キャンプ用品を買い揃えるにあたって、もっとも高額なのがテント。ツーリング向きのコンパクトなテントでも数万円はしますから、買ってから後悔したくないですよね。ということで今回は、キャンプツーリング歴35年以上の筆者による「これは」と思える名作テント4張をご紹介。メーカーは全部バラバラ、価格もいろいろ、個性もさまざまな4張なのですが、それぞれに「欲しい!」と思わせる魅力があるんです。実は今春、昭文社発行のツーリングライフブック『RIDEOUT(ライドアウト)』のキャンプロケをした際、筆者を含む4名のスタッフが個人装備品として持ち込んだのが、偶然にもその4張! やっぱりみんな、目の付け所が一緒なんだなあと納得した次第です。
PUROMONTE(プロモンテ) VLシリーズ
メイドインJAPANの品質にこだわる、アルパインテント・ブランド「PUROMONTE」。なかでもVLシリーズは、1988年の販売開始時から一貫して〈軽量・コンパクト〉をコンセプトにしてきたオールシーズンテントです。写真のテントは筆者の愛用品、3人用の「VL-33」。現在のモデル「VL-37」は総重量1.67㎏と超軽量。
キャンプツーリングの場合、荷物はバイクで運ぶのですから、そこまで軽さを求めなくてもいいでしょうが「キャンプツーリングだけじゃなくて山歩きも趣味」というのならば、軽さは武器。しかも本格登山向けに開発されているため、強度や耐久性も高いのです。
つまり、長持ちする。3人用の「VL-37」は55000円ですが、何年にも渡って使用できるのですから、結局はお得。
渇きやすい、というのも高評価ポイント。フライシートとテントグランド部は速乾性に優れたポリエステルを使用。朝、夜露に濡れたテントを乾かす時間が短くて済むので、撤収が早くてラクです。
ソロキャンなのに、なぜ3人用のテントなのか。それは快適さを求めるため。ご覧の通り、3人用とはいえ3人の大人が悠々とくつろげるようにはなっていません。テントのなかにはヘルメットやバッグもしまうわけだし、就寝時にはキャンプ用チェアも畳んでテント内へ持ち込みますから、このぐらいの広さは確保したいところ。また、テントは自然災害などで自宅にいられなくなった場合にも使えますから、家族との避難を考えると多少は広いほうがいい、ともいえます。
インナーテント内には、細いロープを張るための工夫もされていて、天井中心部と、サイドウォールの四隅にループがついています。ロープを張っておけば、LEDランタンやタオル、メガネなどをぶらさげることができます。広くはない空間を効率よく使えるので、こうした工夫は実に助かります。
ogawa ステイシーST-Ⅱ
1914年創業の老舗アウトドアブランド、オガワ。広くて快適なオーナーロッジ型テントで定評のあるメーカーだけに、ツーリングテントにもそのノウハウが散りばめられています。
2~3人用のテントとして販売されている「ステイシーST-Ⅱ」の最大の特徴は、広々とした前室。いわば、土間ですね。奥行は110cm、横幅は220cm近くあります。これだけの空間があれば、別にタープを張らなくても雨がしのげます。インナーテント内部の広さは150×220cmあり、小さなお子さんひとりを連れたご夫婦でも、なんとか使えそう。
総重量は3.9㎏で、収納サイズが52×19×19cmなので本格登山用には向きませんが「キャンプツーリングにしか使わない」というのであれば、これはかなり魅力的。ベストセラーになっているのも納得です。
写真のテントは『RIDEOUT』清水編集長のもので、現在はカラーが変更され、カーキとサンドベージュの2タイプ。価格は46200円。
mont-bell クロノスドーム2
いまやアウトドアにおける日本のトップメーカーとなった、モンベル。そのツーリング用テントといえば、ベテランライダーにとっては「ムーンライト」シリーズが思い浮かぶところでしょうが、ドーム型という効率のいい空間形成と価格の安さという点で、この「クロノスドーム」シリーズは注目に値するもの。山岳用テントのノウハウを活かしつつも、2人用(総重量2.44㎏)で28380円という破格の安さ。ポールを直角に交差させるという独自のバーティカル・クロス・システム(特許取得済)を搭載した、広い居住空間も特徴。写真のテントは『ツーリングマップル関東甲信越』取材担当者の中村さんのもので、現在はフライシートの色と形状が少々変更されています。「クロノスドーム2」は、さすらいの野宿ライダー寺崎勉さんも愛用するなど、多くのツーリングライダーに使われています。
ARAI TENT 「ONI DOME(オニドーム)」
日本の本格登山テントメーカーの草分け、アライテント。とにかく軽くてシンプルな構造が特徴的な「ライズ1」や「ゴアライズ」など、革新的な製品を生み出してきたメーカーですが、2016年に発売したこの「オニドーム」も他に類を見ないもの。通常は長方形となるグランドシートの1辺を湾曲させて〈鬼の角〉のように突き出させ、ペグダウンさせずとも前室が形成できるようにしたのです。
2人用の「オニドーム2」は、重量1.48㎏と超軽量。価格は51700円。このテントもPUROMONTEのVLシリーズ同様、キャンプツーリングするけど山歩きもする、という人にはおすすめ。写真は山歩きだけでなくチャリツーも趣味にしている柴田雅人カメラマンのもの。柴田カメラマンはこのテントを自転車に積んで東京・日暮里から北海道・宗谷岬まで行ったそうな。
いかがでしたか? 以上の4張が、筆者の選んだマイベスト・テントです。他のテントももっと知りたい! という方は、現在発売中のツーリングライフブック『RIDEOUT』(1650円、昭文社)をチェックしてみてください。テントに限らず、ツーリング向きのキャンプ用品全般をご紹介しているほか、全国ツーリングエリアガイドやライダー向けのキャンプ場ガイドも収録しています!
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