水冷エンジン搭載の次世代スポーツスター

 こんにちは、バイクライターの青木タカオです。今回はハーレーダビッドソンのニューモデル『RH975 NIGHTSTER(ナイトスター)』についてお話したいと思います。

 数あるハーレーダビッドソンの歴代モデルの中でも、1957年に初代が登場して以来、連綿と続く系譜が『XLスポーツスター』でした。重厚なクルーザーを主軸とするハーレーにありながら、そのネーミングが示すとおりスポーティな走りを“ウリ”にしたシリーズです。


 それに変わる“新生スポーツスター”という位置づけでデビューしたのが『ナイトスター』。空冷OHV2バルブのV型2気筒というオーソドックスなエンジンを踏襲してきた『XLスポーツスター』に対し、『ナイトスター』は完全新設計の水冷DOHC4バルブ。V型2気筒であることは変わりませんが、シリンダーの挟み角(Vバンク)を45度から60度に開きました。


 排気量は975cc。パワーユニットは「レボリューションマックス975T」と呼ばれ、これは先行して発売された『パンアメリカ1250/S』と『スポーツスターS』と同系です。ナイトスターでは最高出力89PS/7500rpm、最大トルク95Nm(9.6kg-m)/5750rpmを発揮します。

電子制御も充実

 レボリューションマックスでは全域で太いトルクを発揮し扱いやすいように、可変バルブタイミング機構を採用。ナイトスター用のパワーユニットではインテーク側のみにし、最適化されました。


 トラクションコントロールやエンジンブレーキ制御も可能な電子制御を搭載し、出力特性は手元のスイッチでメーターディスプレイの表示を確認しつつ、スポーツ/ロード/レインの3モードに切り替えができます。スポーティかつ、よりセーフティなライディングが楽しめるのです。

フレームレス構造のシャシーで軽量かつ高剛性

 フレームは従来のダブルクレード式をやめて、エンジンをフレームの一部として活用するフレームレス構造となりました。テールセクションを軽量なアルミニウム製とし、車体重量(221kg)を大幅に軽減。シャシーの剛性も高い次元で確保しています。


 タンクはダミーで、容量11.5リットルの燃料タンクはシート下に配置。マスの集中化に貢献しました。こうして各部を刷新しつつも、丸いエアインテークカバーやツインショックのリヤサスペンションなど、空冷時代のスポーツスターを彷彿とさせるデザインも継承しているのが見逃せません。

コンパクトなライポジで乗り手の体格を問わない

 シート高が705mmと低く設定されているのも、これまでのスポーツスターのように足つき性に優れ、親しみやすいもの。小柄な人や女性も臆せず乗れるでしょう。


 ステップはクルーザーではよく見られる足を前に投げ出すフォワードコントロールではなく、自然に足を下ろした位置にペグがあるミッドコントロール。ネイキッドからの乗り換えも違和感がなさそうです。

H-D本社よりカスタムをオファー!

 ハーレーダビッドソンはいつの時代もカスタムに積極的で、それはユーザーだけでなくメーカーも。『ナイトスター』のデビューにあたり、自己の表現に適したモーターサイクルだとし、米国本社より世界の有力ビルダー6名に『ナイトスター』を“キャンバス”とした自由な表現=カスタムがオファーされました。


 日本から選ばれたのが、HIDE MOTORCYCLE FACTORYのCEOであり、日本を代表するカスタムビルダー富樫秀哉さん。海外のカスタムバイクシーンに強く影響を与えた日本発祥のストリートトラッカーに仕上げています。

日本発祥のストリートトラッカーへ

 タンクカバーからシートカウルは一体成形され、シート下の燃料タンクはワンオフ。リヤサスペンションの取り付け位置を前方に移動することで、ロングスイングアームのイメージが表現されました。


 ノーマルでは2in1のマフラーは、ワンオフのエキパイと2本出しのカーボン製サイレンサーの組み合わせで低く短い。


 スポーツスターはカスタムベースとしても大人気でしたが、『ナイトスター』もまたカスタムの可能性が無限大に広がっていることが分かります。

 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。バイク女子のかなえちゃんによる『ナイトスター』のライポジチェック、そしてHIDE MOTORCYCLE FACTORY富樫秀哉さんへのインタビュー動画もぜひご覧ください。

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事