いつもなら片岡義男オートバイ小説推しですが……
バイクに興味を持つキッカケは人それぞれあり、十人十色だと思いますが、「映画やアニメ、漫画や小説などの影響を受けて……」という人も少なくないでしょう。
ボク(青木タカオ)もそのうちのひとりで、『彼のオートバイ、彼女の島』(1977年、角川書店)をはじめとする片岡義男先生のオートバイ小説であったり、週刊少年マガジン(講談社)に1981年から長期連載された楠みちはる先生の代表作『あいつとララバイ』などで主人公が乗るバイクに憧れ、やがてそれを手に入れてしまうほどに影響を受けまくったのでした。
バイクライターという仕事柄、そうした作品たちについて深堀りする記事をいろいろなメディアで執筆させていただいておりますが、ここ「For R」でも年末年始の特集記事として今回、我々筆者陣に「私が推したい“バイクが登場する作品”」という共通のタイトル(お題)が“中の人”より出まして、本日から記事が公開となっていきますので、どうぞお楽しみにしてください。
僭越ながら一発目のスターター、先発ピッチャーの大役を仰せつかることとなりましたのがボクでして、「さて、どうしよう?」と悩んだ挙げ句、今回は後続の筆者陣から出てきそうな上記2つの作品はココでは触れずにおいて、『WITHHARLEY』編集長という立場もあることからハーレーダビッドソンが登場し、見た人に強烈なインパクトを残した映画をご紹介させていただきたいと思います。
主人公はアンドロイド
1991年のアメリカSFアクション映画『ターミネーター2』です。出演は“シュワちゃん”こと、アーノルド・シュワルツェネッガー。まだ観ていないという人のために詳細なストーリーは割愛させていただきますが、主人公は動力源の寿命が約120年の人造人間(サイボーグ、アンドロイド)で、グレネードランチャーをまともに何発も受けても無傷なほどに頑丈、装甲車なみの強度を持ちます。
そんなタフな人造人間が劇中で乗り回すのが『FLSTF ファットボーイ』で、近未来を描く世界観に車体のスタイルや雰囲気がバッチリ一致し、見る者を魅了したのでした。
右手でハーレーをスロットル操作し、左手ではウィンチェスター M1887レバーアクションショットガンをぶっ放しますから、もう痛快としか言いようがありません。全世界で5億2000万ドルの興行収入を記録する空前の大ヒット映画となり、その影響力は絶大。
「あのハーレーはナンダ?」と話題になり、『FLSTF ファットボーイ』も一躍人気モデルに。映画の公開1年前の1990年に発売したニューモデルで、ハーレーダビッドソンとしては新しいコンセプトを掲げた意欲作だったのです。
見てわかる通り、ロー&ロングなスタイルはハーレーダビッドソンではお馴染みですが、前後16インチのホイールは前例のなかったディッシュタイプで、フロントに130mm幅のワイドタイヤを履く足まわりは、じつに斬新なもの。
空冷Vツインやナセルヘッドライトといった伝統のフォルムの中に、未来を予感させるディッシュホイールやショットガンマフラーと呼ばれるワイルドな2本出しエキゾーストを装備し、銀幕の中で強い存在感を放ったのでした。
博物館にも飾られるほどの人気ぶり
ファットボーイはその後、ラインナップに欠かせないモデルとして注目され続け、エンジンが初代のエボリューション1340ccから、ツインカム1450cc、さらに排気量が拡大されたり、ミルウォーキーエイトエンジンに進化したり、はたまたフレームが刷新されるなどしても絶版することはなく、ロングセラーモデルになっていきます。
1903年の創業以来、ずっと本社を構え続けるアメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーには、公式の『ハーレーダビッドソンミュージアム』がありますが、そこには『ターミネーター2』でアーノルド・シュワルツェネッガーが演じた「T-800」の等身大人形と、撮影に使われたファットボーイが展示されていますから、ハーレーダビッドソンにとってもこの映画が重要であったことがわかりますし、ファットボーイが代表作のひとつであることがうかがい知れるのでした。
30周年記念モデルも登場する定番へ
2020年には誕生30周年を記念するアニバーサリーモデルも登場。30年前には130mmでも極太と感じたフロントタイヤは、さらに30mmワイドな160mmになり、リヤタイヤはなんと240mmに。
ディッシュホイールも再現され、昨今トレンドとなっているダークカスタムとし、全身をブラックアウトしているのも見逃せません。
ちなみに、敵のアンドロイド「T-1000」もまたファン垂涎モノのバイクに乗っていまして、それがポリス仕様であるカワサキ『KZ1000P』なのですからたまりませんね。まだ一度も観たことがない人はもちろん、観たことがある人もぜひチェックしてみてください。ボクもまた観たくなりました!
さて、今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。冒頭でもお知らせした通り、『私が推したいバイクが登場する作品』がここForRの記事で連発されていきますので、他の執筆メンバーの“推し作品”もどうぞお見逃しなく! お時間があるときに「バイクが登場する作品」をアレコレといろいろ、どうぞご覧になってください!!