この9月15日、たまたま大型ホームセンターに立ち寄ってみたところ、ウワサの“手乗りケルヒャー”「OC Handy Compact(ハンディエア)」の展示即売会に出会ってしまった……。体験コーナーもあったのでスタッフの方にお話を聞いてみればなんとこの日が一般向けの発売開始日。「もう今日だけで4つ売れました! 残り数台です。」なんて話を聞いたり、機能を試しているうちについつい財布のヒモが緩んでしまったので、早速バイクの洗車に使ってみることにしよう!!

Makuakeによる先行販売では発売開始から20分で2500台が完売した人気商品「OC Handy Compact(ハンディエア)」。一般販売後以降も品薄状態が続いているもよう。ACコンセントが必要ない充電タイプの高圧洗浄機で重さは本体780gであり、4in1ノズルを付けたまま折り畳んだ状態はこんな感じ。まさに“手乗りケルヒャー”である。
ケルヒャー「OC Handy Compact(ハンディエア)」の使い方&使用感

ケルヒャー「OC ハンディコンパクト」の内容物は、①ハンディエア本体、②4in1ノズル、③ペットボトルアダプター、④充電USBケーブル(USB Type-C)、⑤自吸用ホース約5m、⑥ホースクリップ、⑦洗浄剤ノズル。価格は税込1万4980円(2025年9月現在)と安くはないが、べらぼうに高いワケでもない。
バイク関連のフリーライターという職業柄、各媒体からの依頼でバイク関連用品のインプレッションも行うことが多い筆者。充電タイプの高圧洗浄機に関しても、SYGN HOUSEがスパイサー・ポケッタブル高圧洗浄機をリリースして以降、色々なメーカーから似たようなアイテムが登場してレビューを書くたびに物欲をそそられているのだが、そんなところに「OC ハンディコンパクト」がデビュー。ケルヒャーといえば家庭用高圧洗浄機のパイオニアである。このジャンルでトップクラスのシェアを誇る超有名メーカーが作るハンディタイプの高圧洗浄機はいったいどんなものだろう?

ハンディエア本体に4in1ノズルを取り付けて展開してみたところ。ハンディというサイズ感に偽りなし。イエロー×ブラックのコーポレートカラーも“ザ・ケルヒャー”って感じでそそるぜぃ!!
僕の場合、ハンディタイプの高圧洗浄機があったらやりたいこと、それはオフロードバイクの洗車だ。自走できないナンバーなしのオフロードコンペモデルで困るのが走行後の清掃。トランスポートする以上、バイクを車に積み込むことになるわけだが、土や砂の上を走るオフロードバイクは大なり小なり汚れる事になる。汚れたまま車内に積み込めばドロや砂といった汚れも一緒に持ち込むことになり、フロアはなんだかんだとドロまみれ。それにキレイなように見えて積んでみると意外と土ぼこりの匂いが気になる、なんてことも多い。

ハンドルを折りたたむとトリガーレバーがヒンジ部に収納される設計。これならどんな雑な収納の仕方をしても持ち運び時に誤作動することはなさそう。

ハンドル下部のUSB Type-Cで充電。バッテリーはリチウムイオン7.2v/2.5Ahで充電時間は取扱説明書によれば約3時間とのことだが、実際に使ってみた充電時間は2時間半くらいだった。
洗車場があるオフロードコースであればそこでしっかりドロを落として積み込めばいいのだが、河川敷や私設のコースを走る場合などはそもそも洗車場などなく、汚れたバイクを一度積み込んで近くのコイン洗車場で再び降ろして洗ってまた積み込む……なんて二度手間が発生する。

トリガーレバーを引きながら本体後部のボタンを押すと水流の「強(ブースト)」と「弱(エコ)」が選択可能。ただバイクを洗う場合は常に「強」を使う感じ。ボタンにはLEDも内蔵されており、水流の「強(黄色)」と「弱(白色)」や、バッテリー残量を点灯(強/100〜約30%)、ゆっくり点滅(強/約30%以下)などの光り方で教えてくれる。ただやや暗く屋外では見にくい。
洗車のためにバイクを下ろすのは面倒だよね。ハードな泥汚れならともかく、軽い汚れなら現場で積み込む前にささっと洗えてしまえたらどんなにラクなことだろう? なんて思いながら色々な充電式のポータブル高圧洗浄機をインプレッションしているのだが、どれも一長一短。パワーと収納サイズ&お手軽感はトレードオフといった感じでバランスが難しいのだ。

4in1ノズルによる水流モードは、上から時計回りに「ポイントジェット」、「標準」、「シャワー」、「傾斜」。取扱説明書による稼働時間は、「強(ブースト)」の場合、「ポイントジェット:12分」、「標準:12分」、「シャワー:25分」、「傾斜:12分」で、「弱(エコ)」だと「ポイントジェット:22分」、「標準:24分」、「シャワー:30分」、「傾斜:24分」。
充電式のポータブル高圧洗浄機をいくつか使ってみて総じて言えることは、ポータブル電源によるACコンセント&水道に直接繋げるタイプの高圧洗浄機に比べると、充電式のポータブル高圧洗浄機は水量&水圧がどれも低めであるということ。少なくともマディ路面走行後の泥で重くなったようなオフロードバイクを楽々洗えるような充電式のポータブル高圧洗浄機には、今回のケルヒャーの「OC Handy Compact(ハンディエア)」を含めてまだ出会えていない。

自吸用ホースにはホースクリップも付属しており、バケツなど固定できて便利。またホースが透明だとエア噛みにいち早く気付けるし、片付け時にもホースの中の残り水の有無が確認できていい。

トリガーを引けば即稼働。水流の強さは「標準」の「強(ブースト)」でこんな感で、体感的にはホースを指で握りつぶしたくらい。コンクリートに向けた場合に色落ちさせるほどの洗浄能力はなく、噴流に手をかざせるくらい。他の充電式ポータブル高圧洗浄機と同様、「OC Handy Compact(ハンディエア)」も“マディ走行後のオフロードバイク洗車で積極的に使えるような能力ではない”ことははっきり申し上げておこう。
あくまで僕のざっくりな洗浄力の印象を言わせてもらうと、コイン洗車場の高圧洗浄機の威力が“10”とすると、ACコンセント&水道に直接繋ぐタイプの家庭用高圧洗浄機が“6とか7”、充電式のポータブル高圧洗浄機はせいぜい“2か3”といったところ。……まぁ、そもそも持ち運べる水の量が限られている出先では、たとえコイン洗車場並みの強力な洗浄能力があっても一瞬で水を使い切ってしまうようでは無意味。洗浄力である水圧と水の使用量のバランスが難しいのだ。

筆者はACコンセント&水道に直接繋ぐタイプの高圧洗浄機、ケルヒャー・K2クラシックプラス(最大許容圧力:8MPa)も使っているが、さすがに「OC Handy Compact(ハンディエア)」は最大許容圧力:1.5MPaしかないのでそこまでの水圧はない。だが、ACコンセント&水道に直接繋ぐタイプの高圧洗浄機はAC電源の確保が必要だったり、意外とかさばったり、準備が面倒だったり……。「OC Handy Compact(ハンディエア)」は“収納サイズがコンパクトで車に常備しておけて、使いたい時にパッと使える”というところがポイントなのだ。
「OC Handy Compact(ハンディエア)」はバイクの洗車にどのくらい使えるか!?

「標準」&「強(ブースト)」の水流モードが一番バイクの洗車において使いやすかった。
実際に「OC Handy Compact(ハンディエア)」をバイクの洗車に使ってみての感想は、“思ったより……というかけっこう使える!!”というのが正直なところだ。前述したとおり、マディ環境を走ったオフロードバイクの洗車で使えるほどの強力さはないが、オンロードバイクや泥がこびりついた程度の軽い汚れのオフロードバイクなら十分洗い上げられる手応えが得られた。

僕のN-VANの屋根には常に約20ℓのポリタンクを積んであり、水道用のホースジョイントを装着。キャンプや車中泊での水源にしており、ホースを繋いでの補給もできるようにしている。「OC Handy Compact(ハンディエア)」の自給用ホースも早々とこのシステムにつなげられるようホースジョイントに換装してしまった。
流水モードに関しては、やはり「標準」&「強(ブースト)」の組み合わせが一番バイクの洗車に向いており、頑固な虫汚れや泥があった場合だけ、さらに勢いの強い「ポイントジェット」に切り替えるという感じ。

「ポイントジェット」&「強(ブースト)」は、洗浄力が強いが洗浄範囲が狭く洗浄に時間がかかる。バッテリーの容量を考えると、奥まった場所や落ちにくい汚れなど要所で使うのが良さそうだ。

オフロードブーツなどのアイテムを洗うのにも、やはり「標準」&「強(ブースト)」が使いやすい。
ちなみに実測の稼働時間としては、「標準」&「強(ブースト)」の組み合わせで連続稼働時間は13分半ほどで、取扱説明書にある理論値12分よりやや長い時間稼働。これだけの洗浄時間があればバイク1台洗い上げるのには十分と言えるだろう。
また、ちょっとびっくりしたのは20ℓ水タンクを使い切るまでの時間だ。「標準」&「強(ブースト)」の連続使用で約11分ほど使うことができたのだ。 「OC Handy Compact(ハンディエア)」は、僕がこれまで試用してきた充電式ポータブル高圧洗浄機に比べると、限られた水量の中で少しでも長く稼働できるよう節水にも気を使っている感じ。それでいて水の圧力が弱いと感じることもないので、吐出量と圧力のバランスがとてもいいのだ。

車に積んだ20ℓ水タンクを使い切るのに約11分。これだけ稼働できればキャンプなどの出先でちょっとした汚れ物を洗うのには十分だし、バイクの洗車も余裕をもって行える。他の充電式のポータブル高圧洗浄機だと5分程度で20ℓを使い切ってしまう製品もあったが、「OC Handy Compact(ハンディエア)」は節水にもかなり気を使って作られているよう。このあたりは流石は老舗のケルヒャーといったところだ。

ペットボトルからの吸水も可能。写真の1ℓのペットボトルを使い切るのは30秒ほどで、アウトドア用品の小物を洗うのにちょうどよさそう。

洗浄剤ノズルに中性洗剤を入れれば泡洗車も可能。1ℓのペットボトルによる噴霧がちょうど良かった。

個人的に気に入ったのが中央が左右に張り出した本体の形状。ループを作って結んだ場合にズレて外れてしまわないおかげで安心してフックなどにかけておける。

「OC Handy Compact(ハンディエア)」は税込1万4980円。
結論として、僕のような車にオフロードバイクを積んでコースを走ったり、オートキャンプや車中泊を楽しむユーザーにとって「OC Handy Compact(ハンディエア)」はかなり役立つアイテムとなりそうだ。少なくとも僕の場合、車内に「OC Handy Compact(ハンディエア)」を常備しておくことは決定。稼働音もかなり小さい(充電式のエアポンプより静かな印象)ので、汚れが気になった時にさっと取り出して水洗いをする。そんなアウトドアライフになりそうだ。
【関連記事】
コンパクトで使いやすい『SPICERR ポケッタブル高圧洗浄機 SWU-1』の性能はいかほど!? ライバル製品と比較してみた!!
梅雨直下! レッドバロンオリジナルレインウエア『ライディングレインスーツ』特集 その3 -高圧洗浄機テスト-