アライヘルメットから登場したばかりのツーリングレンジのフルフェイスヘルメット、『アストロGX』。最新機能を搭載しとにかくライダーの快適性に拘ったそうだが、実際使ってみると、これがかなり涼しいフルフェイスヘルメットに仕上がっていたのだ。今回はそんな『アストロGX』の涼しさに関するレビューをお届けしよう!
ASTRO GXが登場
最近、ヘルメット業界では“涼しさ”を売りにした商品が人気だ。ちょっと前までは、肌に接触する内装部分に冷感素材や抗菌素材などを使うのが主流だったが、近頃のトレンドは積極的に走行風を取り入れること。つまりはベンチレーション性能にこだわったアイテムが増えている。
…え? そんなの昔からあるだろって? いやぁ、それが近年のヘルメットの涼しさは一昔前のモデルのソレとは全く違ってきている。正直、一昔前のモデルのベンチレーションは、開けていてもそれほど効果を感じることはなかった(個人的感想です!)。暑がり&汗っかきで、しかも眼鏡っ子な僕は、ヘルメット内部のムレは、ただ単に暑いだけでなく、結露となって視界を妨げる死活問題。季節に関係なく開けられるベンチレーションはほぼ100%開けた状態で走っているのだが、そのベンチレーション効果をいまいち実感したことがない。当然閉じるよりはマシなのだろうが、走行中に、ベンチレーションを開けたり閉めたりしても効いてるのかな?と思うし、そもそも頭部のベンチレーションなんかは、手探りで操作していてどっちが“開”だっけ?なんて迷う程度の効果しか感じたことがない(筆者の個人的感想です!)。その空気導入効果を明確に感じるのは厳冬期くらいかな? 冬だってフロント側は曇り防止のためにベンチレーションは常時解放しており、必要があればシールドを少し開けるくらい。ベンチレーションを閉めるのはあまりに寒く、頭頂部に突き刺さるような冷気を感じたときくらいなのだ。
アライのベンチレーションシステムが劇的進化!
そんな僕である。“涼しい”ヘルメットと聞いて使わずにおられるハズもない。そして実際に走ってみれば、この新型ヘルメットの『アストロGX』、確かにこれまでのアライのフルフェイスヘルメットとは一線を画す涼しさを感じることができた。全体的にフレッシュエアの流入量が多く、走り出すとシールド内部の空気が大きく循環するのを感じる。特にフレッシュエアの流入量が多いのはシールド上部に取り付けられたブローシャッターのようだが、新作の上部のフロントロゴダクトやGフローダクトもかなり効いている。
前頭葉が涼しいヘルメット
バイクで実際に走って驚いたのは、“前頭葉部分が涼しい”ことだ。人間の臓器の中でも多くエネルギーを消費する脳はかなりの熱を発する器官だ。僕自身の話をすれば、バイクでの走行中はかなり頭が発熱しているのを感じる。まぁ、それだからこそ常に汗だくなんだけどね。そんなこともあってだろう。この『アストロGX』による前頭葉の冷却効果が非常に心地よく感じられたのだ。シールド内部とは違い、明らかに風が抜けているほどのフレッシュエア流入量ではないのだが、常に外気が流入しているからだろう、ひんやりとした空気が額の上くらいに滞留している感じ。おかげで、おでこがしっかりと冷やされるのだ。もちろん、この額の冷却具合は走行速度によるけど、一般公道レベルの50km/hくらいでも流入してくる空気が乾燥していれば十分その効果を感じられる。さらにハイスピードな高速道路に入ればなおさらである。
インプレッションしていて不思議だったのは、今回シールドにアライ独自の外付けバイザー『プロシェードシステム』を装着して走ったのだが(テスト車両はヤマハ・テネレ700)、バイザーをヒサシのように上げているときよりも、下げている時の方がフレッシュエアの流入量が多いことだ。バイザーを上げて走った方が、なんだかラムエアよろしく風を集めてベンチレーション効果が上がりそうな気がしたのだけど、試してみると逆なのだ。バイザーを上げるとおでこあたりの空気の流入が減り、下げるとおでこがひんやりしはじめる。理由はちょっとわからないが、後部のGTスポイラーへの気流を乱すと内部への風の流入量が変化するのかもしれない。
とはいえ、それだけ違いを感じるのだから、アストロGXに搭載されたアライの新型ベンチレーションは十分効果があるってことだ。涼しいフルフェイスヘルメットが欲しいライダーは、ぜひアライのフルフェイスヘルメット『アストロGX』を試してみてほしい。
アライ『ASTRO GX』
価格:単色:5万7,200円 / グラフィック:6万6,000円