レッドバロンが運営するバイク専用サーキット「那須モータースポーツランド」で開催された『外国車試乗会』。その模様は以前の記事で紹介したが、今回は僕が実際に乗ったバイクをミニインプレッションとともにご紹介! 気になる絶版外国車がある人は、要チェックの内容です!

足つきの良さとアップライトなライポジで自在に走れる!! ……F700GS(2013年)

BMWのミドルアドベンチャーモデル。アドベンチャーとは言いつつも、フロントに19インチのキャストホイールとロード寄りのタイヤを履いていることからも、オンロード寄りのツーリングモデルであることが分かる。

F650GSから進化していることから、排気量は650ccから700ccにアップしたと思う人が多いが、これは不正解。じつはF650GSは2008年のモデルチェンジで、単気筒652ccから並列2気筒798ccに大幅進化。こちらのF700GSも同系統のエンジンを引き継いでいるのだ。……だからちょっとややこしい(苦笑)。

ちなみに兄弟モデルのF800GSも同系統エンジンを採用しているが、フロント21インチホイールを履くなど、よりオフロードテイストを高めている。

●水冷4ストロークDOHC並列2気筒798cc ●装備重量209kg ●シート高790mm(ローシート)

F700GSのフロントホイールは19インチのキャストタイプで、いわゆるオンロード寄りのアドベンチャーツアラーである。先代のF650GSはシングルディスクブレーキだったが、F700GSではダブルディスクを採用。

燃料タンクはシート下に格納し、シートカウルに給油口がある。燃料タンク容量は16Lだ。

排気量約800ccというと、世界的にはミドルクラスと呼ばれているが、僕には十分にビッグバイク! しかし跨ってみると、足つきは良くて、車体も軽い。威圧感もまったくないデザインなので、非常にとっつきやすいのが好印象だ。ロード寄りとはいえアドベンチャーツアラーなので、ライディングポジションもアップライトで楽ちん。

ハンドリングもニュートラルで、コーナリングもスムーズ。低速トルクもあって、エンジンの回転が心地よい。気負わずにロングツーリングを楽しめそうだ。

スタイルはアドベンチャー、じつは立派なロードスポーツ!! ……F900XR(2020年)

F900XRは、一見するとアドベンチャーモデルだが、車名は「GS」ではなく「XR」。前後17インチタイヤやダウンマフラーからも分かるとおり、れっきとしたロードスポーツモデルである。

エンジンはF750/850GSと同系統の水冷並列2気筒で、排気量は895cc。アドベンチャースポーツを思わせる大型のカウルやアップライトなライディングポジションによって、スポーツツーリングを快適に楽しめるモデルとして人気を博した。今回試乗したのは2020年の初期モデルだが、大幅な変更なしで現行モデルもラインナップされている。

●水冷4ストロークDOHC並列2気筒895cc ●装備重量218kg ●シート高820mm

6.5インチのTFT液晶メーターはさまざまな情報を分かりやすく表示してくれる。

F700GSは燃料タンクがシート下にあったが、F900XRは一般的な位置にある。ちなみにF750/850GSもシート下のタンクを廃止している。

F900XRがれっきとしたロードスポーツモデルであるということは跨った瞬間に分かる。というのも、サスがあまり動かず、沈み込みが少ないから。それでいてライディングポジションは気持ち前傾のアップ気味で、ステップの位置も低くて前気味。リラックスしたポジションは、跨っただけで快適なことがよく分かる。

スペック上は218kgの車体だが、数値以上に軽く感じて、引き起こしに苦労することはない。走り出すとトルクは十分で、アクセルを開けても乱暴な加速はなく、扱いやすい。大柄なカウルは高速道路も快適そう。シーンを選ばずオールマイティーに使えそうである。

S1000R譲りの最強ツーリングバイク!! ……S1000XR(2016年)

ネイキッドモデル・S1000RをベースにしたツーリングスポーツモデルがS1000XRだ。F900XRと同様、アドベンチャーモデル風の大型カウルを装着しているが、こちらもやっぱりロードスポーツである。S1000XRが登場したのは2015年で、ここに紹介するのは翌年登場した2016年モデル。

搭載するエンジンはS1000Rと同系統の水冷4ストローク並列4気筒で、最高出力は160PSに及ぶ。

余談だが、現在48歳の僕にとって、未だに“すごい高出力のエンジン”といえばZZR1100の147PSであって、いわばコレが基準となっている。それをアップライトなライディングポジションのS1000XRがゆうに超えているということに、バイクの進化の凄さを感じずにはいられない。「そりゃ、ZZR1100なんて30年以上も前のバイクなんだから当たり前だろう」と頭では分かってはいるんだけど、心の奥でやっぱり技術の進歩に追いつけない(汗)。そんな40代以上のライダーは多いのではないだろうか(笑)。

もちろん注目すべきは高出力エンジンだけではない。ライディングモードやトラクションコントロール、さらに電子制御サスペンションやクルーズコントロールなども装備。スポーツ走行と快適なツーリングを両立した1台となっているのだ。

●水冷4ストロークDOHC並列4気筒999cc ●装備重量223kg ●シート高825mm

アナログタイプのタコメーターにデジタルスピードメーターを組み合わせたスポーティーなメーター周り。ハンドルバーは広めのテーパーハンドルを採用している。

S1000R譲りのエンジンは最高出力160PS。ちなみに2024年モデルは170PSを発揮する。

Fシリーズのコンパクトな車体に対して、S1000XRはいかにもビッグバイク! 大柄な車体で足つきもめちゃくちゃ悪いわけではないが、決して良くもない。しかし、手前に引かれたアップハンドルによってライポジはリラックスしたもの。跨ってしまえば、緊張感はスーッと消える。

水冷並列4気筒エンジンは、やっぱり回せば面白いんだろうなーと思わせるもの。今回は先導車付きでペースはゆっくりめだったのでその性能を十分に堪能することは叶わなかったが、トルクも十分だったので、街中やスローペースのツーリングでも快適さを味わうことができるだろう。

これぞBMW!! クセツヨだけど、オモシロさもピカイチ! ……R1200RS(2018年)

BMW Motorradのアイデンディティーともいうべきボクサーツインを搭載したロードモデル。ツアラーなのだが、スポーティーなカウルをまとっていることからも分かるとおり、アグレッシブな走りも楽しめる。実際に装備を見てみると、6速MTやラジアルマウントのフロントブレーキキャリパー、テレスコピックフロントフォークなど、スポーツモデルとしての側面を強く持っている。

また、トラクションコントロールやライディングモード、クイックシフターなどの先進技術も装備されている。

●空水冷4ストロークDOHC水平対向2気筒1169cc ●装備重量244kg ●シート高760mm

横に大きく張り出したボクサーツインエンジンは、まさにBMWの証! 低速の粘りある出力特性や、車体の低重心化による安定感は多くのファンを虜にしている。

フロントフォークは倒立テレスコピックを採用。ラジアルマウントのブレンボ製ブレーキキャリパーと相まって、スポーティーな印象を高めている。

今回の外国車試乗会では計13台に試乗したが、意外にも今回、最も足つきが良かった。試乗車両にはもしかしたらローシートが装備されていたのかもしれないが、スタンダードシートでもきっと十分に良い足つきだったろう。車重は、試乗会前に配られた資料によれば244kgとのことだが重心が低く、重さを感じさせない。独特のスタイリングを持つRシリーズだが、いきなり予想外のとっつきやすさで好印象である。

クリップオンハンドルも高めに設定してあり、FシリーズやS1000XRほどではないが、決してライポジはキツくない。むしろ軽い前傾は扱いやすさと適度なスポーツ感を感じさせてくれる。これまた好印象。

走り出すと、フラットツインのドロドロ感が心地よい。4気筒とはまったく違って、クランクが回って車体が加速していく感じが伝わるのだ。

しかし、クセの強さも今回の中で一番。Rシリーズは、アイドリング時にアクセルを開けると右に揺れることは有名だが、これはボクサーエンジンの構造上、クランクシャフトが縦に置かれているため。停車中はまだ良いが、じつは走行中もこのクセが頭をのぞかせる。つまり、右と左でコーナリングが異なるのだ。慣れないとこれが大変で、はじめはコーナーをうまく曲がれない(汗)。

ただ、このクセが楽しい。乗りこなす楽しさがあるのだ。

誤解を恐れずに言うと、外国車ってどれもクセがあると思いがちだが、実際はそんなことはなく、どのメーカーであろうが高年式モデルであれば乗りやすい。その中で、R1200RSはまさにクセツヨ&オモシロバイク! 「これぞ外国車!!」と言わんばかりの魅力を持っているのだ。

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