前回紹介したように1990年代を通じて、やたらめったら400㏄クラスを充実させていたスズキ(もっと言えば250㏄クラスも(^^ゞ)。排ガスや騒音にまつわる各種環境諸規制強化を受けて、こだわりの多品種(結果的に)少量生産からモデルを絞り込んで少品種大量生産へシフトしていくなか、一大ボリュームゾーンに育ったネイキッドジャンルに関しては試行錯誤が続きました。しかし最後まで残った車種こそ……!?

インパルス2005年型カタログ表紙

●2005年型「GSX400 インパルス」のカタログ表紙。いわゆる“4代目”と呼ばれるモデルですね。パッと見の外観は1994年に登場した3代目と大きく変わっていないのですが、約10年分の進化はしっかりと刻み込まれておりました。ここに至るまでの流れもザザッと振り返りつつ、楽しく語ってまいりましょう!

 

 

インパルスという繰り返す衝撃【後編その1】はコチラ!

 

セローという人気者と愉快な仲間たち【前編】は今しばらくお待ちください m(_ _)m

 

ビッグバイク特需に沸いた1996年以降! その一方で……

 

「大型自動二輪免許」の制定により、各都道府県にある運転免許センターでの“一発試験”だけでなく、身近な教習所でもビッグバイク免許が取得できるようになった1995年

教習所イラスト

●サービス満点! 手とり足とり乗り方を優しく指導してくれる教習所。お金時間が捻出でき、あとはやる気さえあれば、ほぼ間違いなく運転免許が取得できる場所ですよね。ありがたやありがたや……

 

 

それ以前とそれ以降とでは、そりゃもうガラッと二輪市場の動向が変化しましたからね~。

 

 

1996年ともなれば教習所側の「えっ、ホントに教習所で限定解除……いや違った大型(自動二輪)免許が取れるんですか? ホントですか。ウソじゃないですよね。試験場では緊張してミスして何回も落ちてあきらめていたのに……。ぜひともお願いしま〜〜〜すッ!」という半信半疑狂喜乱舞ライダー受け入れ体制も整い、新たに大型自動二輪免許を取得したバイク乗りたちドムドム……いやザクザクと誕生

バイクのイラスト

●バイク雑誌でも「ビッグバイク教習体験レポート!」みたいな記事が山ほど出ていましたからね。非常に乗りやすいホンダ「CB750」などの教習車でスキルを覚えた読者の方々も多いのではないでしょうか

 

 

すると当然のことながら大排気量モデルが飛ぶように売れ始め、フルパワーかつ速度リミッターのないスーパースポーツ(ホンダ「CBR900RRファイヤーブレード」やヤマハ「YZF1000Rサンダーエース」、スズキ「GSX-R1100W」、カワサキ「ニンジャZX-9R」のころ)や、

YZF1000R

●1998年に衝撃的デビューを果たす「YZF-R1」に先立ち、1996年に登場したヤマハ「YZF1000Rサンダーエース」。FZR1000用のエンジンを改良した1002㏄水冷4スト並列4気筒DOHC5バルブエンジンは145馬力/11.0㎏mという実力を発揮。燃料タンク容量19ℓ、シート高795㎜、乾燥重量は198㎏で限界性能だけでなく高い汎用性も重視したパッケージングとなっていました。1993年モデルから油冷→水冷のエンジンに変更され、車名の最後に「W」が付いたスズキ「GSX-R1100W」(Wはネットスラングのわらではなく水冷のWaterですね)と似たようなコンセプトだった……と言えなくもありません

 

 

メガスポーツ(カワサキ「ZZ-R1100」やホンダ「CBR1100XXスーパーブラックバード」などですね。ちなみにスズキ「GSX1300Rハヤブサ」はまだ生まれていない)にロマンを感じる人は逆輸入車を争って購入。

CBX1100XX

●1990年に登場して以降、世界最速の座に君臨し続けて好調なセールスを記録していたカワサキ「ZZ-R1100」。その牙城を崩すべく1996年にホンダが放ったマシンが「CBR1100XXスーパーブラックバード」でした(俗に「バツバツ」とも呼ばれてましたね)。新規開発された1137cc水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジンは164馬力/12.7㎏mのパフォーマンスで、世界最速の座をZZ-Rから奪取することに成功! 燃料タンク容量22ℓ、シート高810㎜、乾燥重量223㎏。とにかく長距離ツーリング使用時に疲れなかったことが印象に残っております。2001年3月には100馬力の国内仕様も登場しました

 

 

「いやいやいや、私はもうオトナだから最高速なんてどうでもいい」という方向性の紳士淑女はハーレーダビッドソンに代表されるクルーザー系の車種へドドドドッと集中し、国産メーカーも負けじと大排気量Vツインほかのエンジン搭載車を次々と繰り出してきたものです。

ホンダワルキューレ

●1996年、カワサキが1470㏄Vツインの「バルカン1500クラシック」を国内市場へ出してくれば、ホンダはゴールドウイング用1520㏄水平対向6気筒を積んだ「ワルキューレ」(写真)をアメリカから輸入開始し、ヤマハも負けじとVMAXの流れを汲む1294㏄V型4気筒「ロイヤルスター/ツアークラシック」を発売……と熱く熱く燃え上がった大排気量クルーザー業界。750〜900㏄クラスも活性化しました。それもこれも「ビッグバイク免許は取得したけれどデッカイ車両は不安……せめて良好な足着き性は確保したいの需要に応えるため。まぁ、そんなムーブメントの頂点にはハーレーダビッドソン社の各モデルが君臨していたのですけれど

 

 

もちろん汎用性の高いビッグネイキッドは相変わらずの大人気御礼状態でして、ホンダ「CB-SF」、ヤマハ「XJR」、カワサキ「ゼファー」&「ZRX」はビキニカウル・ハーフカウルの装着やスポークホイール仕様の追加などなど、あの手この手の趣向で話題を集めつつ、「ゼファー」以外のブランドはモデルライフの途中で排気量を拡大するという抜本的改革も行って幅広い支持を獲得し続けました。

XJR1200R

●カワサキ「ゼファー1100」とホンダ「CB1000SF」がやり合っていた国内ビッグネイキッド市場へ、最大排気量であることを標榜しつつヤマハが1994年に送り込んだ刺客が「XJR1200」。予想どおりの超絶大人気を博したわけですが、そちらの2回目のマイナーチェンジが行われた1996年のタイミングで追加されたのが写真の「XJR1200R」でした。ぶっちゃけますと筆者は同時期に出たスズキの「GSF1200S」とどちらを購入するか非常に悩み、『フーボー(風防)ですよ!』(当時大人気だったテレビ番組「チューボーですよ!」のパロディ)という企画をムリヤリ通して2台を比較試乗(職権濫用!?)。結果的にGSFを買った……という思い出のあるバイクです。もしGSFではなくXJR-Rを選んでいたら、今ごろどうなっていたのかなぁ〜という妄想もたまに広げています(笑)

 

 

400市場は顧客を大手にゴッソリと奪われた中小企業のごとく!?

 

そんな活況を呈するビッグバイク市場とは裏腹に縮小傾向が始まったのは、やはり400㏄クラスでした。

 

 

あまりにも高かった“免許の壁”がドカンと崩壊したものですから、「教習所で免許が取れた! 何に乗ろうかな〜♡ どうせ車検があるなら、やっぱヨンヒャクよりリッターバイクっしょ~~!」という自分のスキルを棚に上げて、夢と憧れに翻弄されるライダーが急増するのは当たり前のこと。

壁イラスト

●しつこいようですが、“チューメンの限定解除”は本当に高くて厚い壁でした。挑戦する気すら失っていたバイク乗りも星の数……。それが消えたのですから、大フィーバーとなったわけですよ。もう28年ほど前の話ですけれど(^^ゞ

 

 

59馬力→53馬力という馬力自主規制もあって訴求力が大幅に薄れた400レーサーレプリカは1990年代半ばで姿を消し、スズキを除く各メーカーはまさしく「CB-SF」、「XJR」、「ゼファー」&「ZRX」という売れスジのネイキッドブランドへ“選択と集中”を行って、縮小していく市場でシェアを確保する熾烈なバトルを繰り広げていきました。

CB400フォア

●いや、ホンダも1997年に写真の「CB400 FOUR」を世に出したのですが、あくまで「CB400 SUPER FOUR」という大黒柱があっての実験的なモデル扱い……だった気がします。懐古主義にフルスイングした車体は空冷風の冷却フィンも美しい水冷53馬力エンジンに、4本出しのメガフォンタイプマフラーを組み合わせ、さらにはスポークホイールまで採用! 燃料タンク容量15ℓ、シート高790㎜、乾燥重量192㎏……同時期の「CB400SF」が174㎏だったので18㎏も重くなっていたのですね。税抜き当時価格は57万9000円。“スーフォア”のSTDより1万円安いという破格値でしたが、当時はヒットしませんでした。その後プレミアが付いたりしたので複雑な気分に……

 

 

そんな流れのなかでスズキは……「GSX400 インパルス」と「イナズマ(400)」のどちらをメインに据えるべきか、大いなる迷いと思惑違いがあったように思えます。

 

 

1989年に登場したカワサキ「ゼファー(400)」が巻き起こしたネイキッドブーム

●ネイキッドブームの原点にして頂点だと個人的に考えておりますカワサキ「ゼファー」。今見ても美しい!

 

 

スズキは「バンディット400」シリーズで対抗しようとするも、「ゼファー」が早々に確立してしまった“ウケるネイキッドの文法”……

 

①往年の名車を想起させるネオレトロなデザイン

②エンジンをしっかり見せつけるため黒子に徹したダブルクレードルフレーム

③アップライトなライディングポジションを実現するパイプハンドル

④リヤサスペンションはリザーバータンク付きショックユニット2本掛け

⑤落ち着きを感じさせるシックなカラーリング

●これはこれで見事に完成している1989年型「バンディット400」のスタイリング。ただ時代が悪かった!?

 

 

……をほぼほぼ総ハズシ(^^ゞしてしまい、メジャーな存在とはなりきれず

 

極太な2本柱に育てたかった!? 「衝撃」と「稲妻」……しかし!

 

というわけで売れスジ文法を完璧に履修して1994年に登場したのが「GSX400 インパルス」なのでした。

GSX400インパルス

●ど〜ですか、お客さん! 文句のつけようのないネイキッド魂満載スタイリングはぁ! 実際、ウケました……

 

 

数多の革新的なモデルを創出してきたプロダクトアウトな気概に満ちるスズキ開発陣としては、とことん市場が求めるものへ応えたマーケットインな商品を作ることに思うところはあったでしょうけれど、その甲斐あって3代目“インパルス”はヒットモデルへ無事に成長

 

「タイプS」の魅力はもちろん、小刻みながら効果的な改良の積み重ねもあり好調を維持していきました……。

1995_GSX400インパルスタイプS

●丸目一灯ヘッドライトを包み込む大柄なビキニカウルが印象的な「GSX400 インパルス タイプS」。色の塗り分けひとつとっても非常に凝ってます!

 

 

が!

 

 

スズキとしては前述のネイキッド売れスジ文法は踏襲しつつ、スズキならではの魅力(ここでは油冷エンジン)を加味したモデルで、あわよくば一気にトップを奪取してやりたい!

 

そんな意気込みで開発され、1997年3月に発売されたのが「イナズマ(400)」というモデルなわけです。

イナズマ

●広報写真からもムチムチプリン(死語)ぶりが伝わってくる「イナズマ」のスタイリング。セクシーですね!

 

 

沸騰中のビッグバイクブームも勘案して、リッターモデルと比べても遜色ない(というか「イナズマ1200」とまんま同一)の体躯で威風堂々っぷりは文句なし

 

 

そのくせ足着き性は良好で(シート高760㎜)、流行りのブレンボ社製フロントキャリパーまで装備して税抜き当時価格は60万円切りの59万9000円! 

ブレンボブレーキ

●上写真は2005年型「GSX400 インパルス」カタログから抜粋。金色に輝くブレンボブランドのフロントブレーキキャリパー装着はヤマハから始まってホンダとスズキも追随し、ネイキッドモデルの一大潮流に……(現在では幅広いジャンルで採用されていますね)。まぁ、確かに映えますわな〜

 

 

いやぁ、「イナズマ」は広告宣伝にも力が入っていましたね。

 

 

そのころは、新車紹介系バイク雑誌を開いたら「イナズマ」の(タイアップ)記事がそこここに掲載されていましたし、有力カスタムショップを巻き込んでの美麗なるデモンストレーション車両や、性能向上に全振りしたチューニングマシンなども続々と登場。

イナズマイメージ

●性能最優先のヨシムラサイクロンほか数多くのメーカーからリプレイスマフラーが発売され、各ペイントショップもボリュームある外装部品をキャンバスに腕を競い合っていました。うろ覚えで恐縮ですが、タンクにド〜ンと稲光を描いた美しいデザインも取材した覚えあり

 

 

そして筆者の記憶に残っているのは、なんといっても純正オプションとして用意されたヨシムラ4本出しマフラーですね(興味がある方は「イナズマ ヨシムラ 4本出し」などでググッてみてください)。

 

なんと集合部分のない4-4構造! 

 

スタイリッシュな4本出しデザインはカッコ良さも満点ですし、もちろんJMCA認定品でしたがアイドリング状態から高回転域まで獰猛なイイ音がしたのですよ~

イナズマ4本出しマフラー

●ヨシムラが吟味した薄くて丈夫なステンレスパイプを使用することによって、4本出しとは思えない重量を実現。ユーザーが望めばこの姿でピカピカ新車の「イナズマ」が納車されたのです……

 

 

現在各種オークションサイトに出品されているものを見ると、結構とんでもない価格が付けられていたりするので今なお人気があるのですね……。

 

稲妻が輝くと衝撃は休止、稲妻が沈むと衝撃は浮かぶ展開に!?

 

とまぁ、そのような仕掛けを数多く用意しつつ、「イナズマ」は1997年3月、1997年6月、1998年2月、1999年3月と矢継ぎ早にカラーリングの入れ替えを行ったのですが、なかなか人気に火が付かず

SV400_1998

●実は革新のVツインスポーツ「TL1000S」(1997年2月登場)の兄弟車的な扱いで、スズキが1998年9月に400ネイキッド戦線へ送り込んだモデルが存在します。それがこの「SV400」でありました。新設計された399㏄水冷4ストV型2気筒DOHC4バルブエンジン(53馬力/4.2㎏m)を贅沢極まりない楕円断面アルミトラスフレームへと搭載(スイングアームも当然アルミ)。燃料タンク容量16ℓ、シート高785㎜、乾燥重量はなんと159㎏! 

SV400S

●上の「SV400」(税抜き当時価格59万9000円)と同時に発売されたハーフカウル仕様の「SV400S」(同64万6000円)。インパルスとイナズマの開発で抑圧され続けたスズキのプロダクトアウト魂が爆発したようなフッ切れモデルでした。最大トルク4.2㎏mはクラス最高レベル、かつ“S”でさえ乾燥重量163㎏という軽さゆえレーサーレプリカ時代を忘れられないユーザー層は大歓迎。翌年には650㏄版も国内投入されて地味ながら人気を獲得し、そこから始まった潮流が現行モデルの「SV650/X」「Vストローム650/XT」へつながっているのです

 

 

するとここで「イナズマ」と表裏一体の存在(?)となりつつあった「GSX400 インパルス」が急浮上

 

 

1999年6月に「イナズマ」同様のブレンボ社製対向式4ポットブレーキキャリパーを新たに採用し、ヘッドライトもキラキラなマルチリフレクター方式とした小変更を実施し、魅力をアップ……したのですが、

インパルスヨシムラ

●1999年型「GSX400 インパルス」。銀、黒、赤という超定番カラーに加えて人気の高い赤×黒……通称“ヨシムラカラー”も用意された4色展開で盤石の構え。税込み当時価格は59万9000円。ちなみに乾燥重量は175㎏ですので、前述の「SV400」はこのインパルスより16㎏も軽かったということになります!

 

 

排ガス規制が強化されたこともあり2000年末をもってカタログ落ちしてしまいます。

 

 

すると今度は「イナズマ」のターンとなり2000年11月、各部の改良によって排ガス規制をクリアした仕様が発売を開始。

イナズマ_2000年型

排ガスを浄化するため二次空気導入システムメタルハニカム酸化触媒を追加し、スロットルポジションセンサー付きのキャブレターも採用。最高出力は1馬力ダウンの52馬力となった(最大トルク3.7㎏mは変わらず)実質2001年モデルと言える「イナズマ」。税抜き当時価格61万9000円乾燥重量は2㎏増の187㎏)で車体色は銀と青の2色展開……結果的にこちらが最終型となり2004年ころまで販売されました

 

 

「あぁ、スズキは結局なんだかんだいっても『イナズマ』をエースに選んだのか……」とインパルスにより強い思い入れのあった筆者は、少々寂しい思いをした記憶が残って降ります。

エース

●20世紀から21世紀へ。端境期に行なわれた厳しい排ガス規制を乗り越え400ネイキッドのエースとしてマウンドに立つのは「イナズマ」(と「SV400」(^^ゞ)なのか……と完全に思っておりました。当時は

 

 

駄菓子菓子! 

 

 

χ(カイ)となり空冷のままながら4バルブヘッドを得て53馬力軍団に仲間入りした「ゼファーχ」、カワサキファン(ならずとも)ホイホイなライムグリーンを連発する「ZRX」、ブレンボキャリパーとオーリンズリヤサスという金ピカパーツで箔を付けた「XJR400R」、HYPER VTECという必殺技を繰り出してきた「CB400 SUPER FOUR」……といった400ネイキッド四天王は強力そのもの!

●1996年3月に突然(?)登場したカワサキ「ゼファーχ」。いやもう「ZRX/-Ⅱ」も好調でしたし、お役御免でフェードアウトするとばっかり思っていたら空冷4バルブヘッドの53馬力エンジンを採用して戦線にカムバックしてきたのですから驚きました。ここから2008年の「ファイナルエディション」まで初代(単色ばかり)とは打って変わってカラーリングの魔術(往年の人気車を彷彿させる外装塗り分け)を駆使し、鮮度を保ち続けたのです

 

 

前述のとおり2000年11月に環境対応マイチェンを行った「イナズマ」は、ライバルたちの前に白旗を掲げたかのように色変更も小変更も行われないまま2004年頃まで淡々と販売されていきます。

 

スズキの400並列4気筒ネイキッドはインパルスが締めた!

 

そしたらそしたらまだあったのか……な、インパルスのターンが!

 

 

「イナズマ」がフェードアウトしつつあった2004年10月に、ちゃんと環境諸規制対策を受けて「GSX400 インパルス」が3度目の大復活〜〜〜!

インパルス_2005

●事実上2005年モデルとして登場した転生版(4代目)「GSX400  インパルス」。黒だけでなく、写真の青×白もラインアップされた2色展開で400ネイキッド四天王へ挑み、善戦し続けました

 

 

堂々4代目として市場へ投入されたのです。

 

 

「へ? 3代目が環境対策してマフラーが変わっただけでしょ?」と思う人は多いはず。

4代目インパルス 走り

●2005年型「GSX400 インパルス」カタログより。4代目であることを強く印象づける直径φ120㎜という極太でありながら軽量なアルミスリップオンサイレンサー。ここを市販品に交換するだけでスタイリングもエキゾーストノートの音質も大きく印象を変えることができました

 

 

筆者も第一報に触れたときはそう思ったもの

 

 

が、スズキ開発陣の変態的(いい意味)改善欲求は想定をはるかに超えていたのです。

 

 

もちろんベースは1999年モデルなのですけれど、スロットルポジションセンサー付きのキャブレターや二次空気導入システムメタルハニカム酸化触媒の採用などで排出ガス中の有害物質規制値(当時)をクリア

インパルスメカ解説

●「GSX400S カタナ」譲りのロングストローク399㏄エンジンは低回転域から太いトルクを発生するため、乗りやすさは400ネイキッドのなかでもトップクラス。大型(自動二輪)免許を取得して憧れのリッターモデルを買ったはいいけれど、扱いきれずに400クラスへ回帰する……という事例も、このころ(2000年代中盤)には当たり前のこととして見聞きするようになっていました

 

 

伝統の4into1マフラーもアルミスリップオンサイレンサーが導入され、手軽なカスタムが可能になりました。

 

さらにメーター部分は一新されて、液晶表示のオドメーター&2ウェイトリップメーター、デジタル時計、燃料計を追加など従来から飛躍的に多機能化

インパルスメーター

●2005年型「GSX400 インパルス」カタログより抜粋……したため、ちょっと画像が粗い点はご了承ください。トラディショナルな砲弾型2連メーターの内部へ液晶表示部が追加されたため、ライダーが得られる情報は格段に増加しました。ライバルたちと比較しても遜色のないレベルになったのです

 

 

フラットな形状のシートを新たに採用することによりカタログスペック上のシート高は3代目と同じ760㎜のままながら、実際の足着き性は向上しているというこだわりっぷり……。

インパルス黒2台

●2005年型「GSX400 インパルス」カタログより。漆黒のボディをキラキラお目々(マルチリフレクター式ヘッドライト)やゴールドのブレンボ社製フロントキャリパー&ホイールが引き立てます。センタースタンドももちろん健在。なお、環境諸規制対策などで数々の部品が追加された結果、乾燥重量は従来から2㎏増の177㎏となりました

 

 

で、税抜き当時価格は62万9000円ナリ。

 

ライバルと同等かちょいと高かったくらいなのですけれど、そこはそれ商談を開始すると諸々突っ込んだご相談に乗っていただける割合が大きめなスズキ車のことですからムニャムニャ……(笑)。

たたき売り?

「さぁさ買(こ)うた、さぁ買うた」、「色良し、(乗り)味良し、器量良し」……。北九州市門司港発祥とされ、観光の目玉にもなっている「バナナのたたき売り」ではないですが、価格競争力の高さは企業努力のたまもの。良い製品がリーズナブルに買えるというのは、本当に素晴らしいことなのです……

 

 

残念ながら4代目に「タイプS」の設定はなかったのですけれど、“クーリーレプリカ”を彷彿させる青×白のツートーンカラーは設定されており、ファンを喜ばせてくれました

インパルス青と白

●2005年型「GSX400 インパルス」カタログより。細いラインを挟み込みつつ美しく塗り分けられた青と白がとてもいい雰囲気を醸し出していました。現在でも国内外で「タイプS」の純正タイプビキニカウルは作り続けられており、容易に入手が可能とか。ナイスですね!

 

 

結果、4代目インパルスは強敵(と書いて“とも”と読む by北斗の拳)たちと互角の戦いを展開し、400ネイキッド戦線に確固たる存在感を見せつけていきます。

 

「インパルス400」へ謎の改名後、最後の最後はあの色で……!

 

驚かされたのは突然の改名……。

 

2006年12月に配布されたカタログにはメカニズム、カラーリング、価格など何ひとつ変更はないのに車名だけが「インパルス400」と変更されており、「アレ? GSXはどこへ行った?」とビックリ。

2007年型改名インパルス

●2007年型「インパルス400」カタログより。左上にある日本語の車名表記を見ても“GSX”の文字はございません。まぁ、ハヤブサも1999年に出た初代は「GSX1300R HAYABUSA」だったのですが、2008年モデルからは車名が「HAYABUSA 1300」になりましたし……。そういう点に関してはコダワリがないのでしょう!?

 

 

確かプレスリリースにも改名の理由は書かれていなかったはずで少々困惑したものの、世間で広く使われていた呼び名にメーカー側が合わせただけなのかもしれません。

 

 

そんな4代目インパルスも、「ゼファーχ」、「ZRX」、「XJR400R」たちと同様、非常に厳しいものとなった平成18年排出ガス規制値をクリアすることはできず、2008年モデルが最終型となりました。

2007年型CB400SF

●400ネイキッド四天王のうちホンダ「CB400 SUPER FOUR」だけは2007年モデルでフューエルインジェクション化を果たし(写真は「CB400 SUPER FOUR HYPER VTEC Revo」)、2022年10月に生産終了を迎えるまで400並列4気筒ネイキッドの血統を残し続けたのです

スズキGSR400

●実はスズキも将来の環境諸規制強化を見越したブランニュー400ネイキッドを2006年5月に発売しており、それが「GSR400」でした。フューエルインジェクションを採用した398㏄水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジンは有害物質規制値をクリアしながら53馬力/3.8㎏mを発揮(2009年型以降は61馬力/4.0㎏mを実現!)。当時としてもアンビリーバブルなアルミツインスパーフレーム2本出しアップマフラー採用という、とってもプロダクトアウトなモデルで呼応するカブキ者ライダーたちから一定以上の人気を得て、最終型となった2014年モデルまで販売され続けました

 

 

そんな2008年モデルに設定されたのが「インパルス400 スペシャルエディション」……はい、そうです

インパルスSE

●2008年型「インパルス400 スペシャルエディション」。テールカウル部こそ違っていますけれど、燃料タンクとサイドカバーの塗り分けは、まさに下で紹介している初代“インパルス”そのまんまですね!

初代インパルス

1982年に登場した初代こと「インパルス GSX400FS」。華奢にも見えるスタイリングが時代を感じさせますな

 

 

まさに初代インパルスがまとっていたのと同じ赤×黒の“ヨシムラカラー”で4代目となったインパルスが終焉のときを迎える……という粋に過ぎる出木杉くんな演出に不肖オガワ、思わず目から汗が噴き出したもの。

インパルスSEカタログ左

●せっかくなので2008年型「インパルス400 スペシャルエディション」カタログ、メカ解説部分の見開きページを続けてご紹介。なお、左上文章のシメ部分を書き出すと……初代モデルを知る“あの頃のライダー”と“現代(いま)のライダー”へ贈る、最後の衝撃(Impulse)が今ここに。う〜む、グッときますね!

インパルスSEカタログ右

●初代で使われた「Impulse」ロゴと懐かしの「SUZUKI TSCC」ロゴが全体の印象をグッと引き締めていました。税抜き当時価格は62万9000円。ちなみに筆者、この仕様を街で見かけたことがありません。販売された車両の多くは屋内で大切にしまい込まれているのでしょうか……。だとすれば少々残念。なんてったってバイクは走らせてナンボなのですから!

 

 

……紆余曲折はありましたが、「スズキの400並列4気筒ネイキッドといえば?」と問われたなら、誰もが真っ先に思い浮かべるであろう「インパルス」という称号

インパルスロゴ

●今なお中古車市場で高い人気を誇るスズキ“インパルス”。カスタムパーツも豊富に揃っておりますよ!

 

 

何度も繰り返された“衝撃”は今なお多くのライダー、その胸中に深く刻み込まれているのです……。

 

 

さて次回からは「ヤマハ セローと愉快な仲間たち」を……と考えていますが、いつもの調子でやってしまうと【前編】、【中編】そして【後編】が“その8”くらいまでいってしまいそうなので、展開をじっくり考えさせていただきますね。

セローカタログ

●1997年型ヤマハ「セロー225WE」カタログより。250版からスタートするべきか悩んでおります〜(^^ゞ

 

 

長〜い目での〜んびりお待ちください……。

 

 

あ、というわけで2000年代の400ネイキッドは「インパルス」&「イナズマ」に限らずどのモデルも現代に通じる性能が確保された、日本人の体型にもジャストフィットする絶好の選択肢。レッドバロンの『5つ星品質』な中古車からセレクトして、楽しく安心なバイクライフをエンジョイいたしましょう!

 

 

セローという人気者と愉快な仲間たち【前編】は今しばらくお待ちください m(_ _)m

 

インパルスという繰り返す衝撃【後編その1】はコチラ!

 

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