2022年10月16日(日)、伊豆半島の中央に位置する伊豆市で、ライダー誘致のイベント「MOTTO!! IZU FUN」が開催されたのでレポートしよう!
主催は伊豆半島の地域クラブ「原動機研究部」であり、ライダー誘致を行う自治体である伊豆市が後援となって、伊豆市管理施設のキャンプ場「もちこし来楽歩(くらぶ)」をメイン会場として、モビリティに関する様々な催しが行われた。

伊豆市内のスポットを巡るツーリングも開催!

なお午前中には、もちこし来楽歩でのイベントと同時進行する形で、伊豆市内のスポットを巡るツーリングも開催された。菊地豊市長や波多野靖明市議会議員もスクーターに乗って参加し、晴天の下、総勢十数名の賑やかなマスツーリングとなった。
一行は、早朝に「中伊豆ワイナリーヒルズ」で集合し、修善寺の超有名スポット「竹林の小径(ちくりんのこみち)」、逆にマイナー過ぎる名瀑かつジオスポットでもある「旭滝」、さらには洗い越しでのスプラッシュ体験が楽しめる「林道達磨山線支線」を巡るなどツーリングを満喫した後、イベント会場へと合流した。


電動キックボードからキャンピングカーまで幅広い展示

一方のイベント会場には、モビリティメーカーや団体によるブース出展やケータリングの出店もあり、フヂイエンジニアリングによる電動キックボードの安全運転講話や静岡トヨタによるキャンピングカーの紹介、バイク用品メーカーのデイトナによるキャンプアイテムの使用デモなどが行われていた。

「安全に走ってください」「私たちも安全に走ります」

ツーリング組が合流してからは午後の部が始まり、原動機研究部と菊地豊市長によるトークショーが開催され、市長が直接ライダー誘致の背景や理由について語った。

「伊豆半島には13の市町がありますが、伊豆市はちょうど真ん中です。なので、伊豆半島を周る方はほぼ確実に伊豆市を通るんです。で、正直言うとバイクの事故が目立っちゃうんです。伊豆スカイライン、西伊豆スカイラインで事故を起こすと、他の事故より件数は多くないのに『バイクは危ない』となってしまう。

じゃあ『来ないでください』と言うんじゃなくて、伊豆はライダーもサイクリストもウェルカムですから『安全に走ってください。私たちも安全に走ります』と宣言したほうが合理的ではないかと考えます。

例えば、ここ「もちこし来楽歩」はキャンプ場ですから、チェックアウト後の10~15時はお客さんが少ない。でしたら、道の駅やコンビニで休憩するのもいいですけど、ライダーの休憩場所に使ってもらえるんじゃないかということも考えています。」

市長が実体験を交えて話した中山間地の移動問題

また菊地市長は、自身も伊豆市の中山間地で育った実体験を交えて、モビリティの活用をはばんでいる三ない運動や現在の教育の在り方についても自論を述べた。

「実は、伊豆市のような中山間地では通学がとても大変なんです。ここ(持越地区)にも私の知り合いのお宅があるんですけど小学校まで11km。2年後に新しく中学校ができるんですけど、そこまでも16kmあります。バスは通学に合わせたバスしか走っていません。

この道路は県道だからかろうじてバスが走っていますけど、バスが走らない山の中の集落もいっぱいあるんです。じゃあ、どうやって高校や修善寺駅まで通学させるんですか?

私は16歳の時に免許を取りました。48年前ですが当時生徒会長をやっていて学校にお願いしたんですよ。部活の後にバスを降りて、そこから2kmも山を上らないと帰れないからバイクに乗りたいと。でも、ダメだと言われまして、仕方ないからこっそり乗ってましたね。
今のモビリティには25km/hまでしか出ないとか、リミッターがついている。25km/hのバイクでどうやって暴走するんですか。新しいモビリティが出たら新しい通学方法があってもいいじゃないですか。これっておかしいですよね。三ない運動が「免許を取らせない、バイクを買わせない、乗らせない」、じゃあ通学の足が必要な人はどうするんですかと。

学校の責任に押しつけるんじゃない。『行政も含めた私たち地域の大人が、バイクにせよ車にせよ、安全な乗り方、自分の身を守る、他人様の身を守る乗り方を教えることこそが勉強じゃないかな』という思いで今日も参加させて頂きました。」

市長が原動機研究部の若者とツーリングに参加するのは、ライダー誘致の他にもこうした中山間地の移動困難者の実情を知ってもらいたいとう思いがあるのだ。

バイクの安全運転についての講話も実施

その後は、安全運転の実技指導員をしている木村さんから、安全運転やツーリング中に気を付けたい点などについての講話も行われた。バイク運転中の“挨拶=合図(ブレーキランプやウインカー)”の使い方、後ろを頻繁に見て、相手を意識したブレーキをかけることで、周りとコミュニケーションを取りながら気持ちよく運転すること。さらには、対向のクルマにも見てもらうために、前車との車間距離を開けたり、ちょっと車線をずらして相手に見てもらうことで“挨拶=コミュニケーションができる”ことなどの運転意識・テクニックについて紹介した。

バイク洗車のコツやノウハウも伝授!

さらに、バイクメンテナンスの基本である洗車について、シュアラスターの井上さんが、簡単なコツとノウハウを紹介した。洗車はツーリングに行く前に行うことでトラブルを発見できること、洗剤の違い(中性、酸性、アルカリ性)の使い分け方、台所洗剤とバイク用洗剤の違い(バイク用は泡落ちがよい)、ホイールなどの油分を分解するにはアルカリ性洗剤が適していること、カウルを傷つけないためにもスポンジを泡立ててから洗うことの重要性などを説明、実演した。

安全運転のための運行前点検やツールについて

さらに、バイクの運行前点検について富岡さん(富岡輪店)から説明があった。「ネン(燃料)・オ(オイル量)・シャ(車輪)・チ(チェーン)・エ(エンジン)・ブ(ブレーキ)・ク(クラッチ)・トウ(灯火類)・バ(バッテリー)シメ(増し締め)」のそれぞれの点検方法とエアゲージなど関連ツールの使い方について実際のバイクを例に教えてくれた。

二宮さんによる電動キックボードのお話も!

YouTuberとしても有名な二宮祥平さん(ホワイトベース)による、選択肢としてのバイクの電動化、電動キックボードのバッテリーコストやメンテナンス、都市部など適した地域性や乗車時の安全性等について、現状と課題を織り交ぜながら深いトークが繰り広げられた。

特にキックボードが段差を乗り越える能力について、タイヤの径、シャフトの位置、座面の関係性について説明し、「座面の位置がタイヤの外径より上にある製品は前転の危険性がある」ことなど、キックボードの構造上の問題に触れながら、事故防止・安全運転の啓発について語った。
施行が近づいている新区分「特定小型原付」についても説明があり、スワロー社製電動キックボードを例にして、正しい仕様のものを選べば安全に乗れ、ガソリン車と電動の住み分けもできるようになり、より二輪が面白くなるという持論を展開した。

最後は、各社からの協賛品によるジャンケン大会やチャリティオークションを行ってイベントは終了となった。
ライダーの誘致に取り組む伊豆市からは、今後、様々な話題が届けられるだろう。原動機研究部と取り組む高校生へのモビリティの活用・啓発と併せて、伊豆市の今後にぜひ期待してほしい!

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