三ない運動を撤廃して”乗せて教える”交通安全教育へと転換した埼玉県。県内6エリアでの「高校生の自動二輪車等の交通安全講習(以降、高校生講習)」は、新型コロナ禍でもしっかりした感染対策の下で開催し、予定通り’21年10月にて終了した。その後さらに追加で講習が行われるということを聞き、取材を敢行。その模様をお届けする。
●文:ヤングマシン編集部(田中淳磨)
追加の高校生講習とは?
追加の講習会が開催された日は’21年11月6日(土)、場所は埼玉県警察免許センターだった。実はこの日、当地で開催されていたのは「2021グッドライダーミーティング埼玉」のレディースデー。埼玉県警察と埼玉県二輪車普及安全協会が主催する運転講習会で、早朝から20名以上の女性ライダーが訪れ、広々とした本コースの中でスラロームにUターンにと汗を流していたのだ。
高校生講習が行われたのは、敷地内の一画に整備されていた高齢者講習用のコース。直線距離も短く、こじんまりとした印象だ。この講習会に参加したのは、様々な理由で本来行くべき講習会に参加できなかった生徒たち7名。「ワクチンを接種した後で行けなかった」「ケガをしていた」「開催されることを知らなかった(本当!?)」といった理由で、居住地の講習会に行けなかったのだ。
特例で開催された講習会
バイク免許を取得する、あるいはバイクに乗車する生徒は、保護者同意の上で学校に届け出を行い、居住エリアで年に1回開催される高校生講習(実技/座学/救急救命法)を受けることになっている。しかし、前述したようにどうしても都合が合わなかったり、アクシデントなどで行けない場合もあるだろう。そうした生徒は、他エリアでの受講のほか、県内で開催されている指定の講習会を受けることでも良しとされている。ただし、指定の講習会では受講料が発生するので、生徒も保護者もなるべく高校生講習を受けたいはずだ。
さて、前述したように、’21年度の高校生講習は10月末に終わっている。指定の講習会も冬場は開催がなくなる、または減るものが多い。そうした中、今回は特別に、グッドライダーミーティングに間借りするような形での開催となった。これは、次年度もこのような形で追加の開催が続くというわけではなく、あくまでも今回は特別ということだった。
不参加でも罰則はない
埼玉県は、公立高校の生徒がバイク免許を取得し、バイクに乗ることに関して様々な条件を課しており、高校生講習を受講することもそのひとつだ。県の教育委員会からは講習会の日時や場所といった開催情報が各校に連絡されており、参加予定者の名前/免許の種類/バイク乗車の有無なども把握されている。しかし、高校生講習を受けなかったからといって、バイクを禁止にするなどの罰則があるわけではない。現状では生徒の参加率が7割台というエリアも多く、参加率の向上は本取り組みの課題のひとつとなっている。
「バイク免許を取ったら、バイクに乗るなら、とにかく高校生講習は受けておけ」という認識を醸成しなければならない。生徒の周囲の理解と協力が必要であり、学校や指導担当の先生の意識、そして何より保護者の意識を変えるためにも、現場の活動をより多くの県民に詳しく伝える必要があるのではないか。
▲グッドライダーミーティングに参加する女性陣に混ざって、クルマとバイクの距離感と接近速度を体感する時間も設けられた。
▲交差点での様々な危険を体感する。高齢者講習用のコースが小さかったので何度も体験できた。
▲少人数ながら危険予測トレーニングもしっかり実施した。▲救急救命法は座学のみで実施。少人数だったためか、参加した生徒の集中力は高かった。
▲受講証明書。グッドライダーミーティングは参加無料だが、傷害保険料200円が必要。県教委が主催する本来の高校生講習は完全無料だ。
※本記事の内容はオリジナルサイト公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
WEB YOUNG MACHINE - NAIGAI PUBLISHING, Co., Ltd. All rights reserved.