バイクジャンプへの憧れ、その原点

 こんにちは、バイクライターの青木タカオです。ホンダ『CRF250L<S>』をレッドバロンで購入したばかりのボクはオフロードバイクが大好きですが、そのキッカケとなったのが、10代の頃に観た『ジャパンスーパークロス』です。

 
 リック・ジョンソンが後楽園球場を走る姿をVHSビデオがすり減るほど観て、ジェレミー・マクグラスらが神宮や幕張の夜空を華麗に飛ぶのをスタジアムで目の当たりにし、モトクロスにぞっこん夢中となってきましたが、もっと昔は、オートバイでのジャンプシーンは命がけのスタントでした。

アメリカの国民的英雄

 1960年代からバイクスタントマンとして活躍し、全米でテレビ中継、映画にもなったアメリカの国民的スターをご存知でしょうか。


 映像を見たら「見たことがある!」と感じるバイクファンも少なくないはず。星の模様がついた白い衣装を身に着け、バイクでアクセル全開。10台以上並んだバスやクルマの長い列を飛び越えるショーで数万人を動員し、世界的名声を得たEvel Knievel/イーブル・クニーブルです。

 本名はRobert Craig Knievel/ロバート・クレイグ・クニーブルといい、北西部モンタナ州の出身。スリリングなショーをテレビ中継でも披露し、全米はもちろん世界中で話題となった伝説のスタントマンはアメリカの国民的英雄でもありました。2007年12月、69歳で死去したときには世界中にニュースが報じられたほど。

 現代のようにサスペンションがまだ進化していない時代ですから、着地での転倒も数え切れません。1967年には、ラスベガスにあるシーザースパレスホテルの噴水越えにチャレンジし失敗。40ヶ所を骨折したうえ、29日間も意識が戻りませんでした。生涯での骨折433回は世界記録となったままです。


 アメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーにある『ハーレーダビッドソンミュージアム』には「顔はめパネル」があり、訪れるたびに記念写真を撮らずにはいられません。ボクもファンのうちのひとりです。

自伝映画の撮影に使われた貴重なマシン

 1977年公開の自伝映画『VIVA KNIEVEL!』では、自らが主演を務めましたが、そのとき撮影に使ったマシンがハーレーダビッドソンのスポーツスターです。


 なんとその車輌が日本へ上陸し、代官山 T-SITE(東京都渋谷区)にある蔦屋書店にて、5月下旬から6月上旬にかけて展示されたのでした!

 コアなファンの間では“世界一有名なスポスタ”とも言われるお宝ハーレー。ハーレー専門誌『WITHHARLEY』編集長も務めるバイク好きであるボクが見に行かないわけがありません。

創業75周年、センバによる展示!


 うぉ〜! 映画で観たイーブル・クニーブルのスポーツスターが目の前にあるではありませんか。ド派手な星条旗カラーを身にまとい、燃料タンクの上にはズラリと並ぶトラックとイーブル自らの姿が100ドル札とともに描かれたイラストが施されています。


 ナンバープレートは「Evel K」。ダートトラッカー風のテールエンドもカッコイイとしか言いようがありません!


 いったい、なぜ日本に? 東京に? イーブル・クニーブルのスポスタがあるのでしょうか。


 じつは創業1947年/昭和22年、大阪の『センバモータース』(大阪府東大阪市)が75周年を記念し、このたび入手。戦前モデルなども含め、歴史的価値のあるモデルが勢揃いする同社の所蔵するラインナップに加わることとなったのです。

 創業75周年、日本国内におけるハーレーの殿堂『センバモータース』が、イーブル・クニーブルのショベルXLHをご披露と耳にし、駆けつけたのでした。いやはや、静かな書店の中でひとり、大声で叫びたいほどに興奮しました。もちろん、じっと堪えてニタニタしつつ、ひとり眺めて次第です。

 次回はその「センバモータース」の歴史についてご紹介しますね。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事