「キツネなんてちょすな!」

何度か北海道ツーリングを経験して、とある土産屋の店主が怒ったように言った。

「ちょすな?」ってどういう意味だ?

「ちょす」は北海道弁で「触る」と言う意味。「ちょすな!」は「触るな!」と言うこと。

ではなぜ?「ちょす」のはイケナイのか?

一番の大きな理由は「エキノコックス」と言う寄生虫が野生のキタキツネには必ずいると言うこと。このエキノコックスの卵(直径0.03~0.035 mm)が人間の身体に入ると、幼虫となって体内に寄生し、発熱・倦怠感・肝機能障害などで日常生活が送れなくなり、最悪死に至る可能性がある。しかも発症するまで5年以上の時間差があり、人間にとっては非常に厄介な存在なのだ。

ただし、生まれたばかりのキタキツネを生んですぐに母キツネから離し、隔離するとエキノコックスには侵されないと言う事実もある。

弟子屈町の林道をKTM250XCFでツーリング

弟子屈町の林道を走る。道東の林道ツーリングは最高です。

 

林道ツーリング中発見したキタキツネの子供

弟子屈町の林道ツーリング中、生後1ヶ月ほどの子供のキタキツネに遭遇。

 

次の理由として、キタキツネはかなり頭が良い。

野生のキタキツネは森の中でネズミやカエル、虫、木の実、果実などを食べて暮らしている。

ちなみに道民はキタキツネを見てもなんとも思わない(ネコが道路を歩いている方が珍しい)。

が、観光客は違う。「かわいい~♡」とキタキツネに対して手持ちのおやつなどを「エサやり」してしまうのだ。それに味を占めたキタキツネは「道路にいるとエサに有りつける」と学習するのだ。

道路にいるキタキツネ

こんな可愛いキタキツネを見たらエサを上げたくなるでしょうね。でも絶対ダメだからね!

 

キタキツネにはエサをやらない。ちょさない。そのことは私が北海道に移住してから必ず守るようにしている。

 

道路で死んだキタキツネ

観光客からエサをもらい続けたキタキツネの結末はこうなることを知っていて欲しい。

 

 

ツーリング中、キタキツネが飛び出してきたら、日中や視界の良い夕暮れは減速・ハンドル操作で回避することが出来る。しかし、突然の雨や峠道の濃霧で飛び出してきたらパニックになる事も。

落ち着いて回避することができた後は、絶対に「エサやり」をしないことだ。キタキツネはイヌ科の動物なので、噛まないとも限らないのだ(噛まれる=エキノコックス感染リスク増)。

  

もし、安全にキタキツネを鑑賞・触れ合いたいのであれば、北見市にある「北きつね牧場」に行きましょう。ここで飼育されているキタキツネは先に述べたように、生まれてすぐに母キツネから隔離されて飼育され、寄生虫の心配がない状態です。

北見市北きつね牧場

北見市「温根湯温泉」近くにある北きつね牧場。

 

北きつね牧場

北きつね牧場にはたくさんのキタキツネがいます。

 

ちなみに、弟子屈町の川湯温泉と言う街。昭和の時代には一世を風靡した温泉街だったが、今では人影も少なく閑散としている。

その街の中に観光客にエサをねだるキタキツネが出没するのだ。

街中に出没するキタキツネ

こうしたキタキツネは川湯温泉を観光する客の「エサやり」に期待したり、飲食店の残り物などを物色している。

 

人なつっこいけど、無視していればいなくなる。私の場合、子供を叱るように愛情を込めて「コラっ!!」と言って追い払うようにしている。

  

…というわけで、ツーリング中にキタキツネを見かけても、くれぐれも、エサやるな!ちょすな!…というお話でした。

 

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