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ライダーなら誰もが一度は憧れる!? それがサイドカー!!
レッドバロンが運営する那須モータースポーツランドでは、さまざまなスクールや試乗会などのイベントを開催している。そのなかでも変わり種(?)として人気を集めているのが、那須MSLサイドカーライディングスクール。
その名のとおり、サイドカーの乗り方を教えてくれるスクールだ。
話はガラリと変わるが、読者の皆さんはバイクのことをなぜ「単車」と呼ぶかご存知だろうか? じつは単車とは、サイドカーの側車を外した状態……単体の車(バイク)ということから「単車」と呼ばれているのだ。そう、バイクはじつはサイドカーこそがスタンダードの状態であり、二輪車単体はサイドカーの亜流であり、決して本流ではないのだ!!
……というのは言い過ぎだけど、ともかく大昔、バイクといえばサイドカーが当たり前の時代があったのだ。
しかし、いくら昔は多かったとはいえ、今ではあまり見る機会のないサイドカー。それも乗る機会となると、ほとんど皆無といって良いだろう。かくいう僕も、バイク歴はちょうど30年になるが、サイドカーには乗ったことがない。
まー、普段バイクに乗っているんだから、チャチャっと乗れちゃうだろうなんて何となく思っていた。実際、読者のなかにもそう思っている人は多いのではないだろうか。
しかーし! 現実はそんなに甘くはない!!
バイクとサイドカーはまったく別物。もちろんクルマとも違うもので、サイドカーにはサイドカー独自の運転方法があるのだ。
まぁ、だからこそこうして那須MSLではわざわざサイドカーに特化したスクールを開催しているわけではあるのだが……。
と前置きが長くなってしまったが、今回はサイドカー未経験の私、佐賀山がサイドカーライディングスクールを実際に体験してきたので、その様子をお伝えしよう!!
開会式&座学
午前9時に開会式。那須MSLの職員の方々がメインでインストラクターを務められる。左から竹内インストラクター、片平インストラクター、大平インストラクターだ。
竹内インストラクターは那須MSLの支配人でもある。ライディングスクールやライディングカレッジ、各試乗会でもインストラクターやスタッフを務めているので知っている方も多いのでは!?
開会式のあとは、そのまま座学へと突入。バイクとは全く違うサイドカーの運転特性について、大平インストラクターがGL1500を使って解説。
サイドカーではハンドルは握らず、手のひらで前方に押し出すようにするのが正解。また、ハンドルが振られることがあるが、その際に上から押さえつけないようになど、運転のポイントを解説してくれる。
サイドカーでは上半身を積極的に動かしてカーブを曲がるため、ニーグリップが重要! 上半身は力を抜いて、下半身で車体をしっかりホールド!!
ハンドルを切って曲がるため、ハンドルを左右いっぱいに切っても肘に余裕のある位置に着座すること。
バイクでハンドルをいっぱいに切ることって、じつはあまりないことだが、サイドカーでは当たり前。ところがGL1500/1800やロードグライドでコレをやると、意外にハンドルが遠くて苦労するのだ(苦笑)。
コーナリング時の姿勢や視線など、覚えておきたいポイントを解説。これでもうサイドカーに乗れたも同然!?
……と、そんなことがあるはずもなく(笑)。座学が終わった後、コースに出る前にしっかり予習をする筆者なのであった。
右回りと左回りで操作が違う!?
サイドカーのカー側に付いている車輪は駆動していない。そのためアクセルを開けると本車(バイク)は進もうとするが、カーは止まったまま。逆に走行中にブレーキをかけると、本車は止まろうとするがブレーキが付いていないカーは前に進もうとする。このように車体全体の右側と左側で異なる動きをするのがサイドカーの特性だ。まずはこの特性を理解しなければならない。
そして、右回りと左回りでコーナリング特性が変わるのも大きなポイントである。
コースでは、インストラクターが実際にこうしたサイドカー独自の動きを実践しながら教えてくれる。ここでは右回りと左回りの操作方法を紹介しよう。
右回り(左カーの場合)
曲がるポイントの手前までに十分に減速。あらかじめ右側に体重移動をして、コーナーに備える。
ちなみにサイドカーはリアブレーキがメインで、フロントブレーキは補助的に使う。
スピードは普通のバイクによるコーナリングの半分くらいまで減速すること。そして目線はコーナーの出口を見る。
ハンドルをしっかり切る。左手の平でハンドルを押し、右手で引く! アクセルは開けずに閉じたまま。
減速しながらゆっくり曲がる。ただし、カーブの途中でブレーキはかけない! 特にフロントブレーキは厳禁で、最悪の場合、本車のリアタイヤが浮くこともあるという。
出口に差し掛かったら、ゆっくり加速する。
左回り(左カーの場合)
普通のバイクで曲がる時の1/3くらいのスピードまで減速する。
イン側に寄せすぎるとカーブの途中でカーがカーブの内側にはみ出してしまう。そのため、減速しながらカーブの奥までまっすぐ進む。
カーブの手前で左側にしっかりと体重移動。視線はカーブの先だ。
右手のひらでハンドルを押し、左手はハンドルを引く。
カーブの途中でゆっくりとアクセルを開けて加速していく。そして、出口が見えたらハンドルを戻す。
右回り同様、カーブの途中でブレーキはかけないこと! また、アクセルを開けるときはゆっくりと。急に開けるとカーが浮いてしまうので要注意だ。
いよいよ乗車!!
というわけで、いよいよ乗車。数班に分かれて、それぞれの班にインストラクターとサイドカーが割り当てられる。
僕の班は片平インストラクターとロードグライド……いきなりロードグライドかぁ!! とちょっと緊張気味の僕。まじめに片平インストラクターのお話を聞く。
初サイドカー。これまでさまざまなバイクに乗ってきたが、サイドカーははじめて……いやー、緊張する!!
教えられたとおりに発進して、教えられたとおりに曲がる。インスラクターが拡声器を使ってアドバイスをしてくれるので、徐々に不安は消えていく!
時間を取って座学とデモンストレーションを学んだために、しっかりと予備知識が頭に入っていたのも余裕を持てたポイントだ。
教わったとおりに曲がる。ロードグライドは右カーなので、右カーブではゆっくりアクセルを開けていく。
と、ここで問題発生!? ハンドルが遠過ぎて、しっかりハンドルを切れない(笑)。
ハンドルが切れないので、曲がり切れない!?
なんとか曲がり切ることに成功!! 思わず笑顔の片平インストラクター(笑)。
こうして僕の初サイドカーはなんとか成功(?)。
走り終わったあとはアドバイスをもらえる。こうして班のメンバーが交代で乗り、その度にアドバイスももらえるのでどんどん上達していくのだ。
何度も乗るうちにスムーズに曲がれるようになった! 8の字を走るので、右回りと左回りそれぞれの練習ができて、挙動の違いも理解できる。
他のサイドカーも順番に乗っていく
もちろんロードグライドだけに乗るわけではない。しばらくすると班ごとに次の車両へスライドする。こうすることで、すべてのサイドカーを体験することができるのだ。
ヒョースン・GV250。軽くて乗りやすいが、油断するとバランスを崩してカーが浮いてしまう。驕らず慎重に!!
GL1500はロードグライドに負けず劣らずの重量級。しかしロードグライドよりハンドルが近く、出力特性もマイルドなので乗りやすかった。
GL1800はさらに乗りやすい!
W400は軽量級だが、GV250ほどではないので比較的乗りやすい。単純な乗りやすさだけならGL1800に軍配が上がるが、気軽さもあって個人的にはお気に入り♪
午前中にはスラロームも走れるようになった!
段階を踏みながらいろいろな車種に乗ることで、午前のカリキュラムが終わりに差し掛かった頃には、あれだけおっかなびっくりだったサイドカーも、すっかり楽しく運転できるようになっていた。
スラロームもご覧の通り、スイスイっと!(何度かパイロンにカーを当ててしまったのはここだけの話(笑))
集合写真を撮って、午前のプログラムは終了! あー、お腹が空いた!!
先導車付きでコースを周回!
午後は先導車がついてコースを周回。空いている好きなサイドカーに乗れるので、午前とは打って変わってレクリエーション度が一気に上がる。
午後からはGL1500ベースのトライクも登場! 基本的な乗り方はサイドカーと同じで、これはこれで楽しい!!
午後はひたすらコースを周回!! 楽しすぎる〜!
というわけで、満面の笑み。午前中の渋い顔が嘘みたいでしょ?(笑)
了解を得られれば、他の参加者が運転するサイドカーへの同乗も可能。
カーだけでなく、当然タンデムシートもOKだ!
みんな楽しそう♪
最初はあんなに苦労したロードグライドも、最後には余裕のライド! とはいっても、もちろん油断は禁物だけどね。
15時30分にスクールは終了。バイクのようで、実際には全く違う乗り物のサイドカー! 新しい乗り物の世界が開けて、良い経験になりました。