小型限定も付いてないフツーの“普通自動二輪免許”を取得してみよう。
免許取得後は早めの公道デビューが失敗しない秘訣
最後に老婆心ながら、元初心者向けのバイク雑誌の編集長をしていた経験からバイクデビューを失敗しないためのコツを一つアドバイス。憧れのバイク免許を取得したら、一刻も早くバイクを買うことをオススメしたい。というのも、バイクの免許取得時には、クルマの免許とは違い公道での教習がない。つまり、公道デビューは免許取得後、実際にバイクを買ってからということになる。これが実に厄介で、免許取得から実際の公道デビューまで時間が経てば経つほど、運転の自信がなくなってくる。免許取得後1年もバイクに触らなければ、操作方法すら忘れてしまうものなのだ。
つまりバイク免許を取得したら一刻も早くバイクを購入することがライダーデビューへの近道となるのだが、安くはない免許取得費用にバイク購入が重なればかなりの負担なる。それにバイクデビューにはヘルメットやウエア、グローブだって必要になる。
そんな何かと物入りなバイクデビューに嬉しいのが、レッドバロンが行っている“免許応援キャンペーン”だ。詳しいシステム、申し込み方は“免許応援キャンペーン”の専用サイトを見て欲しいが、概要をかいつまんで説明すれば、レッドバロンでバイクを購入すれば、免許取得費用の一部が割引として還元されるというもの。すごいのは新車はもちろん、中古車にもこのキャンペーンが適応されるということ。購入するバイクの種類によって、サポート料金は異なり、
●126cc以上を購入すれば3万円
●51cc〜125ccなら2万円
となっている。もちろんお得なことに越したことはないのだが、このキャンペーンの利用の最大の効果は、“免許を撮ったらバイクを買うぞ”という気持ちに大きな弾みがつくことだ。つまり申し込んでしまった手前、引っ込みがつかないというワケ。なかなかうまくいかない教習に費用面、ライダー予備軍がバイクデビューを断念する機会はいくらでもあるが、そんな機会を吹き飛ばす理由に“免許応援キャンペーン”を利用してみるのも一つの手段ではなかろうか?
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