そろそろ年度末に向けてラストスパートという時期になってきた。この時期、ライダー的に気になるのはやっぱりツーリングプランの状況だろう。
昨年はついに「二輪車定率割引」(以降、定率割引)が実施された。土・日・祝日のみ、さらには1回の走行距離が100km以上という条件つきではあったが、北海道から九州まで広範囲の高速道路が対象となり、多くのライダーが利用したのだ。
(「二輪車定率割引」は ForRライターの髙木さんが実際に利用して記事にしているのでぜひ一読を)
で、どれくらい利用されたのかについて、10月28日に開催された公明党オートバイ議員懇話会(以降、懇話会 ※上写真)の中で公表されたので紹介しよう。
2017年から続いているエリア・路線限定の定額ツーリングプラン(以降、定額プラン)との併催ということを考慮して見てほしい。
Contents
定率割引が定額プランを圧倒!
さて、定率割引は定額プランに比べてどうだったのか? 1日の平均利用件数で見てみると… 以下の結果に。
●定率割引(土・日・祝日 限定)の利用件数 ※日平均は往復換算
対象期間 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 合計又は平均 |
利用件数 | 37,165 | 65,252 | 16,545 | 25,635 | 21,783 | 24,211 | 190,651 |
対象日数 | 10 | 12 | 8 | 11 | 9 | 10 | 60 |
利用件数 日平均 |
3,717 | 5,438 | 2,068 | 2,330 | 2,420 | 2,421 | 3,066 |
往復換算 |
1,858 | 2,719 | 1,034 | 1,165 | 1,210 | 1,211 | 1,533 |
●定額ツーリングプランの利用件数
対象期間 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 合計又は平均 |
利用件数 | 2,483 | 21,452 | 8,748 | 10,846 | 14,000 | 13,310 | 70,839 |
対象日数 | 6 | 31 | 26 | 29 | 31 | 31 | 154 |
利用件数日平均 | 414 | 692 | 336 | 374 | 452 | 429 | 450 |
定率割引は定額プランの3.4倍!
定率割引の平均利用数は1日 1,533件(60日)
定額プランの平均利用数は1日 450件(154日)
定率割引は高速道路に1回乗るたびにカウントされる(100km以下で高速を降りるとノーカウント)ので、復路も高速道路を使ったとして、その半分の回数(÷2)で計算している。対象日数も定率割引(土・日・祝日のみ)のほうが少ないが、それでもこの差がついた。
定率割引を月ごとに見てみると、4月の開始時点で1日平均は1,800件オーバー。初の大型連休であるゴールデンウィークのある5月には2,700件オーバーとなりピークを記録した。
梅雨時の6月には1,000件台に落ち込んだが、その後は9月まで1,200件オーバーを維持。PCやスマホでの事前登録の面倒くささなどどこ吹く風で、定率割引は順風満帆の初年度スタートを切ったのだ。
定率割引が好調だった要因は?
いろいろと考えられるが、懇話会では「二輪車の効用が再認識された(新型コロナ禍でブースト)」とざっくりと推測されていた。アンケートの調査が済んでいない段階だったので致し方ないが、個人的な推察としては次の要因を挙げておきたい。
第12世代バイクブームの影響
漫画・アニメ・映画・実写などあらゆる形態でヒットした「ゆるキャン△」などアウトドアブームによるキャンプツーリング人気の高まりなど、モノからコトへと価値観の推移が目立った。
特に若年層(10~20代)の中で顕著で、バイクそのものの価値よりも自分の趣味やライフスタイルの中にバイクを取り入れるといった第12世代バイクブームの影響もあったように思う。これは主にSNSを見ていて感じることだ。
なので、「バイクにも高速教習があったらなぁ」と、より一層切実に感じた次第だ。若年層はお金を払っても受けたいという人も多いんじゃないかな? 希望制でもいいんだけど…。
定額プランでは対象外だったエリアも対象に
新型コロナの影響なども受けて、実施コースや実施日数にはバラつきがあるものの、2017年から続いている定額ツーリングプランでも、どうしても対象外となるエリアがあった。
定額プランは地域活性という目的があって、どうしても都市部から地方へという考え方でエリア設定されていたため、地方の僻地に住んでいるライダーの中には定額プランを使えずにいた人も多かった。
定率割引ではこうした問題がかなり解消され、ずっと対象外とされてきたエリアのライダーも利用できた。
2022年度の分析に期待!
今期は、定率割引が実施されたこともあって、国交省から業界団体やオートバイ議連の政治家に利用データが定期的に提供され、これまで以上に分析も進んでいるようだ。利用者へのアンケート結果なども出てくれば、上記の要因もはっきりしてくるだろう。
定率割引を改善!? 二輪業界が要望
懇話会の場では、定率割引の内容について二輪業界が改善を要望した。主な内容は以下だ。
要 望 | 概 要 | |
申込 条件 |
割引対象日 の拡大 |
①定率は宿泊ツーリングが多いので大型連休の飛び石を接続してほしい ②土日連休の前日午後と翌日午前も対象にしてほしい |
走行 条件 |
走行距離の短縮 または撤廃 |
1回の走行距離100kmを短縮または撤廃してほしい |
高速走行時 |
①事故・悪天候・体調急変などアクシデントで高速を降りても再び乗った時には継続と見なしてほしい ②アクシデントで100km未満となっても割引を適用してほしい |
|
走行前後の |
①目的地で高速を降りた後、近隣観光での短距離利用も割引対象としてほしい ②往復で200kmを超えれば往復のどちらかが100km未満であっても割引対象としてほしい |
強風や豪雨など高速道路上の危険性を考えて!
改善要望の中でも、アクシデントの考慮は個人的にもぜひお願いしたい。特に冬から春にかけての強風シーズン、梅雨や秋雨による豪雨や台風ではライダーの命にかかわるような危険が少なくないので、高速道路上を無理して走り続けるのではなく、気軽に高速道路を降りれる内容としてほしい(緊急避難)。
最後に、二輪業界は二輪車用のETC購入助成金についても毎年要望している。今年もきっと「車載器購入助成キャンペーン」が展開されると思うので、みんなもアンテナを張っておいてほしい。