どうも昔から“予約”という作業が苦手だ。飛行機、新幹線はもちろん、なんなら旅行の宿の予約をとるのもキライ(笑)。だからこそ、何ものにもとらわれず、自分のペースで行き当たりばったりの旅ができるバイクに乗っており、どこでも寝られるよう野宿道具を積んで走っているのだ。
なんでここまで“予約”が苦手なのか? “予約”をした時点で、“いつ何時までに○○しなければならない”と己の行動が制限されてしまうことがイヤなのだ。“いついかなる時も興味を惹かれるモノを見つけたら寄り道できる身軽な立場でいたい”ということなのだろう。そんな自分が、締め切りに追われる編集者とか、フリーランスのライターなんて“しなければならない”の塊のような仕事をしているのも不思議ではあるのだが、まぁ、仕事(日常)と旅(非日常)は別ってことか(笑)。

北海道上陸に向けて目指すのは、津軽海峡を渡る青森ー函館間のフェリー。船会社は写真の「津軽海峡フェリー」と「青函フェリー」の2つがある。
そんなわけで前回お伝えした2025年4回目となる『FanFunミーティング in JA夕張市銘産センター』イベントレポートの取材依頼が来た時。「エアチケットとかレンタカーとか宿とかの予約は自分でとって行ってきてください」という依頼をしてきた担当編集者が、冗談で「なんなら自走でもいいですよ!?」と口を滑らせたことをいいことに、「飛行機の予約とか面倒なんで自走します!」と飛びついた(笑)。
まぁ、それだけでは正直仕事にならないので依頼元の電子版ヤングマシンだけでなく、ヤマハマシンや古巣のタンデムスタイルといった他媒体やこのForRでの仕事をいろいろ詰め込んで1週間に渡る長旅に出ることにしたというわけ。今回の記事である【青森-函館フェリーは行き当たりばったりで乗れんのか?】も、そんなお仕事の一つだったりする。

北海道への相棒はヤマハの新型トレーサー9 GT+Y-AMT。追従型のACCに、オートマチック変速のY-AMTを組み合わせてしまった超絶快速マシン。その快適具合を確かめるべく3200kmに及ぶロングランインプレッションをしてきた……のもお仕事で、その記事はいずれウェブヤングマシンのヤマハマシンにて!
北海道の南の玄関、青森フェリーターミナルまで片道739kmを一気走り!

千葉の自宅から青森のフェリーターミナルは東北道経由で739km。昼間の暑さと混雑をさけて夜走りする。
さて、そんなこんなで北海道へ自走で行くことが決まったわけだが、やっぱり青森-函館間のフェリーの予約すらイヤなワケ。だって関東から青森まで走って行くにしたって時間が読みにくいのだ。Googleマップよれば739kmの行程で時間にして8時間半くらいかかるようだが、それは純粋な走行だけの時間。700kmも走ればトイレはもちろん、バイクに給油も必要だし、雨が降ればレインウエアも着るしペースもダウンする。……色々言い訳を並べてみたが、ならばいっそのこと【青森-函館フェリーは行き当たりばったりでバイクと一緒に乗れんのか?】という企画にしてしまうことにしたのだ。

トレーサー9 GT+Y-AMTが異様に快適なおかげで朝5時には青森フェリーターミナルに到着。さぁ、フェリーの混雑状況はいっさい不明。「津軽海峡フェリー」と「青函フェリー」どちらの船で北海道に渡れるのだろうか?

「津軽海峡フェリー」は約5時間、「青函フェリー」は約4時間おきに船が出港しており、まずは出港時間の近い「津軽海峡フェリー」の受付カウンターへ行ってみる。
フェリー会社が2社もあって両社とも数時間おきに船が出ていれば、すぐの乗船は無理でも、1日待っていればなんとか乗れんだろ? そんな適当な計画だったが、結果から言ってしまうと到着直後の6時25分発の便にすんなり乗れてしまった。

車両甲板にトレーサー9 GT+Y-AMTがポツン。このフェリーに2輪は僕とチャリダーのみ。ちなみに料金は750cc以上のバイク1台、ライダー1名で8620円(7月10日の往路でビューシート価格込み)。
あまりにも簡単に乗れてしまったので、カウンターのスタッフに「いつもこんな感じの混み具合ですか?」と、聞いてみれば「今の時期(2025年7月10日あたり)なら、終日それほど混んでないですね。函館発の便も同じ様な状況です」とのこと。そんな拍子抜けな状況をSNSでアップしてみれば、「昨年、僕が北海道に行った時はライダーが多くてその日のうちに乗れませんでした」なんてコメントもあったので、7月中旬から8月中旬にかけての繁忙期(料金も高め)だと、行き当たりばったりでの乗船はうまく行くことは少ないのかもしれない。

船内に入ったら甲板へ……出ることも、座席を確認することもなく、まずシャワールーム(もしくは風呂)へ直行するのが僕流のフェリー旅。長距離トラックのドライバーたちが押し寄せてくる前にさっさと汗を流してしまいたいのだ。

乗船時間の約3時間半はとにかく仮眠で体を休めることに専念。というわけでビューシートと呼ばれるリクライニングの指定座席を確保。ちなみにタイトルバックの写真はこの席から函館着岸前に撮った。
復路は日和ってフェリーを前日予約(笑)
というわけでいとも簡単にフェリーに乗船できてしまったワケだが、帰りはそう単純ではなかった。台風9号の北上により道内での延泊を決定。函館で一晩台風をやりすごしてから本州に渡るような計画を立てたのだ。ただ次の仕事の都合上、台風通過直後の船で青森に渡っておきたかった。同じ様なことを考えているライダーもきっと多かろうと、様子を探るべく「津軽海峡フェリー」の予約センターに「明朝、7時50分の便は、この台風での欠航の可能性はありますか? 」と探りをいれる。
返答内容は、「確約はできませんが、これまでの実績だとおそらく出港します。まだ予約も空いてますが乗りますか?」という感じ。台風だというのに妙に落ち着いているというか、さも“間違いなく出港しますよ”という雰囲気なのだ。ただ、こっちには30年前に波風の影響で船が出ず、函館のライダーハウス「ライムライト」で1週間近く足止めを食らった記憶があるものだから、思わずその場で予約してしまった。

復路も「津軽海峡フェリー」。ただひとりぼっちだった行きと違って、帰りは12台のバイクやトライクが並んでいた。
ちなみに復路のフェリーに乗り合わせたライダーの話では、“最初はちょっと安い「青函フェリー」の方を予約していたが、昨日の夕方電話して台風での運行状況を確認したらその時点で欠航が決定したと言われた。それで急遽「津軽海峡フェリー」に予約しなおした”のだとか。どうやら「津軽海峡フェリー」と「青函フェリー」で船の大きさが違い、波風による欠航の状況が違うらしいとも話していた。まぁ、あくまで伝聞情報なので真相はご自身で確かめてほしいが、この夏、自走で北海道で渡るライダーはそんな船会社による違いもあるということを覚えておいて損はないだろう。
さて、いよいよ函館上陸。次はどこへ行こうかな!?