レッドバロンが運営するバイク専用サーキット「那須モータースポーツランド(以下、那須MSL)」では、さまざまなイベントが開催されている。そのなかでも高い人気を誇るのが「那須MSLライディングスクール」だ。親切丁寧なレッスンはレッドバロンユーザーはもちろん、一般ライダーにも人気が高いという。今回、僕(筆者:佐賀山敏行)はそんな那須MSLライディングスクールに体験取材を敢行!! ……と言いつつ、 実は一昨年に続いて2回目の参加だったりするのだが(笑)。

座学でライディングの基本姿勢を学ぶ

というわけで2024年某日、いつもの愛車Honda XR BAJAで栃木県にある那須モータースポーツランドに向かう。午前8時半までに受付を済ませて、ゼッケンを受け取る。2回目だからね、この辺は慣れたものですよ(笑)。

知らない方のために説明をすると、「那須MSLライディングスクール」は「『もっと安全に走れるようになりたい』『もっと上手く乗りこなしたい』など、普段の安全運転に役立つカリキュラムを中心に、ライディングの基礎や実践的な技術を参加者のレベルに合わせて学ぶことができるスクール」(那須MSL公式Webサイトより)で、ビギナーはもちろん、ベテランにも支持される人気のスクールだ。

かく言う僕も、バイク歴は30年になるベテランライダー。しかし、「楽しく走れりゃバイクはOK!」と考えているので、スクールには行ったことがなかったし、ライディング技術も全然上達しない(苦笑)。それが前回参加した、「那須MSLライディングスクール」によって気づきの連続!

バイクを操ること、うまく走れることがすっかり楽しくなってしまったのだ。というわけで、今回で2回目となるが、再度参加させてもらうことになったのである。

さて、開校式は午前9時ジャストに開始。ホームストレートに集合し、インストラクターの方たちの紹介などを受ける。

参加者は定員いっぱいの30名だ。

対してインストラクターは6名! 手厚いレッスンが受けられるのは言うまでもない。

鈴鹿8耐に20回もの出場経験を持つ中井直道さんも特別講師として、インストラクターに名を連ねる。わかりやすい指導で、僕も前回のスクールで多くのアドバイスをいただいた。

開校式のあとは準備体操。身体各部のストレッチに加えて、じゃんけんを使った脳トレなどで、体と頭をシャキッとさせる。

さて、いよいよレッスン開始。まずは座学で、ホームストレート上にCB750を設置。乗車姿勢などの基本的なレクチャーを受ける。

たとえば「正しい着座位置について」。

まずはステップに足を乗せて、立ち上がる。

ゆっくり膝を曲げて腰を落としていく。

そうしてお尻をシートに下ろした位置が、正しい着座位置とのこと。上半身はリラックスした状態でハンドルを握り、下半身でしっかりと車体をホールドする。

バイクを支えるうえで重要なのは下半身。ニーグリップをしっかり行って、車体をホールドする(大事なことなので2回書きました・笑)。

正しい足の置き方など、細かいポイントもしっかり説明してくれる。ここで学ぶことは、今日1日のレッスンにおける基本中のキホン。「早くバイク乗りたいなー」なんて考えながら、話を聞いていない……なんてことは絶対NGだぞ!

下半身でバイクをしっかりホールドするだけでなく、上半身の動きも重要だ。

加速の時は前傾姿勢。上半身でバイクの動きや加速・減速などをコントロールする。実際のレッスンでもこの点はよく指摘されるポイントである。

デモランで8の字の基礎を学ぶ

続いて、8の字のデモラン。パイロンを2本立て、インストラクターがその間を8の字で走行する。

もちろんただ走行するだけでない。中井インストラクターが「目線を進行方向に向ける」、「パイロン外側から大きく入って、なるべくパイロン近くを小さく回る」といったポイントを細かく解説してくれる。

インストラクターが走るのと同時に解説がおこなわれるので、めちゃくちゃ分かりやすいのだ。

パイロンとパイロンの間はしっかり加速! 距離はそんなに長くはないのだが、それでも上半身を伏せて、積極的にバイクを操ることが大切なのだ。

CBR600RRのようなスーパースポーツでもご覧の通り。インストラクターはきびきびとバイクを操って、8の字をクリアしていく。

目線や8の字のラインのほか、リアブレーキの使い方など、ここでは書ききれないほどのポイントがあって、それを中井インストラクターが細かく教えてくれる。「早く乗りたい!」と思う反面、こうした座学やデモランがあるからこそ、レッスンに入ったあと、スムーズなライディングがおこなえるのだ。

 

愛車とともに、レッスンスタート!

いよいよレッスン開始。ヘルメットなどの装備を身につけて、愛車のエンジンをスタートさせる。そして、まずはコースをぐるっと完熟走行。

コースのあちこちに、すでにパイロンが設置している。このあと始まるレッスンがどのようなものになるのか、わくわくしながらコースを走る!(いや、僕は昨年も受講したので、だいたいの内容は知っているんだけどね……それでもやっぱりわくわくするのだ!)

……というかね、このパイロンを設置するのも大変だと思う。当日の早朝から設置するにしても、前日から作業していたとしても、それなりに時間と労力はかかるはず……。スタッフの皆さんには感謝しきりなのだ。

ここからは1班3〜4人に分かれてレッスン開始。もちろん、それぞれの班にインストラクターがつく。

少人数レッスンなので、1人ひとりをしっかりと見てもらえるのが嬉しい。

というわけで8の字を実践! ちなみに8の字には本日のレッスンすべての基本中のキホンが詰まっている、最初にして最も大事なレッスンだといえよう。

目線、アクセルのメリハリ、リアブレーキの使い方など、ぶっちゃけコレを1日中やって終わってもいいくらい……いや、それだとさすがに飽きてしまう(笑)。那須MSLライディングスクールでは、受講者が飽きないようにプログラムが組まれていて、これもまた人気のポイントなのだ。

デモランでの解説を真面目に聞いたし、何より僕は前回も参加しているリピーター組だ。「8の字なんて余裕だぜ!」と思っていたのだが、やっぱり聞くとやるでは大違い。しかも、どうやら体は覚えていないらしい(苦笑)。

「うーん、動きが思ってたのと違う……」と首をひねりながらも、何回かチャレンジすると、インストラクターからの的確なアドバイスもあって、やっと勘を取り戻すことができ、スムーズに8の字を描けるようになった。

8の字はひとりずつやるので、インストラクターがしっかり見てくれる。そして、終わった後はアドバイス。

それでも1班の人数は少ないので、何回も走行できるのだ。

パイロンは大きく入って、小さく回る! 写真は目標となるパイロンに立って「ここに向かって走ってきて」と指示を出すインストラクターの図。

1人ずつ見てもらえるので、個人の力量に合わせた指導を受けられる。

メリハリが重要!! スラローム!

たっぷりと8の字を練習したあとは、ホームストレートとピットロードを使ったレッスン。まずはインストラクターによるデモランを、解説を聞きながら見学する。

ホームストレート側ではパイロンを並べたコースを、8の字で習ったポイントを駆使して右に左に曲がっていく。

大きく入って、小さく回る。目線はコースの先で、直線は短くてもしっかり加速!! うん、こちらはなんとかなりそうだ。

スラロームは、パイロンの間隔は決して狭くはない。しかし、当然ながらただクリアするのが目的ではない。

なるべくパイロン近くを通り、リアブレーキをうまく使う。そして次のパイロンまでしっかり加速する。8の字で習得したメリハリをパイロンでも活用しなければならない。

簡単そうで、これがなかなか難しいのだ。

というわけで、いざ実践! まずはコースの確認を含めた完熟走行をおこなう。

ここでは班に分かれず、全員が1列になってコースを走る。とはいえ、ご覧のようにある程度距離を開けつつもどんどん進むので、長い順番待ちをしなければならない……なんてことはなく、何度も周回できる。

で、スラローム。去年もやったからできるだろうと思ったけれど、やっぱり1年も経つと忘れていることが多く、うまくできない(汗)。

それでも何周か走っているうちにコツを思い出して、しっかり走れるようになってきた。

レッスン終了後に那須MSLの支配人・竹内さんに聞いた話だと、このライディングスクールは当然ながら新規の方が多いのだが、何度も来ているリピーターも少なくないのだとか。

その理由は、レッスンを終えたあとは習ったことを意識しているのだが、どうしても1年経つと徐々に忘れていってしまうから。

実際、僕も去年習ったことで忘れてしまったポイントは多いし、できていたことが今回はできなくなっていたこともあった。なるほど、こりゃ僕もまた次回も参加しなきゃいけないかな? なんて思った次第であった(笑)。

インストラクターが受講者の後ろについて、走りをチェック。1周回ったあとにアドバイスがもらえるので、なんだかメキメキと上達している気分になる!

徐々に走る範囲が広くなる!! 午前中の最後は、コース半分を使ってのレッスン!

午前中最後のプログラムは、コースと班を2つに分けて、それぞれ設定されたコースを走る。

先ほどのホームストレート&ピットロードでは8の字の延長のような、細かいコーナリングが多かった。しかし今回はパイロンの設置間隔などがバラバラで、旋回角度もさまざま。スピードを出せる区域もあったりと、一気にレベルが上がる!

とはいえ、8の字からはじまるプログラムはしっかりと段階を踏んだもの。これまで習ったことを頭に入れて走れば、決して難しくはない。

もちろん、ここでもインストラクターが順番に受講者の後をついてアドバイスをくれるので、さらに上達していける。いやぁ、やっぱり「那須MSLライディングスクール」は楽しいなぁ♪

というわけで、午前中のレッスンはここまで! 充実した3時間を過ごすことができた。

午後のレッスンの様子はまた次回にお届けするので、お楽しみに!!

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