2002年、ついにカワサキ水冷ビッグネイキッドの雄「ZRX1200R/ZRX1200S」は並み居る強力なライバルたちを退け、大型二輪クラスの年間登録台数ナンバーワンの座に輝きました! 前年3月の1200化フルモデルチェンジ(&ハーフカウル仕様新登場)から助走をつけて見事なゴールを決めたカタチですね。ただそのころ、市場はさらなるカオス状態に!?

ZRX1200R/Sカタログ2002

●こちらはまさに2002年型カワサキ「ZRX1200R/ZRX1200S」のカタログ。まぁ、何だかんだ言っても販売の主力はビキニカウルの「R」だったのですが、「S」なくして年間ベストセラーを獲得することは不可能だったはず。フルカウルのツアラーとは趣きの異なるエンジン丸出しのワイルドさがカッコよかったですね〜!

 

 

カワサキZRXという好漢【その6】はコチラ!

 

カワサキZRXという好漢【その8】は今しばらくお待ちください m(_ _)m

 

400とリッターモデルがリンクしつつ発展したネイキッド!

 

まずは今一度「ZRX」シリーズの栄光へ至る、起伏に富んだ道筋を紹介していくと……。

 

 

現在に続くネイキッドブームのビッグバンにして伝説的存在、カワサキ「ゼファー」シリーズ

ネオレトロネイキッドスポーツの全てはここから始まった……と言っても過言ではない1989年型カワサキ「ゼファー」。1979年に登場した「Z400FX」をルーツとする空冷4スト並列4気筒DOHC2バルブエンジンは1983年型「GPz400F」で54馬力にまで到達……していたのですけれど、「ゼファー」はあえて46馬力で登場。高性能&高価格化が止まらないレーサーレプリカブームに付いていけなくなっていたユーザー層をガッツリ取り込んで空前の大ヒット街道へ!

 

 

1989年の400㏄版登場から始まった西風=Zephyr ※ギリシャ神話の西風神ゼピュロスの英語名)は瞬く間に超巨大台風クラスとなり市場を席巻!

 

 

750、1100と矢継ぎ早に兄弟車も充実していき1990年代初頭はまさにやりたい放題状態に!? 

●ウソ偽り誇張なく1990年代初頭の二輪ギョーカイは「ゼファーシリーズにあらずんばバイクにあらず」といった雰囲気が蔓延(写真は1990年型カワサキ「ゼファー750」)。筆者も八重洲出版モーターサイクリスト誌のアルバイトとして、毎月なにかしらのゼファーに関連する記事作成を手伝っておりました。広報車、オーナー愛車、ショップのカスタムモデル……大切な車両を取材のため何回ハイエースに積み下ろししたことか〜

 

 

当然のごとくベストセラーの座へ複数年にわたり鎮座し続けました。

ゼファー1100

●1992年3月、満を持して登場したカワサキ「ゼファー1100」。なんとその年に5200台以上を売りさばいて大型クラストップセールスの座を奪取するというバケモノぶり。乾燥重量で243㎏(装備重量だと260㎏オーバー!?)。ハイエースに積むときはアルミラダーレールを2本使い、細心の注意をもってゆっくり動かしたものです。そこかしこからミシミシ音がするたび寿命が縮みましたね〜

 

 

そんな莫大な利益を見込める金脈をライバルメーカーが指をくわえて眺め続けているわけもなく、ホンダは「CB400SF/CB1000(1300)SF」、ヤマハも「XJR400/XJR1200(1300)」で鋭く巻き返しを図り(スズキは……ちょいと苦戦(^^ゞ)、

XJR1200

●1994年型ヤマハ「XJR1200」。いやぁ、「ゼファー」と全く同じ丸目一眼ヘッドライト砲弾型2連メッキメーター空冷エンジンメッキマフラーリヤ2本ショック等々のウケるネオレトロネイキッド文法を完全踏襲しつつ、ちゃんといちいちカッコいいヤマハになっているところはもう脱毛……いや、脱帽!

 

 

トップセラーに輝くモデルは猫の目のようにニャンニャカと変わっていったのです。

猫の目

●本当は猫の目の瞳孔が丸く開いたり細く閉じたりするイラストを使いたかったのですが、まぁいいや(^^ゞ。ともあれ2000年前後は毎年のようにベストセラーモデルが入れ替わっており面白かったなぁ!

 

ライダーへの「縛り」が消えるたび市場は活性化していった!

 

 

さらに1996年から「大型自動二輪免許」が制定され、教習所でビッグバイク免許が買える……いや取得できるようになると多彩なジャンルが、それぞれ一定以上の人気を集めるようになりました。

 

 

もちろんネオレトロなネイキッドモデルは一番人気であり続けましたが、スズキ「GSX1300R ハヤブサ」が300㎞/h上等なメガスポーツの新時代を切り拓き、ヤマハ「YZF-R1」や「GSX-R1000」はリッタースーパースポーツの寵児に! 

GSX-R1000_2001

●2001年型スズキ「GSX-R1000」。ベースは2000年の「GSX-R750」でシリンダーピッチをそのままロングストローク化することでエンジンサイズはほぼ同じ。かつ、フレームも軽量高剛性のツインスパータイプを新採用することで車体寸法は「GSX-R750」と同等……。結果、乾燥重量170kgで最高出力160馬力という(同年式のヤマハ「YZF-R1」が乾燥重量175㎏、150馬力)圧倒的なパフォーマンスを実現し、一躍リッタースーパースポーツ界のトップランナーへと成り上がり! 逆輸入車がバンバン売られていましたね

 

 

アメリカン(ジャメリカン!?)改め、クルーザージャンルも圧倒的な人気を誇ったハーレーダビッドソン軍団へ追いつけ追い越せとばかり、ヤマハ「ドラッグスター」シリーズを筆頭にして国内メーカーの魅力的なロー&ロングモデルがオトナなユーザーを多数GET!

ドラッグスター1100

●1996年に登場し、3年連続で400㏄クラスでベストセラーとなったヤマハ「ドラッグスター400」シリーズ。その勢いをかって1999年3月に発売されたのが「ドラッグスター1100」でした(写真は2001年モデル)。「ビラーゴ1100」から受け継いだ1063ccの空冷Vツインエンジンは吸排気系を筆頭に大幅な改良が施され、スポーティさと鼓動感を高いレベルで両立! 400同様、よりクラシカルでファットな「クラシック」仕様も投入され幅広い支持を得ました。いやもうとんでもない勢いがあったなぁ……

 

 

まさかの展開を見せたのが大排気量スクータークラスで、ホンダ「シルバーウイング600」、ヤマハ「TMAX」スズキ「スカイウェイブ650」が覇を競い合い、なんと2001年の大型二輪クラス年間登録台数ナンバーワンには「シルバーウイング〈600〉」が輝いたりもしたのですヨ(ちなみに今をときめくアドベンチャージャンルは、当時まだまだキワモノ扱いだったのです。信じられないことですが~)。

シルバーウイング600

●2001年4月に登場したホンダ「シルバーウイング」(その年の11月に400版が登場したので以降は「シルバーウイング〈600〉」と呼ばれるように)。デビュー当時スクーター用としては世界最大だった582㏄水冷4スト並列2気筒DOHC2バルブエンジンは最高出力49馬力を発揮。威風堂々としたスタイリングながら740㎜に抑えられたシート高なども評価され、ベスト&ロングセラーモデルへ!

Vストローム1000_2002

●2002年に海外向けとして発売がスタートしたスズキ「Vストローム1000」。バリバリのリッタースーパースポーツ「TL1000」シリーズ譲りの快活な996㏄Vツインエンジンをアルミフレームに搭載した軽量ハイパワーな万能っぷりが現地でバカウケ。ただ日本ではしばらくの間、知る人ぞ知る通なモデル扱いだったのですけれど、地道な改良と販売戦略の巧みさで時流をつかみ、今やスズキの屋台骨を支える大ブランドに……。そんな大人気アドベンチャー「Vストローム」はこの1000から始まったのです

 

魅力的な選択肢が山ほど増えた戦国時代をついに制した猛者!

 

かくいう混沌(カオス)状態な中、みんなの憧れローソンレプリカ気分が新車で味わえるビキニカウル付き「ZRX1200R」のみならず、欧州で盛り上がってきたトレンドを先取りするハーフカウル付き「ZRX1200S」も日本のラインアップに加えたカワサキの慧眼はさすがでした。

ZRX1200R/S_2003

●2003年型カワサキ「ZRX1200R/ZRX1200S」カタログより。この頃からフォトショップのような写真加工ソフトが急速に進化して一般的となり、美しい合成写真が作り出せるようになっていきました

 

 

1994年2月に発売された水冷ヨンヒャクの「ZRX」、そして1996年12月に1997年モデルとして登場したビッグバイク「ZRX1100」。

 

ともに顔つきの異なる兄弟車も用意して「ゼファー」よろしく速攻でベストセラー街道を突き進むのか……と思いきや、強力なライバルや時代を味方につけたニューカマーたちに阻まれて遠かった頂点

ZRX_2001

●2001年型カワサキ「ZRX/ZRX-Ⅱ」カタログより。厳しくなるばかりの排ガス&騒音……環境諸規制にも真摯に対応して販売を継続。兄貴分となる1100にも丸目一眼の「ZRX1100-Ⅱ」を用意して、よりトラディショナルな雰囲気を好むライダーの要望へ応えていきました。しかし、どちらとも年間1位には届かず……

 

 

ようやく2002年、「ZRX1200R/ZRX1200S」のタッグが大型二輪クラス年間販売王者の座を獲得し、歴史に名を残したのです!

ZRX_2004

●結局のところ、姿を消すまで一度も400クラスのベストセラーにはなれなかった「ZRX/ZRX-Ⅱ」でしたが、2003年型では平成13年騒音規制に対応。2004年型(写真は「ZRX」)では新型のサイレンサーや盗難防止用イモビライザーを採用するなどキメ細やかな改良が重ねられていき、販売台数は着実に積み上がっていきました!

 

高い完成度を誇ったハーフカウル仕様の「ZRX1200S」……

 

その快挙を支えた「ZRX1200S」には実際、幾度となく取材で操る機会があったのですけれど、接するたびハッとする出来映えには毎回グッときましたね~。

ZRX1200S全体

●写真は逆輸入版「ZRX1200S」のカスタム仕様(以降、実車の部分カットはこちら)。ロングウインドスクリーン採用やバックミラーの移設にサブフレームキット&バックステップ&リヤキャリヤ装着などなど渋い改良がテンコ盛りですね〜

 

 

やはり何と言ってもフレームマウントされた剛性の高い大型のカウリングはハイウェイ巡航時に卓越した防風効果を発揮してくれ、長時間の高速移動でも疲労感が大幅に軽減されました。

ZRX1200S

●スポーティなイメージを高めるマルチリフレクタータイプの2灯式ヘッドライトを搭載しており、夜間走行での光量も十分! ただ、エグみが少なくプレーンな顔立ちゆえ、強い印象はあまり残りませんでしたね……

 

 

また、バックミラーやヘッドライト、メーター類がハンドル部に取り付けられていないというのは意外なほど効果が高く、見た目とは相反する軽快な操縦安定性を実現してくれるのですね。

ZRX1200Sメーター

●260㎞/hまで表示されたスピードメーターが逆輸入車の明石……いや証し。フルアジャスタブルタイプのフロントフォークをおごられていることがハッキリと分かりますね

 

 

かくいう素性の良さを見越した「S」専用のサスセッティングも施されていたとのことで大いに納得!

 

 

ビッグバイクらしい二眼式ヘッドライトがドーン!という押し出し感と、されどエンジンは丸見え……見えすぎちゃって困るの~!?という軽快感とが好バランスなスタイリングにもビビビときてしまい、ぶっちゃけ筆者、長い相棒歴を誇るスズキ「GSF1200S」を本気で「下取りに出してしまおうか……」と考え、購入寸前までいったバイクのひとつがカワサキ「ZRX1200S」だったりするのです。

ZRX1200S_サイド

●シュッと切り上げられ、エンジンのカムカバー部分を隠さないデザインが秀逸。燃料タンクとのつながりも自然そのものでした……。強力な制動力を視覚的にもアピールするフロントブレーキの6ポットキャリパーはやっぱり目立ちますなぁ!

 

 

今、広報写真を見ていてもドキがムネムネしますね~

ZRX1200S_2002

●2002年型カワサキ「ZRX1200S」。ギャラクシーシルバー×パールコスミックグレーというこの色に一番グッときました。なお、当時価格は税抜き99万円(「R」は96万円)ナリ

 

 

閑話休題。

 

 

残念ながらワタクシのようなライダーは極少数だったようで、2001年に華々しく登場した「S」は、2004年モデルを最後にラインアップ落ち……。

ZRX1200RS_2004

●2004年型カワサキ「ZRX1200R/ZRX1200S」カタログより。「S」の姿は表紙から消え去り、中身をチェックしても小さく1点7:3カットが使われているのみ……。このパッションレッドもカッコよかったのですけれどね。ニンゲンもお笑い芸人も売れてナンボですな

 

 

レアモデルという烙印を押されてしまったのでした。

 

あと1年……、せめてあと1年だけでも粘っていてくれたなら!?

 

歴史にタラレバもニラレバもカンチレバーもないのですけれど、せめてもう1年……2005年まで「ZRX1200S」が寿命を保っていてくれたなら歴史は変わっていたかもしれません。

 

 

そんな重大に過ぎるパラダイムシフトが二輪ギョーカイに巻き起こります

CB1300SB_2005

●2005年2月、コイツ(失礼)が登場してネイキッドの勢力図は大きく塗り替えられました……

 

 

次回は2000年代中盤の「ZRX」シリーズ紆余曲折について語ってまいりましょう!

 

 

あ、というわけで「ZRX」シリーズのみならず2000年代前後に登場したライバルや多彩なジャンルの(ビッグ)バイクたちはメカニズム的にも完成の域に達しておりますので選んで安心! 直近、本格スタートしたレッドバロンのWEB在庫検索サービスや各店舗での問い合わせを通じて、アナタだけの1台を探してみてくださいね!

 

 

カワサキZRXという好漢【その8】は今しばらくお待ちください m(_ _)m

 

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