ホンダの企業ミュージアム「ホンダコレクションホール」が2024年3月1日にリニューアルしたという記事を先日、配信しました。簡単に言えば、バイクメーカーの企業ミュージアムは懐かしいバイクが一度に見られて楽しいよ、てなことなのですが、ヤマハ発動機にも企業ミュージアムがあります。静岡県磐田市にある「コミュニケーションプラザ」です。

「コミュニケーションプラザ」とは

コミュニケーションプラザ

 ヤマハ発動機「コミュニケーションプラザ」は地上3階建ての巨大な建物。過去から現在に至るまで、同社が世に送り出してきたバイク、ボートや船外機などのマリン製品、レクリエーショナルビークル、電動アシスト自転車、四輪バギーなどを展示しながら、YAMAHAファンと広く交流することをコンセプトに建てられました。
 入館すると、まず正面に現れるのが「シンボルゾーン」。ヤマハ発動機の「継承」と「進化」を象徴する代表的な製品が並んでいます。
 栄えあるセンターに置かれ、光り輝いているのは、これ。

コミュニケーションプラザ

 ヤマハ発動機の第1号車、1955年に誕生したYA-1。なんと美しい! 黒くて武骨なデザインのバイクが当たり前だった当時、美しいフォルムと栗茶色で登場したYA-1は「赤トンボ」の愛称で親しまれたといいます。
 空冷2ストローク単気筒、排気量123㏄で5.6馬力をたたき出すYA-1は、同年に開催された富士登山レースで優勝、浅間火山レースでは上位を独占。
 美しいばかりでなく、強かったのですね。

 ところでこのYA-1の優雅さすら感じさせる曲線美、何かに似ていると思いませんか?
 そう、YA-1のすぐ後ろに展示されている、グランドピアノ!

コミュニケーションプラザ

 これはYA-1とほぼ同時期にデビューした日本楽器製造株式会社(現・ヤマハ株式会社)のグランドピアノ「G2B」。世界一流の品質を備えるばかりか、デザイン性にも優れたピアノとして多くの反響が寄せられたといいます。
 1955年に誕生したヤマハ発動機は、この日本楽器製造株式会社の川上源一社長が立ち上げたものですから、YA-1の流れるような曲線美はここから来たものなのかも知れません。

トヨタ2000GTも展示されている

コミュニケーションプラザ

 1階には日本の名車として今もその名をとどろかす1967年製のトヨタ2000GTも展示(画像右)。流麗なフォルムと先進的なメカニズムで羨望の的となった2000GTは、トヨタ自動車とヤマハ発動機が共同開発・生産したものなのです。DOHC6気筒エンジンはヤマハ発動機のチューンナップによって標準仕様で150馬力と当時としては驚異的な出力を発生。
 クルマ好きには有名すぎる話ですが、トヨタ自動車とヤマハ発動機はそれ以降、エンジン部門の開発や生産で連携しているのだそう。

YAMAHAの往年の名車が一堂に!

コミュニケーションプラザ

 コミュニケーションプラザにはその他、バイクを中心にボートや船外機、スノーモビル、ATV、自動車エンジン、電動アシスト自転車、電動車いす、ゴルフカー、産業用無人ヘリコプター、発電機、産業用ロボットなどを展示する「製品展示コーナー」、ヤマハ発動機の技術を紹介する「技術展示」、デザインやデザイン活動、その特徴などを紹介する「デザイン展示」、創業の経緯や多様な事業をもつグローバル企業への歩みなどをシアターでの映像上映とともに紹介する「企業の歴史」、レース活動など創立以来続く挑戦の歴史を年表と合わせて展示する「レースの歴史」など、見どころいっぱい。
 ヤマハ発動機の往年の名車がずらりと並べられ、まるでYAMAHA博物館といった様子で、見ていてワクワクするし、勉強にもなります。

いま見てもカッコいいトレール「DT-1」

 バイクって、実にカッコいい乗り物だと思うのですが、そんな中でも特に「これは別格!」といえるモデルがあります。筆者がかつて愛車としていたヤマハ車でいえば、SRX600(1985年)、VMAX(1990年)などが挙げられますが、愛車とするには古すぎて手が出なかったのが、このモデル。いま見てもカッコいい!

コミュニケーションプラザ

 DT-1(1968年)。エンジンは空冷2スト単気筒、排気量246㏄で18.5馬力。乾燥重量はわずか112㎏。オンロード車をオフロード車っぽくした、いわゆるスクランブラーではないんです。
 当時、国産車最長のストロークを誇ったフロントフォーク、大径ブロックパターンタイヤにエンジンガードなど、オフロード走行に的を絞った完全なるトレールマシン。
 カッコよくないですか? いま新車でこれが出たとしても売れると思うんだけどなあ……って、筆者は1990年代からずっと言い続けてきました。「セローのエンジン使って出せばいいじゃないですか」と、何度ヤマハ発動機の社員さんたちにお願いしたことか。
 とにかくまあ、そんなこんなで胸が熱くなるヤマハ発動機のコミュニケーションプラザであります。
 興味がおありでしたら、所在地や営業時間の確認など、以下の公式サイトからどうぞ。入館は無料です。

ヤマハ発動機「コミュニケーションプラザ」
https://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/cp/info/

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