4月20日(日)、富士山麓に位置する都市公園「富士山こどもの国」(静岡県富士市)で開催された、スズキVストロームシリーズオーナーによる「ふじVストミーティング2025」(愛称:ふじスト)の模様を前編(コチラをクリック!)に続いて紹介する。
後編ではカスタム車両とオーナー、さらには会場の一角にスペースが用意されたホンダ400Xシリーズのミーティング参加についても説明したい。
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いま一番おもしろい“旅バカ”バイク、Vストローム!「ふじVストミーティング」が開催!<前編>
いま一番おもしろい“旅バカ”バイク、Vストローム!「ふじVストミーティング」が開催!<後編>
Contents
Vストカスタムの流行とは? 気になる流行最前線!
今年はVストロームシリーズだけでも400台以上が参加したとあって、カスタムのトレンドも幅広く見ることができた。基本的には「より多く載せたもん勝ち」的なムーブメントの継続はあるものの、250SXや800DEの登場もあってか走破性やデザインを損なわないような“まとまりのよい”積載も増えているようだ。
【トレンドその1】スクリーンとヘッドライト

▲ヘッドライトを換装しウインドスクリーンはライトガードを兼ねるデザインで、フロント周りが精悍な印象に
スクリーンの交換や装着はアドベンチャーモデルでは定番で排気量を問わないカスタムだが、特にVストローム250で多く見られたのがウインドスクリーンとヘッドライトの換装。スクリーンはヘッドライトガードを兼ねるようなデザインでフェイス全体が鋭い印象に。ヘッドライト自体もバルブのLED化にとどまらずユニット自体を交換しているものが目立った。

▲4段重ね!?のスクリーン&ライトガードで無骨かつ妖艶なイメージに…
【トレンドその2】すっきり、まとまりのよい積載

▲Vストローム800DEの走破性を損なわないよう、セミハードタイプのシートバッグと各部の防水ソフトバッグでまとめたパッキング構成。色合いもまとまりが良くセンスを感じる1台
前述したように、ダート走行も想定されたモデルであるVストローム250SXやVストローム800DEなどのオーナーはむやみに積載量を増やさず、積載時もパッキングをコンパクトにまとめるようなスタイルが見られる。
とにかくたくさん積めるスタンダードな無印(Vストローム250などシリーズの中核でオンロード寄りのモデル)と、走りも楽しみたい、運動性を損ないたくないという250SXや800DE。同じVストロームシリーズながら、どのようなツーリングを楽しみたいかが購入時の選択肢になりそうだ。

▲トップケースのみハードタイプとし、脱着の容易なセミハードバッグとソフトバッグで構成。林道走行も余裕でこなすVストローム250SXの走破性を重視した旅仕様だ
【トレンドその3】その他のパーツ・小物類

800DEや250SXの登場によりダート走行時も安心なブロックパターンタイヤの需要は確実に増えている
Vスト界隈の基本的なカスタム、その流行については過去の掲載記事(上段の関連記事)を参照してほしい。ここでは、少しずつ流行っているな、またはこれから流行りそうだなというパーツや小物を無作為に紹介したい。

▲Vストローム250や250SXへの装着が目立ったリヤフェンダー(マッドガード、スプラッシュガード)。汎用品かつ安価(数千円)で購入できるそうだ

▲アヒル隊長に代わって新たなトレンドになりつつあるシマエナガを装着するオーナーも目立った。今後も爆発的に増えそうだ

▲イベント、観光スポット、国道マークなどステッカーを貼るオーナーも多いが、SSTRのゼッケンステッカーは今後も増えそうな予感
ミーティングに参加したレッドバロンユーザーを紹介
「ふじVストミーティング2025」に参加していたレッドバロンユーザーを紹介。レッドバロンでは排気量やモデルを問わず、Vストロームシリーズの新車・中古車を購入することができる。
●ノットさん(長野県諏訪市)「Vストローム250」(レッドバロン諏訪店で購入)
パニアケースを中心にまとめたリヤ回りの積載、可倒式ミラーの装着など、実用的で旅慣れた装備が目を引いたVストローム250(2017年式)。新車で購入して北海道から沖縄まで日本全国をツーリングで回り、47都道府県をすべて制覇! 走行距離は現在なんと13万5000kmにも達しているがオイル漏れなどのエンジントラブルも一切なく快調だそう。
ノットさん「非常によくできたバイクで、トラブルがそもそも少ないんですよ。出先でのトラブルはヘッドライトバルブが切れたくらいですね。電装系のカスタムはLED化とETC・フォグランプの装着くらいにとどめて、あまり増やさないようにしています。出先で断線といったトラブルは嫌なので。霧ヶ峰が近いので夜間走行も考えてフォグランプはイエローにしています。“生きて帰る”がコンセプトですから」
●ひろぽんさん、らんさん(埼玉県草加市)「Vストローム1000ABS」(レッドバロン三郷で購入)
くちばしデザインが復活、採用されたVストローム1000ABS(2014年式)にタンデムライドで来場したお二人。ブラックアウトされたアルミケースはスズキの純正品(Vストローム1050用)で取り付けに苦労したというこだわりのポイント。そのほかヨシムラマフラーやエンジンガード、フォグランプ、スマートライドモニターなどを装着し、デザインと使い勝手に優れたロングツーリング仕様となっている。
ひろぽんさん「YZF-R25からの乗り換えです。足つきには気を使いますけど、パワーがあってタンデムもラクで満足しています。昨年の1月に中古で購入し、いま2万1000kmですが、まったくトラブルはありません。カスタムは完成させたかなと思いますが、しいて言えばミラーは交換したいかもしれません」
らんさん「タンデムシートの幅が広いので、後ろの乗り心地がめちゃくちゃいいです! デザインもかっこいいと思います」
●OGさん(埼玉県寄居町)「Vストローム650ABS」(レッドバロン熊谷で購入)
実は二度目(前回はコチラ)の登場となったOGさんには、その後のインプレッションなどをお願いした。3年前に新車で購入し、毎日の通勤からロングツーリングにまで使用するヘビーユーザーで、走行距離は4万9871km。今回はサイドカバーやフロントフェンダーにMDFのグラフィックデカールを貼るなどして車両の印象が大きく変わっていた。
OGさん「サイドカバーやフェンダーといった黒色の部分にあえてMDFの派手な色を入れてみました。これだけでもイメージが大きく変わったと思います。オイル交換も定期的にしていてトラブルといえばヘッドライトバルブのLOW側が切れたくらい。大型バイクだけどそんなに重くなく、装備もシンプルで使いやすくて、立ちゴケしてもがっつり壊れるわけでもなくタフ、という点が気に入ってますね」
Vストのミーティングになぜ400Xが参加していたのか?

▲400XもVストに負けず劣らずのど変態(褒めてる)カスタムが多く、見ていて飽きない
前編でもお伝えしたように、広い会場の一角にしっかり車列のスペースが取られていたホンダのミドルアドベンチャー「400X」。なぜなに? 合同開催? と不思議に思った参加者も多かっただろう。とはいえ、現地はすっかり歓迎ムードで、全体的にも違和感のない400Xミーティングとなっていた。

▲400Xミーティングを代表して参加者の前で挨拶を行うあやさん(中央)
あやさんは、開会式の中でVストオーナーらを前に挨拶をしたが、その背景や経緯について個別にお話を伺ったのでお伝えしたい。
Q.400Xミーティング開催の経緯について
昨年開催された「ふじスト」の動画を見て、いい雰囲気のミーティングだなと思っていました。ちょうど400Xミーティングをやりたいよねという話が出ていて、そのことがふじストのスタッフに伝わって「協力しますよ」というDMを頂いて、その後「ふじストのスペースを貸しますよ」とお声がけ頂きました。
最初は場内に止めさせてもらうくらいの話かと思ったら「400Xも単独でミーティングすべきだと思いますよ」みたいな話をしてくださって、Xやインスタで参加者が集まったという感じです。私は主催というか言い出しっぺですね。
Q.Vストと400Xのオーナーについて
参加者を見ると、Vストオーナーのほうが年齢が幅広い気がしますね。年代で言ったら400Xのほうが上かもしれません。でもアドベンチャー好きなので同じ人種だということは感じました。他の参加者も「同じ!」って言ってますね。
Vストオーナーは距離ガバな人が多い印象ですが、400Xのほうは距離系に加えて林道アタック系の人なども目立ちます。そこから物足りなくなってオフ車や大型アドベンチャーに乗り換える人もいて、まさにスタート地点となるようなバイクだと思います。
Q.400Xについて
Vストと同じく壊れにくくて軽い、良いバイクだと思います。ただ、Vストに比べてカスタムパーツが少ないので情報交換が大事で、SNSはすごく役に立っています。あのパーツがここにつけられる、これは使えるといった情報ですね。
あと、Vストには400ccクラスがないので、普通二輪免許で乗れるアドベンチャーモデルという点も魅力です。Vストシリーズと競合せずに、ちょうどよいポジションということで選んでいる人もいると思います。
Q.今後の展開について
「ミーティングスタッフをやらせてください」という声も頂いていますが、私自身は運営をしたことがないので、もしするとしたら箱根のバイカーズパラダイス南箱根など設備が整っているところが候補になると思います。
まとめ:アドベンチャーバイクが多様なユーザーと市場を育てる
前編・後編の2回に分けて「ふじVストミーティング2025」の模様とそこで併催されていた400Xミーティングについても紹介した。
アドベンチャーバイクと呼べるようなモデルはパリ・ダカールラリーなどのブームもあって80年代から存在していたが、極々少数だった。

▲アドベンチャーバイクの元祖とされるモデルは複数挙げられることが多いが、個人的には国内メーカー・市場で言えばホンダ「XL250Rパリ・ダカール」(1982年7月発売)などが思いあたる
見た目は似ていても、オンロードバイクをベースとしたもの、オフロードバイクをベースとしたものとでは車体設計から異なり、どちらを選ぶかによってユーザーのスタイルにも大きく影響を及ぼす。
ただ、どちらもアップライトで疲れにくいライディングポジション、多くの荷物を積みやすい車体設計、林道などダートにも入っていける懐の深い走行性能といった共通要素が多くのライダーにとって魅力となっている。
このカテゴリーがあるからこそ、ラインナップが減少したオフロードモデルやロングツーリングを楽しむという文化も途切れずに済んでいるという一面もあるだろう。ユーザーと二輪市場の今後のためにも、楽しく長く続いていってほしいカテゴリーだ。