気持ちよく走り続けられる南房総の道
この夏、ホンダ・ハンターカブCT125 に乗り始めた僕の初めての“カブ主”ツーリング。
今回はそのツーリング・リポート後編である。(前編を読んでいない方は「初めてのカブ主ツーリング。南房総は“カブ天国”だった!(前編)」をご一読ください)
僕のハンターカブ125、S村さんのスーパーカブ90(改)、カメラマンの米倉さんのクロスカブ110によるツーリングは、南房総市・岩井海岸近くの僕の家をスタートし、外房の御宿海岸を目指すというもの。往復約120kmの南房総半島横断コースである。
前編ではスタートから外房・鴨川の海岸に到着するまでを報告した。とはいえスタートしてからまだ約30km。目的地である「カイザーベルク御宿・月の沙漠」までの道程のやっと半分である。
ここから御宿までは、外房の主要道路である国道128号線をひたすら走る。右手に太平洋を眺めながら走る絶景ロードだ。この日は平日。夏場の週末ともなればそこそこの交通量があるが、秋冬の平日の南房総、はっきり言ってガラガラである。信号もチョー少ないので、法定速度いっぱいで延々と走り続けることができる。それがまさにカブにぴったりの速度域なのだ。
三車三様、カブそれぞれの楽しさ
今回、道中で少しだけS村さんのスーパーカブ90改、米倉カメラマンのクロスカブ110に乗らせてもらうことができた。タイプや排気量は違っても操作系は共通なので、戸惑わずに乗り換えることができた。これも“カブ主ツーリング”ならではの楽しみかもしれない。
そしてこの3台、同じカブとはいえ乗ってみるとかなり違った。まず僕のハンターカブは、排気量がいちばん大きい125cc、前後ディスクブレーキということもあり、最も“モーターサイクル度”が高い。ひと言で言えばスポーティである。アップマフラーから吐き出されるサウンドもかなり勇ましく、流れの速い国道でも交通の流れをらくらくリードすることができる。
次に排気量の大きいクロスカブ110。じつはとっても乗ってみたかった。ハンターカブを買うときにかなり迷っていたのだ。じっさいに乗ってみると、ハンターカブと較べて「穏やか」な印象。パワーはハンターの最高出力8.8PSに対して8PSとさほど差はないのだが、出力特性はマイルドなセッティング。排気音が控えめなのも穏やかに感じられる要因だ。またブレーキも前後ドラムなので、ガツンと効く感じではない、あまり“飛ばす”気にはさせない。今日のような海岸線をのんびり行くようなツーリングにぴったりなのは、このクロスカブかな?という気がした。
いっぽうS村さんのスーパーカブ90改はカブの“原点”を感じさせる。見た目もシンプルだが、走らせるとまさに原付!という感覚だ。パワーはハンターカブ、クロスカブに比べるとかなり非力だし、ギアもハンター、クロスが4速なのに対してこちらは3速しかない。一般道を流して走るぶんには問題ないが、アップダウンが続く区間などでは限られたパワーと3速ギアを目いっぱい駆使して走らせてやる必要がある。そしてアクセル全開で走っていると、ハンドルには振動がビンビン伝わってくる。だがそれがまた楽しい!のである。まあ、疲れるけど(笑)。
そんな三車三様の走りを味わいながら、128号線を走る。まもなく鴨川市から勝浦市に入る、というところでちょっと脇道に逸れ、鴨川市小湊にある「誕生寺」に立ち寄る。ここは日蓮宗の大本山であり、今から700年以上前となる鎌倉時代、日蓮聖人の生家後に建立された由緒ある寺だ。さすがに荘厳なつくりで、仁王門は県の文化財に指定されている。
誕生寺を後にすると、ほどなく勝浦だ。勝浦は“朝市”が有名だが、すでに時間はお昼前。名物の勝浦タンタンメンはまたの機会にすることにして先を急ぐ。カブでのツーリングのよさは、その身軽さゆえちょこちょこ止まるのがまったく苦にならないことだ。クルマや大型バイクだったら「気になるけど、スルーしておこうか……」となるポイントにもホイホイ立ち寄れる。だがそれだけに一向に進まない……ということにもなりかねないのである(汗)。
月の沙漠をはるばると
そして御宿町にある「カイザーベルク御宿・月の沙漠」に到着。ここはレッドバロンが運営するツーリングサポート施設だ。休憩スペース、カフェ、バーベキューサイトなどがあり、レッドバロンの会員なら無料で入場することができる。今日の目的はここでバーベキュー(サイト使用料 1,000円、食材セット料金 3,000円/1名)ランチを楽しむことなのである。
「カイザーベルク御宿・月の沙漠」の施設詳細、楽しみ方などについてはあらためて別の記事で紹介したい(今回それを書くとかなりの大作になってしまうので……^^;)。ともあれツーリングの途中でしっかり寛いで休める場所があるのは快適だし安心だ。バーベキューも肉、海鮮、野菜とボリューム満点で、大満足だった。
ランチのあとはカイザーベルクの目の前に広がる御宿海岸を満喫。約2kmにわたるビーチにはカラフルな「ONJUKU」のモニュメント。“映え”スポットである。夏には水着姿の若者たちで賑わう浜辺だが、この日はライダーおやじ(私です)がひとり占め。
定番のモニュメントはこちら。月の沙漠像。童謡で有名な「月の沙漠」の作詞者、加藤まさをは学生時代、結核の療養のためにこの地に滞在しており、御宿の砂浜が歌詞のモチーフになったと言われる。んー、50代にはこっちのほうがしっくりきますね(涙)。
急げ、急げ!夕陽のゴールへ
そうこうしているうちにすっかり陽が傾きはじめていた。この時期は日没が早いのだ。ツーリングの締めは内房に戻り、夕陽を眺めるというミッションがある。少し慌てて帰途につくことに。
帰路の国道128号線にて。帰りはずっと左側に海を眺めて走る絶景。陽がどんどん傾いてくる。急げ、急げ!
鴨川の海岸沿い駐車場で小休止。南房総には海に臨む公共の駐車スペースがたくさんある。ゴールまではあと30kmほど。
そして内房・保田海岸に到着。なんとか夕陽に間に合った! 冬は空気が澄んでいて美しい夕陽が見られることが多い。そして3台のカブの右横には富士山のシルエットが!
そして往復約120kmの日帰り“カブ主ツーリング”は無事終了。あらためて海あり山あり、適度なアップダウンあり、道幅は狭めだが交通量が少なく、40〜60km/hでのクルージングが可能な南房総は“カブ天国”である!と確信したのだった。
次はひと足早い“春”を求めて、カブを連ねて房総フラワーラインなどをトコトコツーリングしたいな……、などと思った新米“カブ主”なのでした。