ロッキーカップって、なに?
キャンプ・アイテムの代表みたいな存在なのが、シエラカップ。料理を食べる際の器になるし、飲み物を入れるカップになるし、そのまま直火にもかけられる。でも、使っていて何か不満に思ったことはありませんか? そう、容量です。約300mlしかありません。
あとちょっとだけ、容量が大きければなあ……。
1980年代のアメリカで、同じことを感じていた、ひとりのバックパッカーがいたそうです。そして決断。だったら自分で作っちゃえ。
彼が開発したのは、これ。構造と直径はシエラカップと同じなのですが、カップを深型にして、底面も大きくしました。容量は、1パイント。ざっくり480mlぐらい。そして「ロッキーカップ」と名付けました。これはシエラじゃなくて、ロッキーだ、と。シエラネバダ山脈よりも、ロッキー山脈のほうが面積が大きいぞ、ということでしょうか。
底部の裏に「PINT」と刻印されています。パテント申請もして、1987年に認定されたとか。寸胴型で底部が広いため、キャンプ用ストーブに載せた際にシエラカップより安定感があります。容量も大きいので使い勝手もいい。しかも、シエラカップと径が同じなのでスタッキングもOK。ということで筆者は気に入り、世紀をまたいで愛用し続けているのですけれども、現在は廃番。この元祖ロッキーカップはマニアも多く、現在はオークションサイトやフリマアプリで高値で取引されるハメに。
1万円以上(!)も出して中古品を買うのはイヤだな、というのであれば、これまたシエラカップ同様、類似した同形状のカップを買うのがいいかも知れません。
例えば、このように。新潟県三条市の株式会社ベルモントが製造販売している「シェラカップ深型480」。ロッキーカップと同じ形状で、ステンレス製と、チタン製とがあります。写真のものはチタン製の旧製品ですが、現在は取っ手の形状に工夫を凝らして箸やスプーンが仮置きできる「シェラカップREST深型480」として販売されています。ステンレス製だと税抜1250円なので、高騰中のロッキーカップを買う値段で10個以上も買えます。ややお高いチタン製の「シェラカップREST深型480」でも、2100円です。
ロッキーカップは調理しやすい
ロッキーカップの利点のひとつに、調理のしやすさがあります。シエラカップの底面の直径は約75㎜、ロッキーカップの底面の直径は約95㎜ですから、底面積にして約1.6倍も大きく、小型ストーブのゴトクに載せた際に安定感があります。
また、容量が約480mlということで、インスタントラーメンも麺を半分に割れば安心して煮ることができます(粉末スープの量を加減すれば一度に一人前を作れなくはないけど、沸騰中にお湯がこぼれがち)。カップヌードルの場合は約290mlの熱湯で作りますので、ロッキーカップひとつで充分にまかなえます。
シエラカップと使い分けよう
容量の大きなロッキーカップは、食器としても使い勝手がいいもの。大きな鍋から、好みの量を一度に盛りつけることができます。シエラカップだと、これを何度も繰り返さないといけませんよね。
ロッキーカップにたくさん盛りつけられれば、仮に冷めてしまったとしても、そのときは自分のストーブで温め直せばいいのですから、ラクなものです。
ロッキーカップとシエラカップの両方があるなら、ロッキーを料理の盛り付け用に、シエラは飲み物用に使い分けると便利です。「自分は大酒飲みで、だけど食事は少食だ」という方は、逆に使い分けましょう(筆者もその一人?)。
シエラカップとスタッキングする
ロッキーカップとシエラカップは、どちらも直径が約12㎝。取っ手(ハンドル)が最上部に位置しているので、重ねる(スタッキング)ことができます。荷物がコンパクトになるって、バイクで行くキャンプの場合、特にうれしいですよね。
これはロッキーカップとシエラカップを中心に、シエラざる、フタ、収納ケースを組み合わせた、筆者の最低限のオリジナル装備。大人数でキャンプをする場合は、他に大型のステンレス寸胴鍋をひとつ持参し、鍋料理を仲間に振る舞いつつ、自分はこの最低限の装備で済ませます。
野外料理なんか面倒だから今回はスーパーのお惣菜でいい、という場合でも、この組み合わせだけは持ちます。
スタッキングすれば、こんなにコンパクト。
ちなみにピンクの収納ケースは、100円ショップのものです。7インチ・タブレット用のクッションケースが、ぎりぎりフィット。それにしても、なぜ、ピンク? 売れ残りなのか、この色しか在庫がなかったので、仕方なく。だけどフィールドではよく目立って探しやすくて重宝しています。何事も経験ですね。勉強になりました。次は違う色を買いますけど。ではまた。