20251218日(木)、群馬県総合交通センター(前橋市)で群馬県教育委員会主催による「令和7年度 公立高等学校・中等教育学校(後期) 二輪車安全運転者講習会」が開催され、県内の公立高校でバイクの免許を取得した、あるいはバイク通学を行っている13年生の生徒と各校の先生らが参加しました。

▲講習会場となった群馬県総合交通センター(前橋市)の運転免許二輪車試験コース

2015年に三ない運動を廃止した群馬県の取り組み

▲2017年9月に開催された「第5回 BIKE LOVE FORUM(BLF) in 群馬・前橋」のステージで発表を行う須藤昭男(すとう あきお)県議会議員(現みどり市長)

 

さて、群馬県は20157月に県教育委員会が三ない運動を廃止し、今では原則、原付バイクでの通学が許可されています。その背景と経緯について少し説明します。

公共交通機関に乏しく、車社会、自動車王国とも言われる群馬県は、人口10万人あたりの人身事故発生件数、全自転車事故に占める高校生の割合、初心運転者の事故率が全国ワースト上位となっていました。

これらの要因を追求した須藤昭男(すとう あきお)県議会議員(現みどり市長)は、交通安全対策特別委員会を立ち上げて、三ない運動の徹底した実施が交通安全教育から高校生を遠ざけ、運転マナーの悪さや交通事故発生の大きな要因になっていると分析し、生徒・保護者らへのアンケート調査も踏まえて、三ない運動から群馬県交通安全条例に基づいた交通安全教育への転換を図りました。

 

▲三ない運動の徹底した実施が交通安全教育から高校生を遠ざけ、運転マナーの悪さや交通事故の要因になっていたことを発表した須藤議員(同BLFにて)

 

条例のもと、知事部局、教育委員会、県警察本部によるアクションプログラム(行動計画)が作成され、未就学児から高齢者まで、年代別にその目標を定め、今回行われた高校生への二輪車安全運転者講習会もこうした計画のもとに行われています。

現在では、免許の取得や通学許可の基準・要件については、実情に応じて各校で策定し、生徒・保護者に周知したのち事前に届け出を出させることを条件としています(届け出制)。県教育委員会の方針では、学校の取得基準や許可要件を生徒・保護者に対して十分に説明し、理解を求めたうえで免許取得を希望する場合は、取得を制限しないこととしています。

参加高校の先生も一緒に受講するのが特徴

▲建屋内で行われた開講式の様子。群馬県二輪車安全運転推進委員会、群馬県二輪車普及安全協会、群馬県警察本部交通部(交通企画課、交通機動隊)、群馬県交通安全協会ら関係スタッフの紹介も行われました

 

ここからは、当日行われた講習内容についてレポートします。とても寒く風の強い日となってしまいましたが、参加生徒の多くは先生の送迎によるクルマや電車で来場していました。実は、群馬県の講習会の大きな特徴として、先生も一緒に参加するということがあります。

先生はただ付き添いで来ているのではなく、実際に原付スクーターに乗り、生徒の列に加わって実技講習を受け、その後は座学の講義まで、講習内容のすべてを一緒に受講します。

 

▲生徒と先生が一緒に実技講習、講義を受講することは、群馬県の素晴らしい取り組みだと思います

 

先生が生徒と一種に受講すれば、バイクがどういう乗り物でどういうことに気をつけなければならないかということを指導員や白バイ隊員から直接教えてもらうことができます。これを学校に持ち帰って生徒に伝える、指導に活かすということが行われているのです。日々忙しい先生にとっては大変なことだと思いますが、とても素晴らしい方針だと思いました。

 

▲多くの先生はバイクに乗り慣れている印象でした。普段は大型バイクでツーリングを楽しんでいるという先生もおられました

準備体操のあとは、車両点検と安全装具の確認

▲指導員の掛け声でストレッチなどの準備体操を行いました

 

開講式を終えたあとは2つのグループに分かれ、それぞれコース上での実技講習と建屋内での講義を受講します。筆者は、先に実技講習を受けるグループに同行させてもらいました。

コース上ではいきなりバイクに乗るのではなく、まずは準備体操から始まります。寒い日は体が硬くなりやすいので念入りに行われていました。

体操のあとは、すぐさま車両各部の点検に移ります。スタンドを払って前ブレーキを握りバイクを押し付けてブレーキの効きを確認。次に前後左右のウインカーやブレーキランプなど灯火類がちゃんと作動しているかどうかも目視します。

 

▲乗車前点検は“ブタと燃料(ブレーキ、タイヤ、灯火類、燃料)”に基づいて行われていました

 

安全装具の確認も行われ、ヘルメットのあごひもについては「指1本がやっと入るくらい」にしっかり締めることが伝えられました。

▲ヘルメットのあごひもを締めなおす生徒。万が一事故に遭ったときのことを考えて、ヘルメットやプロテクターの重要性は何度も説明されていました

バイクに乗るのは今日が初めてという先生も上達!

走行開始の前には指導員から「あまりバイクに乗ったことがないという人いますか」という言葉がかけられました。そしてグループのうちの2人は別メニューとなり、マンツーマンで指導を受けることになりました。

そのうちの1人はバイクに乗るのは今日が初めてという先生でした。話を聞くと、校務分掌(こうむぶんしょう ※)の交通委員として生徒の引率を引き受けたあとで、実は当日バイクに乗ることを他の先生に聞かされたそうです。

※校務分掌:学校内での運営上必要な業務を各教員が分担して受け持つ業務

 

▲初めてバイクに乗るという先生に操作方法を教える指導員

 

自動車の免許は持っているけど原付を含めてバイクは初めてということで、当日は「バイクに乗る!」という心構えで来場したそうです。最初はマンツーマンで、直進、停止から教わっていた先生ですが、外周走行を重ねて運転に慣れ、講習会の終盤ではサポートも必要とせずひとりでバイクに乗れるようになっていました。

▲指導員にアドバイスをもらいながら外周を走行する先生。しっかり時間内で上達されていました

 

実技講習の内容など、続きは後編にてお届けします。

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事