買ったばかりのクロスカブ110でツーリングに出かけたい。せっかくならスーパーカブC125を所有する旧友Tを誘い、2台を乗り比べてその違いも味わってみたい。ということで郷里の岩手県へクロスカブを運び、真夏の空の下、走り出すことに。いやあ、カブはカブでも、こんなに違うのか! と感心した次第。

岩手県道1号線を南下

 走ったルートは奥羽山脈の東麓を南北に縦断する岩手県道1号線。岩手県盛岡市から、豪雪地帯で知られる岩手県和賀郡西和賀町を通り、秋田県横手市まで延びる道。

スーパーカブC125

 このうち盛岡市の御所湖(ごしょこ)から、西和賀町の錦秋湖(きんしゅうこ)までの約52㎞を走りました。この区間は信号機のある交差点がほとんどない、といってもいいぐらいの走りやすい道で、実に快適。
 真夏って、赤信号で停止すると、暑いじゃないですか。アスファルトからの照り返しもあるし、股下のエンジンから熱気が上がってくるし。だけども、ずーっと走っていられるのですから走行風が常に吹き付け、気持ちがいいのです。

排気量15㏄の差は

 ツーリング中、クロスカブ110とスーパーカブC125を何度も取り替えっこしながら走行。やっぱり排気量15㏄の違いは大きいと実感。たった15㏄だけれど、カブにとっての15㏄は、排気量の1割以上。小排気量車だから差が出ます。
 これが大排気量車で、仮に1300ccと1315㏄とかだったら差は感じないでしょうけどね。

クロスカブ110 スーパーカブC125

 スーパーカブC125の最高出力は「7.2kW[9.8PS]/7,500rpm」。最大トルクは「10N・m[1.0kgf・m]/6,250rpm」。
 クロスカブ110の最高出力は「5.9kW[8.0PS]/7,500rpm」。最大トルクは「8.8N・m[0.90kgf・m]/5,500rpm」。
 最高出力も最大トルクも、C125のほうが1割以上、上回っています。
 しかも乗り比べてみると悔しいことに、C125のエンジンのほうが上質感があり、シフトのフィーリングもスムーズ。それはC125がカブシリーズ最高峰の位置づけだから? ホンダの高級車にしか取り付けられていない、赤くて丸いエンブレム(オールドタイプのウイングマーク)も、C125にはちゃんと付いてますしね。

他にもこんなに違いが

 乗車中のライディングフォームも、けっこう違いました。クロスカブ110は大らかな姿勢でいられるのに対し、スーパーカブC125はややスポーティにちょっとだけ前傾。
 これはハンドル幅とハンドルの高さ、そしてハンドルの位置によるものでしょうか。

クロスカブ110 スーパーカブC125

 ハンドルの高さがこんなに違います。そしてクロスカブ110のハンドル幅は795㎜、スーパーカブC125のハンドル幅は720㎜と、75㎜もの差が。
 クロスカブ110のハンドルが幅広で、高い位置にあるのは、SUV(Sport Utility Vehicle)的な性格を持たせるためでしょう。これだとツーリング中の姿勢もラクです。
 一方のスーパーカブC125は、スポーツライディングがより楽しめるといった印象。

クロスカブ110 スーパーカブC125

 メーターの位置も違います。クロスカブ110のほうが、メーター位置が高いので見やすい。でもこれはスーパーカブC125のメーターが見にくい、ということではありません。ちょっとした違いです。

スーパーカブC125

 フロントブレーキも2台には違いが。スーパーカブC125が1ポットキャリパーなのに対し……(それにしてもキレイだな、C125のキャストホイールって)。

クロスカブ110

 クロスカブ110のフロントブレーキは、2ポットキャリパーが採用されています。1ポットでも2ポットでも、公道で走る上では制動力に違いはないと聞いたことがありますが、ではなぜ?

スーパーカブC125

 テールランプにも差があります。スーパーカブC125のは、オシャレ。高級感があります。初代モデルに似せたウインカーもLEDだし。

クロスカブ110

 クロスカブのテールランプは、ごく普通のもの。ウインカーも昔ながらのもの。
 ただ、クロスカブのウインカーは点滅時に「チッカン、チッカン」と音がなります。これはいい。消し忘れせずに済むから。C125は音がしないんですよ。だから旧友Tは交差点を曲がった後、ときどきウインカーを消し忘れてます。要注意!

小休止のたびに見惚れる

 バイクって、楽しいですね。乗って楽しい、見て楽しい。ツーリング中、小休止のたびに見惚れてしまいます。

クロスカブ110 スーパーカブC125

 しかし、カブはカブでも、いろいろ違うんだなあと実感。2台を縦に並べてみたら、今度は前後の長さが気になりました。
 スペックを調べてみると、スーパーカブC125の全長が1,915㎜なのに対し、クロスカブ110は1,935㎜と2㎝長い。なのに、ホイールベース(軸間距離)はC125が1,245㎜で、クロスカブ110は1,230㎜と、1.5㎝短いのです。
 この違いが乗り味に、どう影響するのか。
「また取り替えっこして乗ろうぜ」
 そんなふうにして県道1号ツーリングは続くのでした。次回(後編)は山間の豪雪地・西和賀町でいただいた絶品の山菜そばと、東北の伝統的狩猟集団マタギのお話です。ではまた!

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