CT125ハンターカブカスタム沼にどっぷり肩まで浸かった、モトメカニック編集部・ミヤシ。自分の使い方にあった理想のリアサスペンションを作る奮闘記、第4話です。酔の席で始まったこのプロジェクト、ここまでスプリングレート/仕様違いで4つのバージョンをテスト。ソロライド、特に林道やオフロードコースでのスポーツ走行で必要十分な性能を持った設定のスプリングや、大量の荷物を満載してツーリングしても破綻しない強いスプリングレートなど、ほぼ仕様が決まりました。今回は、前回のバージョン4のレートより少しだけ柔らかいスプリングのテストをします。
●文/写真:モトメカニック編集部(ミヤシーノ 宮下豊史) ●外部リンク:アラゴスタモーターサイクルサスペンション[モトテック]
ついに5本目のスプリング。これで完成??
荷物満載、もしくは荷重をしっかりかけたスポーツ走行(飛んだり跳ねたりも含む)では申し分のない結果となった、ミヤシ仕様のCT125ハンターカブ用リアサスペンション。ただし、空荷で街中を走ったり、まったりツーリングするにはやや固さを感じます。プリロードを全抜きしてコンプレッションダンパーの設定を調整しても、ちょっと気になります(本当にちょっとだけね)。レートを少しだけ下げたものをテストするべきか、と悩みをアラゴスタモーターサイクルサスペンションシステムの杉山氏に打ち明けると、「ここまで来たのですから、作っちゃいましょう。悔いが残ると、今後一緒に飲む度に愚痴ることになるしね」と背中を押してくれました。ありがとうございます。
バージョン5のスプリング。全長220mmのバリアブルレートのスプリング。レートは1.2-1.8 kgf/mm。
前回のバージョン4は1.2-2.0 kgf/mm。今回新たに作ったバージョン5は1.2-1.8 kgf/mmとやや柔らかめに。バリアブルレートなので、それぞれのレートが影響を与える範囲も変更可能。下の写真を見ると分かりますが、上端のスプリングの巻数が違う。単純に柔らかくしたわけではなく、1.8kgf/mmの影響する範囲をやや多く取ることで、トータルで柔らかくかつ腰のある設定に変更しました。
言われてみてはじめて知りました。これを自分で設定し制作指示をしようと思っても絶対に無理でしたね。
まずは空荷でテスト。近所をぐるぐると走り回ります。バージョン4だと街中を流すときに固さが気になったのですが、今回はちょうど良い。歩道から車道に降りる段差や白線をまたぐとき、さらにアスファルト上の凹んでいる轍を乗り越えるときなど、変な突き上げ感もないし、固さからくるゴツゴツとした感触もなく、スプリングがしっかり伸縮していることを感じられ気持ち良い。このレートは大成功です。1.2-1.8kgf/mm、イコールではありませんがスプリングレートは1.5kgf/mmとなります。純正の1.4 kgf/mmよりもやや硬めが丁度よい、という結果に。
しかしながら、結論を急ぐのはまだ早い。今度はキャンプ道具を満載した場合でもチェックします。ちょうどハンターカブ仲間が企画したキャンプイベントがあったのでテストがてら参加。1泊2日分の冬用のキャンプ道具に、いつもなら現地で調達する水/薪/炭/酒類を積んで出発します。もちろんプリロードはいつもより多めにかけます。柔らかめのスプリングのため不安がありましたが、それは杞憂に。腰砕け感はなく、道の凹凸を走り抜けるときも挙動は安定し、不安はまったくありません。道中にちょっとしたシケイン的なポイントがあり、ちょっとだけラフに切り返し、その後加速をしてみます。バイクの挙動は至って自然。怖い思いをすることを予測していたので拍子抜け。結果オーライです。
ミヤシのCT125にはツアラテック製の72L容量の巨大トップケースを装着しています。これにキャンプ道具をぎゅうぎゅうに詰め込み、トータルの重量はおおよそ30kgほど。さらにサイドバッグに10kgの荷物を積載することもあります。
Facebookグループ「ハンターカブ キャンプ」のメンバーと一緒にキャンプを楽しみ翌朝記念撮影しました。前日の昼はこの倍以上のメンバーが集まってハンターカブ談義を楽しんだとのこと(ミヤシは仕事が終わらず夕方現地着だったので参加できず)。
これでやっと最終結論を出せます。この仕様で申し分ありません。完成とします。
バージョン5スプリング
・全長:220mm
・バリアブルレート:1.2-1.8 kgf/mm
バージョン5のスプリングを組み込んだアラゴスタサスペンション。筆者好みの一品に仕上がりました。
静岡市駅前、青葉横丁のおでん屋のカウンターで始まった、ミヤシ仕様のCT125ハンターカブ用サスペンションプロジェクト。2年近くの歳月を費やしましたが、ついに完成です。
林道やオフロードコースで空荷でソロライドを楽しめ、キャンプ道具満載でロングツーリングを快適に走ることができる、万能仕様となりました。ちなみにこの仕様に至るまでに制作したスプリングは5セット。ダンパーユニットも2セット使用しました。
よく見るとすべて巻きが違います。
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