2012(平成24)年に全面刷新を行って劇的な進化を遂げたNinja ZX-14R(欧州名はZZR1400のまま)」! フルパワー仕様の最高出力は200馬力(ラムエア加圧時210馬力)へ到達し「ハヤブサ」とのゼロヨン対決にも勝利を収めて順風満帆……と思いきや、強力なライバルが同じ陣営から登場!? 激動の2010年代☆旗艦伝説を振り返りましょう!

オーリンズ仕様

●ハイ、お待たせしました。みんな大好き「オーリンズエディション」を今回はしっかり紹介させていただきますよ〜。しかしなぜ我々は金色のチラリズムメロメロメロ〜ン(byメロンパンナちゃん)となってしまうのか……(^^ゞ。これはもう奈良時代に技術の源流が始まり平安時代に花開いた蒔絵(まきえ)を例に挙げるまでもなく、日本人のDNAに深く深く刻み込まれたものなのでせうね(ホンマか!?)

 

 

Ninja ZX-14Rという万能旗艦【その7】はコチラ!

 

Ninja ZX-14Rという万能旗艦【その9】は今しばらくお待ちください m(_ _)m

世界最強たる〈優しきビースト〉へメガ進化を遂げたZX-14R!

 

2008年197馬力を引っさげ登場した2代目スズキ「ハヤブサ」。

2008年型ハヤブサ

2008年型スズキ「ハヤブサ」。1340cc水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジンは197馬力を9500rpmで発生。最大トルクは15.8kgm/7200rpm。初代よりさらにロングストローク化(1298㏄:ボア81㎜×ストローク63㎜→1339㏄:ボア81㎜×ストローク65㎜)されたパワーユニットは低回転域からタダモノではない極太トルクを発生! シート高805㎜、乾燥重量220㎏、燃料タンク容量21ℓ 。こんな図体なのにペタンペタンと寝てクルリクルリと旋回してくれるので乗り始めはギョッとしてしまうほどでした!

 

 

メーカーの威信をかけたガチバトルで路上の猛禽が頭ひとつリードしていた総合的パフォーマンスへ、追いつけ追い越せとばかり奮起した川崎重工業の開発陣!

2008年型ZZR1400

2008年型カワサキ「ZZR1400 ABS」。1352cc水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジンは2006年のデビュー当初190馬力を9500rpmで発生〈ラムエア加圧時200馬力〉。最大トルクは15.7kgm/7500rpm(仕向地によって違いあり)。この写真の2008年モデルで1352㏄(ボア84㎜×ストローク61㎜)のままEU仕様は193馬力〈ラムエア加圧時203馬力〉へとパワーアップ! シート高800㎜、乾燥重量218㎏(STDは215㎏)、燃料タンク容量22ℓ。多分に相対的なものではあると思うのですが、確かに「ハヤブサ」と同時に乗り比べると低速域で線の細さも感じたもの……

 

 

2012年にリリースした「Ninja ZX-14R」において、ついに「ハヤブサ」を性能面で(僅差ながら)凌駕することへ成功いたしました。

2012年型NinjaZX-14R

2012年型カワサキ「Ninja ZX-14R ABS」。1441cc水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジンは200馬力を1万rpmで発生〈ラムエア加圧時210馬力〉。最大トルクは16.6kgm/7500rpm。シート高800㎜、装備重量268㎏、燃料タンク容量22ℓ。ボア84㎜は変えずストロークを4㎜も長くした65㎜とし、低回転域のトルク増強にも役立てました。実際、スロットルをクイッと捻った瞬間に巨体をズドンと前へ進める気持ちよさが実現されてましたね〜。しつこいようですが、2代目「ハヤブサ」と「Ninja ZX-14R」ゼロヨン龍虎の戦い結末のひとつはコチラ!

 

地球最速クラスのメガスポーツを操る愉悦は何物にも代えがたい!

 

まぁ、ぶっちゃけ少なくとも日本の公道上では両車の限界性能を5秒以上路面に叩きつけることすら無理ゲー(^^ゞ……なのですけれど、

高速道路

●条件さえ許せば299㎞/hだって数秒で到達してしまう次元の違う高性能……。だからこそ、「能ある鷹は爪を隠す」という言葉を噛みしめながら、悠然と道を流す快感は格別なのです

 

 

「ワシは今、ブチすげぇ世界最高のフラッグシップに乗っているんじゃぁ(なぜか山口弁)」という自尊心補完データを雑誌やネットの記事で脳内へと仕込み、清水の舞台からフリーフォールして購入後、

清水寺

スカイダイビング

「清水の舞台から飛び降りる」は、思い切った決断をするときに使うことわざです(AIに聞きました m(_ _)m)。長い人生、たまにはエイヤッと決断して大きな対価をゲットしましょう!?

 

 

想像をはるかに超える乗りやすさに日々感動できれば仮に絶対性能の100分の1しか使えてなくても、それはそれでモウマンタイ(無問題)ってことで……(^^ゞ。

ZX-14Rコックピット

●アナログ表示の速度計&回転計に多彩な情報を伝えてくれる液晶ディスプレイ。さらには多彩な機能を使いこなすための数多いスイッチ群……。まさにコックピットと呼ぶに相応しい「Ninja ZX-14R」のトップブリッジ周辺の光景(「ハヤブサ」もそうですよね)。限界性能なんて出せなくともこちらをチラ見しつつ颯爽と駆け抜けていくのがなのです。松本零士先生のメーター表現が大好きな筆者にとって、かくいう造形こそがザ・バイクなのですけれど分かっていただける同志はいるかなぁ……

 

 

そんな超のつく高性能メガスポーツが当時は1馬力≒1万円を大きく割り込むお値打ち価格で購入できていたのですから、第三京浜や高速道路のパーキングで、道の駅の駐輪場で、全国にあるうまいソフトクリーム売り場の横などで両車を見かける機会は着実に増えていきました。

 

国内仕様化と高付加価値化……話題に事欠かなかった2台の旗艦

 

 

大きな動きがあったのは2014年のこと。

 

 

日本じゅうのそこここで「ダメよ~ダメダメ」(by日本エレキテル連合)というギャグが蔓延していたなか、突如としてスズキ「ハヤブサ」の国内仕様が発売されました(こちらの正式車名は漢字で「隼」……イイ感じ!)。

2014年型隼

●2014年、主に騒音規制を欧州と同等のレベルへ調和したことによりフルパワー仕様でも国内で認可が下りるように! ただし当時はまだ180㎞/h規制が残っていたため「速度リミッター付きかぁ、ウムムムム……」となってしまう人も多かったのです。まぁ、そういう方々は国内仕様より12万円高い161万円(税抜き価格 ※以下同)のEU仕様逆輸入車を主に買っていたのですけれどね。ライダー心理というのはホントに複雑ッス……。あ、「ハヤブサ」は2013年にブレーキシステムが大きく改良され、フロントブレーキキャリパーが同車初のブレンボ製(モノブロック・ラジアルマウント対向4ポット)となり、同車初のABSも搭載されました。そちらを踏襲したカタチです

 

 

ぬぁんと197馬力という最高出力(最大トルク15.8㎏m)はそのままにETC車載器ABSも標準装備

 

 

それでいて逆輸入車よりお安い149万円という衝撃的プライスも話題となりましたね~。

 

 

翌2015年には立ちゴケ修理保証キャンペーンまで実施するなど、やる気!元気!スズキ!の勢いは止まりません。

立ちごけキャンペーン

●国内仕様「隼」の新車購入者を対象に約1年弱も実施された立ちゴケ時の修理費が一部免除される保証制度。具体的には最大3万円までの車両損害について修理費が免除され、うち1万円は自己負担に。保証期間は車両の登録日から3ヵ月間で、1回の立ちゴケに限られる……という内容。お世話になったライダーも少なからずいたとか〜

 

 

対する川崎重工業側もやる気!元気!カワサキ!?とライバルに対抗して国内仕様を用意……することはなく、付加価値を高める方向へ舵を切ることとなりました。

 

鬼に金棒、カワサキ☆ビッグバイクにオーリンズ(後にブレンボも)!?

 

2014年型でマフラー全体を黒く塗装しただけでなく、リヤショックユニットにオーリンズ製のTTX39を採用した「オーリンズエディション」をデビューさせてきたのです!

 

 

こちらの2014年当時の価格は168万円で、同じABS付きのSTDモデルが162万375円(ともに東南アジア一般仕様)でしたから差額は驚くほど少なめ。

オーリンズエディション

●2014年型「Ninja ZX-14R ABS OHLINS Edition」。各部に配されたファイヤーパターンが粋ですな〜

 

 

当然、カワサキ開発陣が責任を持ってセッティングを合わせてきた仕様ですから安心感と割安感はハンパありません。

オーリンズTTX39

TTXのTTとはTwin Tube (ツインチューブ) の略で、Xはシリンダーヘッド内のバルブを通るオイルの流れを表すもの。この技術はキャビテーション(オイルの泡立ち)の抑制、フリクションの低減、そして伸び側と圧側で独立した減衰力調整機構が特徴でモトGPマシンにも採用されているとか! ちなみに日本におけるオーリンズ代理店カロッツェリアジャパンの資料によると2025年現在、「Ninja ZX-14R」用TTX39の価格は18万7000円(こちらも税抜きッスよ!)となっております

 

 

シート下、黄金に輝くリザーバータンクとOHLINSのロゴバッジがオーナーの所有感をくすぐりまくり満たしまくりで、設定のあった2014年、2015年ともに「Ninja ZX-14R ABS OHLINS Edition」は速攻でSOLD OUTしたと聞き及んでおります。

2015年オーリンズエディション

●2015年型「Ninja ZX-14R ABS OHLINS Edition」。そりゃあ売れるわ……(^^ゞ

 

 

2016年からはリヤサスのTTX39装備に加えてブレンボ製のブレーキシステムを採用しつつブレーキホースをステンメッシュ化した「ハイグレード」が「オーリンズエディション」と入れ替わるように降臨!

2016年ハイグレード

●2016年型「Ninja ZX-14R ABS High Grade」。銀色に鈍く輝くブレンボ製ラジアルマウント型フロントブレーキキャリパー! 同じくレバー側もブレンボ製のラジアルポンプ型マスターシリンダーとなり、ブレーキローターもSTDの花弁タイプとは異なるものを新採用。また、欧州向けとアジア向けとではハンドルの高さが変更されており、アジア向けモデル(写真はそのマレーシア仕様)のほうが若干高めに設定されるようになりました。また、この年式から全車さりげな〜くEURO4排ガス規制に適合し、ABS仕様だけとなり、メーター液晶部へ白黒反転表示モードが追加されるなど微に入り細を穿つ開発陣のこだわりが凄すぎました!

 

 

「どうせ大枚はたくなら一番いいものを選びたい」というライダー、いや地球人類全般の願望(?)を的確に撃ち抜く販売戦略で高い人気を堅持

支払いイメージ

●パソコン、クルマ、家、ラーメン(!?)……なぜ人類は念願が叶うときハイグレードなフルオプション仕様を選んでしまうのか(^^ゞ

 

カワサキフラッグシップの座は過給器モデルに移譲された……のか!?

 

2020年、全世界的に強化されていく排ガス規制を受けて北米仕様以外が最終型となるなかファイナルエディションとして「ハイグレード」モデルだけが販売されたことからも、そのモテモテっぷりが分かることでしょう。

2020年ハイグレード

●ファイナルモデルとなった2020年型「Ninja ZX-14R ABS High Grade」。当時価格は175万円(もう1色用意された黒/緑は173万円

 

 

ちなみに日本仕様のスズキ「隼」は2017年型までラインアップされていましたが気が付けばフェードアウトしてしまい、並行して購入できていた逆輸入車版「ハヤブサ」も同様に2018年型をもって日本での販売を終了(こちらも排ガス規制の緩い北米向けは継続)……。

2018年型ハヤブサ

●日本では最終モデルとなった2018年型「ハヤブサ」。当時価格は163万円。さて、ここから3代目は出るのか?出ないのか!? ヤキモキさせられた時期が続きます。カワサキがスーパーチャージャーできたから、スズキはターボ? いやいやV4もしくはV6? いやいや排気量だって一気に1600㏄化する??? 様々な憶測が乱れ飛んだのですよ

 

 

 

嗚呼、我らの憧れであり最上級の性能を誇る至高のフラッグシップ群はこのまま消え去るだけなのかッ!? 

旗艦イメージ

●時代は重厚長大から軽薄短小へ……。ンなこたぁ百も承知、二百も合点(がってん)なのですけれど、大排気量でドヒュ〜〜〜ンと威風堂々バクシンするモビリティがあったっていいじゃないですかぁ!

 

 

……実は2015年、カワサキから「Ninja ZX-14R」、さらに言えば「Ninja ZX-10R」と同じ200馬力を標榜する第3のバイクが登場していました。

 

 

それこそが川崎重工業の誇る過給器技術を駆使した「Ninja H2」だったのです。

ニンジャH2

●2015年型「Ninja H2」。998cc水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジン+スーパーチャージャー200馬力を1万rpmで発生(ラムエア加圧時210馬力……あ、発生回転数を含め1441㏄の14Rと同じだったんですね。今気付いた(^^ゞ)。最大トルクは14.3kgm/10000rpm。シート高825㎜、装備重量238㎏、燃料タンク容量17ℓ。こちらに先立ち開発されたクローズドコース専用モデルである「Ninja H2R」はなんと310馬力でしたからね〜。二輪ギョーカイ全体がザワついたものですよ

 

 

かくいう流れを汲むハイパフォーマンスツアラー「Ninja H2 SX SE」(や「Z H2」シリーズ)は2025年の現在もカワサキの国内ラインアップに君臨しており絶賛販売中! 

ニンジャH2 SX SE

●2025年型「Ninja H2 SX SE」。いやもうハイテクの満漢全席でナイスバイクなことは間違いない……のですけれど、自他ともに認めるカワサキのフラッグシップだった「Ninja ZX-14R」の後継機……と言われてしまうと複雑な思いが噴出してまいります(個人の感想ですが)。第9回ではそのあたりを整理しつつ冷静になって述べていきますね!

 

 

次回は大排気量NA(自然吸気)スポーツの雄「Ninja ZX-14R」スーパーチャージドエンジン「Ninja H2」の違いだけでなく、スズキ「ハヤブサ」その後についてもお話してまいりましょう!

H2R

●ちなみにこちらが310馬力モンスターレーサー「Ninja H2R」の面構え。300㎞/h以上の速度域でも安定して走行できることを目指した空力デバイスがド迫力でんなぁ〜〜〜〜〜っ

 

 

 

あ、というわけで2010年代に輝いた旗艦たち「Ninja ZX-14R」と「隼」or「ハヤブサ」は、ある意味で究極とも言える高い完成度を誇っております。レッドバロンが推す『5つ星品質』の中古車なら安心してハイパフォーマンスを堪能できますよ。まずはお近くのお店で在庫のご確認を!

 

 

Ninja ZX-14Rという万能旗艦【その9】は今しばらくお待ちください m(_ _)m

 

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