いつだって気になるのはスズキ車、しかも250cc

スズキ車が好きだ。……といっても、残念ながらいまはスズキ車は所有していない。というか、最後に愛車にしたのは25-6歳のときに半年くらい乗っていたRGV-Γだから、もう20年も前になる。

そんな僕が「スズキ車が好きだ」と言っても信じてもらえないかもしれないが、本当に好きなのだ。なぜか? 答えはもうこの記事のタイトルになっているので、お気づきだと思うが(笑)、そう、僕の初めての愛車がスズキ・GSX250Sだから。27年前、自動二輪免許(当時は中型限定、いわゆる中免)を取ったばかりに僕が選んだのが、当時「小刀」と言われたモデルなのだ。

「三つ子の魂百まで」とはよく言ったもので、それから僕はスズキ車、とくに250ccのニューモデルが出るともう、気になって仕方がない。いや、ニューモデルだけでなく、街ですれ違うスズキ・250ccモデルをついついジロジロ見てしまう。なんとなく親近感を沸かせてしまう僕なのである。

さて、先日那須モータースポーツランドで開催されたメディア向け試乗会である。僕もグーバイクWEBにおいて、“安易な中古車の個人売買の危険性”について警鐘を鳴らすべく参加したのだが、なんと当日、僕の大好きなスズキ・250ccモデルが3台も並んでいたのである。

SUZUKI 250cc

SUZUKI ST250 E-type/V-Strom250/Bandit250 V

それぞれ発売時期もエンジンの種類もジャンルもバラバラ。だけど、どれもがやっぱり僕が気になるモデルたちなのである。では、これらのモデルにどんな魅力があるのか? 主観多めではあるが、紹介していきたい。

SUZUKI V-Strom250

Vストローム250

スズキ・アドベンチャーツアラー「Vストローム」シリーズの末弟として、2017年に登場したVストローム250は、今も人気の現行モデル(ABS仕様のみ)。僕が好きなポイントは、その乗りやすさとワインディングでの楽しさだ。

アドベンチャーツアラーというと大柄な車体がイメージされるが、Vストローム250はコンパクト。足つき性も考慮されていて、小柄なライダーでも不安はない。

Vストローム250

そしてGSX250R譲りの水冷並列2気筒エンジンは低速トルクがしっかり設定されたセッティングで、街中でも扱いやすく、それでいて十分なパワーを持っている。正直、高速道路ではワンモアパワー! と言いたくなるのだが、交通の流れにはしっかり乗れるので、のんびりツーリングを楽しむ分には問題ない。

むしろ、粘りがあって扱いやすいエンジンはワインディングでその効果を発揮。コンパクトな車体と前後17インチホイールも相まって、自在にコーナーを駆け抜けられるのだ。

普段はのんびり走り、コーナーリングでは爽快感を味わえる……この絶妙な走行パフォーマンスがとても心地よい。

Vストローム250

そしてアドベンチャーツアラー然としながらも、愛嬌のあるスタイリングもお気に入りのポイント。

スズキ・アドベンチャーツアラーのアイコンともいえる「口ばしデザイン」を継承しつつ、1050や650とは異なる丸目ヘッドライトがなんともタフギアっぽくて頼もしい。

Vストローム250

なにより、Vストローム250は兄貴分とは明らかに異なるデザインが採用されているのがいい! 口ばしデザインなどの特徴は維持しつつも、250ならではのデザインとすることで、Vストローム250としてのアイデンティティがしっかり確立されているのだ。

リアキャリアやウインドスクリーン、ナックルガードなど、アドベンチャーツアラーとしての装備にもこだわりがあり、ロングツーリングも快適にこなせる実力を持っている。

今、僕がもっとも注目しているスズキ・250ccモデルだ。


SUZUKI ST250 E-type

ST250 E-type

空冷単気筒エンジンを搭載したスタンダードモデルとして、スズキにはボルティーというモデルがあったが、その実質的な後継機として登場したのがST250である。ちなみにここに紹介するのは、その上級バージョンであるST250 E-Type。

僕はボルティーよりもST250の方が好きだ。

ST250 E-type

その理由はエンジンにある。

じつは同じ空冷単気筒エンジンでも、ボルティは4バルブ、ST250は2バルブとなっている。退行したのか? と思われるかもしれないが、そうではなく、この変更によってST250はよりトルクフルな単気筒らしい味わいとなっているのだ。

逆にいえば、高回転までスッと回るエンジンが好きならST250よりもボルティーを選んだ方がよい。あくまでも好みの問題として、僕はST250の方が好きなのである。

ちなみに、グラストラッカーとグラストラッカー・ビッグボーイはST250やボルティーと車体を共有していたため、年式によってエンジンが異なる。同じ車名だが、エンジンテイストは全く異なるため、中古車をお探しの読者は注意していただきたい。

もちろん、SR乗りである僕がいかにも好きなネオクラシックタイプであることも、高ポイントの一因。

前後18インチホイールを採用することで、クラシカル感を高めている点も見逃せない。

ST250 E-type

分厚いシートやまん丸なテールライトなども、愛嬌がある。

決して高性能ではないけれど、なんだか憎めないキャラを持っていて気になってしまう……ST250はそんなモデルといえよう。

 

SUZUKI Bandit250 V

そして最後がバンディット250。日本語に訳すと「山賊」なのだが、山賊どころかヨーロッパの貴族のような流麗なスタイリングを持つ美しいモデルだ。

今でこそ250cc並列4気筒モデルといえばカワサキ・Ninja ZX-25Rしか新車ラインナップがないが、90年代は各メーカー数種類のモデルを揃えていた黄金期! GSX250Sと同じく、僕の青春真っ只中を走っていた思い出の1台なのである。

特筆すべきは、この美しいスタイリング! トラスフレームにボリューム感のある燃料タンクの組み合わせは、まさに流麗のひとこと。

ちなみにロケットカウルを装着した「バンディット250リミテッド」という派生モデルもあり、これはバンディットの流麗さをさらに倍にしたような美しいモデル。今でもたまに街中で見かけると、思わず振り返ってしまう。

見た目だけでなく、走らせても楽しい。1万5000回転近くまで回るエンジンに加え、コンパクトですっぽりお尻がハマるシート、そしてニーグリップしやすいタンク形状なども相まって、サーキットを気持ちよく走らせることができた。

絶対性能でいえば、もちろん大排気量車には敵うべくもないが、甲高いエキゾーストノートと、自在に操れる操縦性の良さで、なんだかめちゃくちゃ速く走れているような感覚になる。

公道ではむやみに飛ばすことはできないので、この感覚を味わえるということは意外と重要なことだと、僕は思っている。

ちなみに撮影車両は可変バルブを備えたエンジンを採用した「V」である。赤いヘッドがその目印だ。

うーん、やっぱりこの時代の水冷4ストローク並列4気筒250ccエンジンは特別。青春時代が蘇ってくる。

そして最後に、そんな青春時代の僕……ではなくて、これは2019年に行われたメディア向け試乗会での1枚。GSX250Sがあって、乗りまくったものである(笑)。

こうして見ると、個性は違えどスズキ・250ccは粒揃い。どのモデルもバイクライフを充実させてくれる名車だと思う。で、こんな名車がいろいろ見られるレッドバロンって、やっぱり楽しいなぁ。

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