「♪ショ~シュ~リキィ~ッ!」とT.M.Revolution 西川貴教さんの伸びやかボイスも印象的なCMを放映してきた「グローバル・ニッチ・No.1」を目指す“空気ビジネス”の会社と言えば……? ハイそうです、エステー株式会社(英文社名:S.T.CORPORATION)さんですね。片やバイクの「(スズキ) ST」もニッチな市場を狙っていた……はずが想定以上のヒット作となり、ギョーカイの空気を変えていったのです!
●2005年3月に配布された「ST250」カタログより。「自分らしさを広げる、シンプルなベーシックモデル。」と自らキャッチコピーでも謳っているくらいですから、まさに“ザ・バイク”。新設計(!?)された249㏄空冷4スト単気筒OHC2バルブエンジンは最高出力20馬力/7500回転、最大トルク2.2㎏m/6000回転という実力。乾燥重量127㎏、シート高770㎜、燃料タンク容量12ℓ、60㎞/h定地燃費は55.0㎞/ℓで理論上の満タン航続距離は660㎞という立派なもの。税抜き当時価格34万9000円(消費税5%込みでも36万6450円)というロープライスも実現していたのです
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「ST」とは……SUTEKIなTANSHAの頭文字!?
いつも以上にムリヤリな導入となってしまいましたが(笑)、「空気変えよう」をスローガンに独自性ある空気ビジネスの新技術を活かして新しい市場を創造し、我々の暮らしを明るく元気にしてくれるエステー株式会社……。
●エステー株式会社は、消臭芳香剤「消臭力」、防虫剤「ムシューダ」、脱臭剤「脱臭炭」、除湿剤「ドライペット」、米びつ用防虫剤「米唐番」などなど、ニッチな市場で高いマーケットシェアを占める独自性の強いブランドを数多く保有している会社。テレビCMなどで知らず知らず数多くの商品名が頭に刷り込まれていることにアナタも驚くはず。少なくとも筆者は気が付けば「♪ニオイがつかない♬……」や「♪ショ~シュ~リキィ~ッ!」、たまに歌詞を変えて「♬チョ〜シュ〜リキィ〜!」などなど、クセになるメロディをしょっちゅう口ずさんでいることを認識して改めて驚愕……
社名がそのものズバリの「ST」だとは、今回初めて知りました(^^ゞ。
ちなみにその「ST」とは、経営理念にある「社会に対する奉仕(SERVICE)と信頼(TRUST)を信条とし、製品については最高(SUPER TOP)を求めること」より、SとTの頭文字をとって命名されたのだとか、素晴らしいですね。
●サイト内にある「エステー宣伝部.com」では、ご存じ西川貴教さんをフィーチャーした「消臭力」のCMや、その舞台裏バナシほか、オモシロ情報が盛りだくさん。関係ないですけどエスティーではなくエステーなところも非常に良き、です……
一方、スズキのスタンダードシングルスポーツ「ST250」は……、車名の由来を探してみたのですけれど公式のウェブサイトに正式な解説はなし。
フツーに考えればSINGLE TOURERでしょうかね……あ、TはTRADITIONALの頭文字かもしれません。
まぁ、そんなことはともかく(?)スズキの「ST250」は2003(平成15)年10月24日からスタートした第37回 東京モーターショーで初公開されたあと、同年12月12日に発売が開始されました。
●ショーで大きな注目を集めたモデルをいち早くユーザーへ届ける……。「ST250」に限らず、スズキはそういう流れをかますことが多い気がいたします。例えば直近だと2023年10月28日〜11月5日の日程で開催された東京モーターショー、ではなくジャパンモビリティショー2023において発表された「スズキ・スイフト コンセプト」(写真)が、2024年1月17日には新型「スイフト」として正式に発売開始されたり……。その素早さ、嫌いではありません!
「シンプル イズ ベスト」を地でいくスタイルと走行性能……
ど~ですか、お客さん!
●2003年12月12日に発売された2004年型「ST250」(ソリッドブラック)。1ヵ月遅れの2004年1月15日にはセルフスターターだけでなく、キックスターターやメッキマフラーなどを採用した「ST250 E type」もリリース(税抜き当時価格37万9000円(消費税5%込み39万7950円)されました。なお、Eタイプはキック始動用のペダルが追加されたことなどにより乾燥重量はSTD比2㎏増の129㎏へ。Eタイプの詳細紹介は次回!
いやもう“シンプルな”とか、“端正な”とか、必要最低限なことをいい方向に捉える形容詞しか頭に浮かんでこないスタイリングには、ちょっとした衝撃を受けました。
ど〜んと生真面目に真正面を向いている丸目一灯のヘッドライト、トラディショナルなスポーク式の前後ホイール、奇をてらわない丸々と育ったナスのような燃料タンクと、それに呼応する幼児の頬もかくやなプックリ張りのあるサイドカバー……。
●クレヨンしんちゃんではありませんが、プックリした幼児のほっぺたというのは、なんとも形容しがたい可愛らしさを感じるもの。息子たちの頬をクリクリと何度も触りまくり、しまいには「ヤメテッ!」と嫌がられてしまった在りし日の記憶がよみがえります……(遠い目)
リヤのショックユニットもドラムブレーキも簡素かつベーシックそのものながら、メッキボディが美しいシュッとしたウインカーボディや丸型のテールランプなど、ちょっとだけオシャレにこだわった部分も散見され、深夜のモーターサイクリスト編集部、パソコンモニターで広報写真データの細部を確認していた筆者は思わずニヤニヤしたものです。
●ちょうど2000年代前半はメーカーからの広報写真がポジフィルム→高解像度データへ置き換わる過渡期。パソコンでイロイロ編集できるようになった喜びはひとしおでした。ただ、仕事が楽になったワケではなかったのですけれど
正直、前任車(?)の「ボルティー」が備えていた“可愛らしさ”は薄れてしまった印象ですけれど、ホイールベースが50㎜も延長された(1325㎜→1375㎜)うえにリヤホイールも17インチ→18インチ化を果たし(フロントは18インチで変わらず)、さらにタンデムシートも座り心地のよさそうな広い座面を獲得するなどで「ボルティー」に感じられた寸詰まり感が一掃され、水平基調の伸びやかなフォルムを獲得しているではあ~りませんか!
●1999年型「ボルティー type Ⅰ」カタログより。この丸っこくて可愛らしいデザインは、スーパーカー“童夢-零”などでも知られる株式会社 童夢が担当したのだとか! 249㏄空冷4スト単気筒OHC4バルブエンジンは最高出力20馬力/7500回転、最大トルク2.1㎏m/6000回転というパフォーマンスを発揮。燃料タンク容量12ℓ、シート高750㎜、乾燥重量125㎏という小柄さや軽さ+低価格は大きな魅力だったのです
「お~、いいねぇ~ST250。人気のあるエストレヤに寄せてきたのかな」とは、通りすがりに私のデスクに置いてあるモニターをのぞいた一言居士な先輩編集部員。
「いっそのこと、エストレヤのOEMとして車名だけ変えれば良かったんじゃないの、ハハハハ」と当時の状況を鑑みた(ゆえに強く記憶に残っております)辛辣なコメントを放って自分の席へ戻っていきました。
●2001年の8月に突然発表されたスズキと川崎重工業の業務提携。それを受けて2002年には二輪車の相互OEM供給がスタート! 「スカイウェイブ250タイプS」が「エプシロン250」に、「バリオスⅡ」が「GSX250FX」に……などなど驚きの展開が始まったものの、さすがにエストレヤ(写真は2004年型「エストレヤ カスタム」)をスズキブランドで売るという話はまとまらなかったようです。もしも実現していたなら車名はスズキ「コレダ250SK」とかになったのでしょうか(^^ゞ
「ソレハナイデショ……」と深呼吸して気を取り直し、再びモニターへ向き合って「ボルティー」と「ST250」の広報写真を並べ細部を見比べてみると……。
ありゃりゃりゃ? エンジンの前面から飛び出しているエキゾーストパイプが2本から1本に変更されているではないですか!
●「ボルティー」ではエンジン前面にあるフレームの左右両側を細めのエキゾーストパイプが通過しているのですけれど、「ST250」(写真はEタイプ)では太いエキパイが1本だけエンジンからみょ〜んと飛び出しているではないですか。よく見るとフィンが周囲を覆うシリンダー部分のボリュームが明らかに増しており押し出し感もマシマシ!
恥ずかしながら、そこで初めて「ST250」のエンジンが大改良を受けていることに気付いた次第(←プレスリリースをまず読め)。
と、ここでやっぱり「ST250」につながる偉大なるスズキ250シングルモデルの血脈を紹介しておかねば理解も深まらないことでしょう。
「機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編」が封切られた年に……
ぬぁんと、「ST250」のルーツは1982年にまで遡ります。
●ポスター図版はサンライズ「機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編」作品紹介ウェブサイトより。1982年3月13日公開 配給:松竹 映像メディア/販売元:バンダイビジュアル 筆者が山口県新南陽市で中学2年生となる直前の春休み、地元の映画館テアトル徳山へイソイソと観に行きましたよ。なんですか、このカッコ良すぎるポスターは……。それはさておき、ホテルニュージャパン火災や日航機羽田沖墜落事故、東北・上越新幹線開業などもあった年に、スズキ入魂のニュータイプ……新開発された250㏄4ストシングルエンジンが世に放たれたのです〜
まさしく熱狂の1980年代バイクブームに火が付いてHY戦争も苛烈さを増すばかりだった当時、市場の急拡大を受けてスズキも多彩なモデルを連発していきました。
その中でホンダXL、ヤマハXT、カワサキKLが先行していた4スト250デュアルパーパスの世界へ、遅ればせながら追従していったモデルが1982年3月に発売開始された初代「DR250S」でした。
●1982年型「DR250S(SJ41A)」は、TSCC(後述)を導入して新規設計された249㏄空冷4スト単気筒OHC4バルブエンジン(22馬力/8500回転、2.0㎏m/6500回転)を市販車として初めてフルフローターリヤサスペンションを採用したボディへと搭載。シート高830㎜、乾燥重量114㎏、燃料タンク容量9.5ℓ、50㎞/h定地燃費は56.2㎞/ℓを記録していました。当時価格は33万9000円ナリ
ちょうどそのころは“ジャメリカン”……ジャパニーズアメリカンモデルと、今改めて文字におこすと意味不明感がハンパない名前のジャンルも大人気でしたので、
「んじゃま、ええエンジンもできたしコレでアメリカンモデルも作っておくらぁ~」「やらまいか!」
●日本では1970年に公開された「イージー・ライダー」の大ヒットなどにより、アメリカンなバイク(ずばりハーレーですね)を模した日本メーカー製の車両が続々と登場。並列4気筒エンジンのクルーザーなんかもあったりして、それはそれで面白かった記憶がございます
……というやりとりがスズキ本社内であったかどうかは不明ですが、ほぼ「DR250S」と同時に開発されていたのでしょう。
スズキ初の4スト250デュアルパーパスモデルがデビューした1982年3月から約1ヵ月遅れの4月、今でいう250シングルクルーザー「GN250E」も登場いたしました(そちらのカテゴリもホンダが“マスター”or“カスタム”、ヤマハは“スペシャル”、カワサキも“LTD”などといった各シリーズで先行……)。
●「DR250S」まんまの元気イッパイな22馬力/2.0㎏mエンジンを、いかにもジャメリカンなスタイリングに搭載した「GN250E」。ティアドロップ形状な燃料タンクの容量は10ℓで乾燥重量は138㎏。当時価格は30万8000円でありました。ちなみに車名にある“E”はアルミキャストホイール採用車であることを高らかに示すアルファベットですね。日本においては非常に人気薄で早々にラインナップ落ちいたしましたが欧州や豪州などでは一定以上の販売量を達成しており、残されていた金型類が12年後に大きな花を咲き誇らせることとなります
ともにパワーユニットは当時のスズキが研究開発していた最新知見を全投入した249㏄空冷4スト単気筒OHC4バルブエンジンで、何と言ってもその特徴は“TSCC(2過流燃焼室)”を採用していたこと。
詳細は図版の説明文に譲りますが、1気筒当たり吸気用2バルブ+排気用2バルブ……合計で4バルブを持つスズキ4ストエンジンへ広く採用されていった技術で、カタナやインパルスを含む1980年代GSXシリーズのクランクケースカバーには誇らしげに“TSCC”のロゴが躍っていたものです。
●TSCC(Twin Swirl Combustion Chamber=ツイン・スワール・コンバスチョン・チャンバー=2渦流燃焼室)とは、シリンダーヘッドに2つのドームを設け、それぞれに吸気&排気バルブを配置。吸入された混合気は燃焼室内で2つの渦流を生じさせるため空気とガソリン分子とが良く攪拌され燃焼効率を高めることができる……というもの。また、スパークプラグを燃焼室の中央、かつピストンに近づけることができるために燃焼時間も短縮でき、高回転化や高効率化にも対応できました。1気筒4バルブであることの利点を突き詰めたこの技術は、登場から40余年が経過した今もなおスズキの車両に生き続けているのです!
●写真は1982年に登場した「GSX750S」のエンジンですが、クランクケースカバーにしっかり「SUZUKI TSCC」のロゴがございますね〜
ちなみにこのテクノロジーは以降あからさまに宣伝することは減ったものの、スズキ4バルブエンジンの基礎的な技術として着実に進化発展しており、最新の「隼」にも新概念のTSCCが当然のごとく投入されております。
バブル崩壊後のニッポンに「ボルティー」という癒やしの風が吹く
閑話休題。
さて、生き馬の目を抜く4スト250デュアルパーパスの世界では初代「DR250S」の空冷OHC(22馬力)だと長く優位性は築けず、1990年デビューの2代目「DR250S」では油冷化(29馬力)、
●1990年型「DR250S(SJ44A)」は市販4サイクル250㏄クラスのオフロード車として国内で初めて倒立式フロントフォークを採用して軽量&高剛性化を両立したモデル。新設計の249cc油冷4スト単気筒OHC4バルブエンジンは最高出力29馬力/8500回転、最大トルク2.5㎏m/7000回転を発揮しました(このエンジンは30馬力/2.6㎏mまでパワーアップされ1992年発売の「グース250」にも搭載されましたね)。シート高880㎜、乾燥重量117㎏、燃料タンク容量9ℓ。税抜き当時価格は41万9000円(消費税3%込み価格は43万1570円)
1995年登場の「DR250R」に至ってはDOHC化(31馬力!)と着実に高性能インフレーションをおこしていきました。
●1995年型「DR250R(SJ45A)」はコンパクトかつ軽量であることを追求し、またまた新規開発された249㏄油冷4スト単気筒DOHC4バルブエンジン(最高出力31馬力/8500回転、最大トルク2.8㎏m/7000回転)を搭載。乾燥重量111kgという軽さを実現したボディは新開発の正立式フロントフォークやアルミ製スイングアームなどを採用し、オートデコンプ機構やセルフスターターまで装備していたのも特長でした。シート高が40㎜低い845㎜という低車高仕様も設定(STDは885㎜)。燃料タンク容量10ℓ。税抜き当時価格は46万9000円(消費税3%込み価格は48万3070円)ナリ 。なお、こちらのエンジンと車体は1996年にデビューした「ジェベル250XC」にも使われましたネ
しかし、カワサキ「ゼファー」が1989年に登場して以降ギョーカイ全体としての潮目はまったく変わり、イケイケドンドンこそ命だった従来のレーサーレプリカブームとは真逆の「馬力?知らんわ、トコトコのんびり走れればOK牧場!」という筆者のようなスペック至上主義ヤロウにとってはアンビリーバブルな世界が台頭。
さらに1991年頃にはバブル景気もはじけてしまい、バイクユーザーのフトコロ具合もシオシオのパー(ん?この言葉の意味が分からない? 令和のギャル語で言うと「ガチしょんぼり沈殿丸」です)方向へ……。
●1980年代後半から天井知らずのように高騰を続けた株価と土地の値段が急落したバブル崩壊。以降、可処分所得がドカンと減って、お金が回らなくなったことを肌で感じました……
そんな世の趨勢にジャストミートし、1994年11月に登場するやいなや大ヒットをカッ飛ばしたのが「ST250」の偉大なる先輩である「VOLTY(ボルティー)」だったのです。
こちらのベースとなったのが……そう、1982年に登場するも不人気車の烙印を押されて日本市場からは早々に退出し、多くの人から忘れ去られていた「GN250E」でした。
●写真は売れ筋だった「ボルティー TypeⅡ」で税抜き価格は32万9000円(消費税3%込み価格は33万8870円) 。選べる銀、緑、青の渋いボディカラーにベージュのシートがよく映えてました。 なお、スズキ公式「二輪車 車名の由来」によれば「VOLTY」とは造語で、ライダーの意志へ忠実に応えるバイクを目指したことから命名したとか。何度でも賞賛しますが、このスタイリングを作り上げた童夢さん、本当にイイ仕事しましたね〜
●「ボルティー」と比較してもらうべく今一度登場していただいた「GN250E」様。こちらの存在なくして1990年代の中盤に、250ロードスポーツがニッキュッパーで販売されることなんてあり得なかったワケですから……。なお、今さらですが、エキゾーストパイプが2本出ているからといって2気筒ではありません。単気筒4バルブエンジンの2つある排気側バルブ1つごとに1本、エキパイが設定されていた、ということなんですね。上で紹介している「DR250S/R」のようにエンジン内で排気通路が集約され、取り付けられるエキパイは1本のみ……ということもザラにございます。昔、筆者はエキパイの数=気筒数と思い込んでいたので(涙)念のため
この「GN250E」から4バルブTSCCエンジン、メインフレーム、足まわり関連パーツにマフラーなどなど、流用できるものはトコトン流用してコストを徹底的に削減した「ボルティー」。
その甲斐あって1994年の登場時、税抜き価格が“ニッキュッパー”(29万8000円 ※黒1色のType Ⅰ。銀・緑・青のType Ⅱは32万9000円)というプライス大破壊インパクトで一躍注目を集めたのです。
同時期のライバル(?)である、カワサキ「エストレヤ」が45万円、ホンダ「GB250クラブマン」は42万8000円(ともに1994年末時の税抜き価格)でしたから「ボルティー」の安さが相当なものだったとご理解いただけるはず(ボルティーのバリエーション展開などはコチラをご参照ください)。
●上にリンクを張った「エストレヤというスーパースター【後編】」の執筆時には見つからなかったスポークホイール仕様の1996年型「ボルティー タイプC」のカタログが発掘されましたので、追補しておきます。ビジネスはもちろん、長期間キャンプツーリング好き(距離&積載ガバ勢)にもビビビと響きそうな姿形。コレはコレで大アリですね〜。こちらは税抜き当時価格は32万9000円でありました
●同じくリンク先、モノクロ写真でお茶を濁していた1997年型「ボルティー タイプC」も美麗なるカタログ写真が出てきましたのでここで紹介。前年モデルからリヤキャリヤベースとセンタースタンドを当然継続しつつ、新たにアルミキャストホイールまで採用されたため、チューブレスタイヤが使えるように……(それでお値段は税抜きで1万円アップのみの33万9000円!)。まさしく当時隆盛を誇ったバイク便御用達バージョン!?
結局、「ボルティー」は1994年から2004年まで10年以上にわたるロングセラーとなりました。
●モデル末期となる2003年5月に発売が開始された「ボルティー ホワイトバージョン」。モデルライフを重ねていくなかで細部改良、装備充実、厳しい排ガス規制への対応などが行われ、この仕様では税抜き価格が35万8000円となっていましたが消費税5%込み価格でも37万5900円と、40万円を大幅に下回るプライスタグだったのは見事と言うしかありません。ホワイトバージョンのタンクには「HOW ARE YOU」と「FINE THANK YOU」という英文レターとワンポイントのURLが配され、オシャレ度も全開フルスロットル!
その後継車として登場した「ST250」は、当然のごとく「ボルティー」のエンジンを流用しているものとばかり思い込んでいたもので、エキパイの数が2本→1本になったことに気付いたときに衝撃を受けたのです。
そう、なんとまさかまさかの4バルブ→2バルブ化が果たされていたのですよ!
ここは「ST250」を語る上でのでっかい“キモ”なので、次回ネチネチと詳細をお届けいたしましょう。
●「ST250 Eタイプ」についても。しっかり述べさせていただきます。圧倒的な売れスジですし……(^^ゞ しかし改めて考えてみると「ボルティー」→「ST250」という流れが作った“シンプル&ロープライス”路線は200〜250㏄クラスの空気を見事に変えました。ホンダも「CB223S」という白飯のようなモデルを出してきましたし(笑)。そこいらへ密接に関係する“トラッカーブーム”についても言及する予定です!
あ、というわけで「ST250」はシンプルさを極限まで突き詰めつつ(エンジンのバルブ数まで!)、乗り手へ飽きのこないライディングの“美味しさ”を与えてくれる名車です。ユーズドバイクが豊富に存在する可愛らしい「ボルティー」も含め、ぜひレッドバロンの良質な中古車群からかけがえのない1台を見つけ、バイクライフをエンジョイいたしましょう!
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