昭和の味わいを今に残すスポットをスーパーカブ110でツーリングする連載シリーズ。茨城県を北上し、次に向かったのは「ヤンキーピラフ」なる名物を出す喫茶店! なぜ、そんな名前なのか。ヤンキーに絡まれてしまうのか? 必見!

<前回記事はコチラ>
自衛隊推しの弁当自販機店で優雅な朝食を【昭和レトロ紀行 茨城編①】

ご当地らしい強烈なネーミングが最高!

優雅なブレックファーストをキメてから、次の目的地までひたすら北上する。まずは霞ヶ浦を横断し、太平洋に沿って走る国道51号へ向かう。

↑霞ヶ浦の広大な景色を眺めつつ移動。この辺でホムセン箱のフタを閉め忘れたのだけど、対策済みのせいで大丈夫だった。さすがタピオカストローだ、何ともないゼ!


地図を見ると、国道51号は右手に海を眺めながら走れるのかと思ったら、そんなこともなく(笑)、1時間少々で到着。

次の目的地は「山茶郷(さんちゃごう) 湊店」という喫茶店。一見、昔ながらの喫茶店だ。

↑「山茶郷 湊店」。国道245号線沿いの立地で、周囲に田園風景が広がるノドカな雰囲気だ。■茨城県ひたちなか市部田野3705-3 10~19時 月曜休


しかし、この店を特別なものにしているのが名物「ヤンキーピラフ」。……実に強烈なネーミングだ。ヤンキーとピラフが混ざって、なぜか自分の中では「チンピラ」と呼んでいたのだが、なぜこんな名前なのか聞き出すほかあるまい。

↑お店の看板の隣に大きく「ヤンキーピラフ」の文字が踊る。走行中に見惚れたら不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまいそうだゼ!?

ヤンキーがお出迎え? 店内は意外にも・・・・・・

……それしにても店内にヤンキーがゴロゴロいらっしゃったらどうしよう。

↑さて店内へ。ドキドキ。「話題騒然 ヤンキーピラフ」とあるほか、紹介されたテレビ番組名がズラリと書いてあった。


「いらっしゃいませ」妙齢のおばあさんが出迎えてくれる。
内部はまさに昔ながらの昭和らしい喫茶店だ。先客が2組おられるが、初老、中年のカップルでヤンキー成分は皆無であった。

↑店内はウッド調で観葉植物もいっぱい。ヤンキーっぽさはなく、落ち着いた雰囲気だ。

 

↑私が座った席はこんな感じ。灰皿があるので喫煙可と思われる。


さっそくメニューを見てみよう。

↑年季が入ったメニュー! ぜんぶ手書きだ。土日祝日を除く11時までモーニングサービス(トースト、サラダ、コーヒーor紅茶付き HOT550エン、ICE600エン)もある。

 

「ハンバーグ 750エン」「生姜焼 700エン」「ナポリタン 700エン」(メニューの円はエン表記)などに並んで、「ヤンキーピラフ 680エン」の文字が!

「アイスコーヒー430エン」も頼もうか迷ったけど、チンピラじゃなくてヤンピラ一択だ。

注文したので、店内を物色してみた。

↑ひょうたんの飾りの奥にカウンター。店主さんが調理を担当していた。

↑ピンク公衆電話! ちなみに本日のランチは「皿うどんセット」。ドリンク付きで850円と格安だ。

↑そして……なぜかお面がたくさん!

↑とりわけ目立っていたのが窓際に飾られていたこのお面。1mぐらいあるしコエェ!

↑マンガは『修羅がゆく』『荒くれNIGHT』が充実! 特に後者はピッタリだ。欲を言えば『特攻の拓』と『ビー・バップ・ハイスクール』も欲しいゼ笑

↑公衆電話の右側を抜けるとトイレ。ドアノブと壁の間にクリアランスがなく、かなり回しにくい。

↑手洗所。「実家」感強め~!

辛さと甘みが調和して美味、野菜もタップリだ

そうこうしているうちにヤンキーピラフが着膳! おぉミニフライパンの上に乗っている。見た目からしてイイ。

↑出ましたヤンキーピラフ! 適度なボリュームのライスに青ノリがパラパラかかっている。スープ付き。

ピラフはアツアツで、ザク切りの玉ねぎがゴロゴロ。これがサクサクした食感に加え、ほのかな甘みも添えている。ちょっとだけ辛いけど、玉ねぎの甘みが中和してくれて食が進む。ウマイ!

あらいやオートコーナーの焼肉弁当を食べてから、あまり時間が経っていないので食べきれるか心配だったが、ウマかったので食べてしまった。ややオイリーだったこともあり、物凄く満腹だ笑
ヤンキー用語で言う「シャバ僧」(冴えない一般人)の自分にはこれが限界ッス。

↑気が付けば完食!


ボリュームはさほどないかなと思ったけど、玉ねぎのせいか、ヤンピラだけでもお腹一杯となったに違いない。

ついに名前の由来が判明、心温まるお話だ

店主の方に話しかけてみた。
まずは最大の関心事。なぜヤンキーピラフなのだろうか?

「昔は別の所にお店があったんですよ。そこで開店する時に、若い人の意見を採り入れるため、近所のヤンキーのお兄ちゃんを何人か招待したんです。そういう方々のリクエストを聞きながら、若い人が毎日食べられる安くてボリュームがあるメニューをつくりました。
最初は名前がなかったのですが、ヤンキーの方向けだったからヤンキーピラフにしようということで始まったんです」

なるほど! 実に心温まるお話だ。学校が近くにあったのかな、と思ったら「そうではないんです」と店主。

味付けがピリ辛なのは、やはりピリリとした(?)「ヤンキー」を意識したのだろうか?
「そういうわけではないんです。お店を手伝っていた妹が味付けを考えてくれたんです」

ヤンキーピラフが始まったのは、お店が生まれた約40年前、昭和58年頃だ。もちろん今はヤンキーの人以外にも好評だ。

名物になったのは、ヤンキーピラフの看板をつくったことがキッカケとのこと。
「最初は看板がなくて、ウチに来た人から広まっていったんです。看板をつくって、携帯電話が普及した頃(注・20年ほど前)から人気になりました。ほら、歌手の石井なんとかさんが北茨城市出身で、その人が携帯で紹介してくれたみたいで」とご主人。
「カールスモーキー石井さんですか」
「ああそうです。いらした時は気付かなかったんですが(笑)」

ここで接客ご担当の奥様が「今にして思えば、あの鉾田市の人も来てたよね」と参戦。話を聞いていくと、お笑い芸人の「カミナリ」だという。まだ売れていない頃、普通にお客さんとしてよく来店していたらしい。さらに、なんと広島からマイクロバスを運転して団体で食べに来る人もいるとか。

茨城でも昔と比べてヤンキーは少なくなったのでは? と質問すると、
「そうですね。暴走族の音は夜に聞こえますが、減りました」と店主。

そう言えば、なぜお面が多いのだろうか?
「ただの趣味です」と笑いながら店主が答えてくれた。

↑許可を得て撮影させてもらったレジ。おそらく開店当初からの代物で、お店の歴史が刻まれているようだった。

実にマジメ、今や貴重な昭和の喫茶店

こうして店を後にした。それにしてもチンピラ……じゃなくて「ヤンキーピラフ」というネーミングの妙が素晴らしい。茨城という土地柄、そしてノドカな田園風景とのマッチングが昭和レトロ好きのハートをくすぐってくれた!

ヤンキーピラフのネーミングから、ついついふざけたお店を連想してしまいがちだけど、昭和の喫茶店の趣と、寡黙だけど温かいお店のスタッフによる雰囲気は、実に落ち着く。この二面性はなかなか得難い。満腹による眠気と戦いながらスーパーカブ110を走らせ、そんなことを思った。

しかし、そんな眠気も次の目的地ですっかりブッ飛ぶことになるのだが……。

<次回 カオスで物悲しい、限界ドライブインでお宝ゲットォ!【昭和レトロ紀行 茨城編③】に続く!>

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