扱いやすい原付サイズでありながら、一般道ではクルマと同じ速度で走行できる原付2種。原付と違って二段階右折しなくていいし、タンデム走行もできるし、中型バイクや大型バイクに比べれば車両価格や維持費も安い。そうした理由から、原付2種は多くのライダーに支持を得ています。ただし、馬力もトルクも決してパワフルとは言い難く、登り坂の多い山岳ワインディングロードでは楽しく走れるのかどうか、ちょっと疑問も……。ということで、実際のところはどうなのか確かめるべく、クロスカブ110で奥多摩周遊道路へ出かけてみました。

奥多摩周遊道路とは

奥多摩周遊道路

 今回のテストコースに選んだ奥多摩周遊道路とは、東京都西多摩郡檜原村数馬と、奥多摩町川野を結ぶ約20kmの都道。
 昭和48年4月に東京都初の有料道路「奥多摩有料道路」として開通し、平成2年4月から無料化され、「奥多摩周遊道路」と呼ばれるようになりました。

奥多摩周遊道路

 地図で示した赤い線が、奥多摩周遊道路。かなりのワインディングです。奥多摩周遊道路の真ん中あたり、風張峠は標高1146mもあります。となれば、愛車で攻めてやろうじゃないかとライダーが集まるのは当然のこと。天気のいい土日や祝日には、たくさんのバイクで賑わいます。

カブでワインディング!

 さあ、クロスカブ110は全長約20㎞のワインディングロードを元気に走れるのか、ついに走行開始!
 走り始めのうちは、道の勾配もきつくないのでごく普通に走れます。最高出力は5.9kW[8.0PS]7,500rpm、最大トルクは8.8N・m[0.90kgf・m]/5,500rpmと、決してパワフルなエンジンではありませんが、クロスカブ110の車両重量はわずか107kgですから、平坦な道ならスイスイ走るのです。

奥多摩周遊道路

 ところが、ありゃりゃ? 勾配がきつくなってくると、トップギアの4速では失速する一方。これはマズイと3速にシフトダウンして、ようやく時速40キロをキープできるように。
 さらに険しい登りのコーナーでは、立ち上がりでスロットルを開けても「グイッ!」とは駆け上がってくれないケースも。そんな場面は多くはありませんが、こうなるともう、2速までシフトダウンして加速力を得るしかない。

「檜原都民の森」で休憩

 標高1000mの山岳公園「檜原都民の森」までやってきました。
 広々とした二輪専用の駐車スペースがあり、軽食がいただける売店、トイレもありますので、奥多摩周遊道路を走る際には誰もが利用する施設。

奥多摩周遊道路

 この日は平日ということもあり、二輪の駐車スペースには10台ほどのバイクが駐められているだけ。というか、平日なのにこれだけ集まっているんだからスゴイというしかない。週末はここにバイクがびっしりと並ぶのですから、奥多摩周遊道路の人気ぶりは大したものです。
 なんてことを考えていたら、そこに2台の原付2種が新たにやってきました。モンキー125と、グロムです。
 小さいバイクで頑張るライダー、いるじゃないですか。合計12台のバイクのうち、原付2種は自分のクロスカブも含め、計3台。ということは4台のうち1台が原付2種という計算に。

奥多摩周遊道路

 再び走り出し、登りコーナーをいくつも駆け上がり、ついに奥多摩周遊道路の最高地点「風張峠」に到着。最高地点の碑には、「標高一一四六米 東京で一番高い道路」と彫られています。ここは都道最高地点でもあるのです。
 さあ、ここからは下り。パワーのない原付2種でも、下りなら大丈夫!

奥多摩周遊道路

 下りなので、パワー不足は関係なし。むしろスピードが出過ぎないようにと意識して走ります。クロスカブはニーグリップができないので、コーナーではシフトダウンして慎重に。

奥多摩周遊道路

 奥多摩周遊道路はバイクの事故が多く、注意喚起の看板があちこちにあります。「けがをしますと、病院に収容されるまで約2時間かかります」とのこと。
 ケガで済めばまだマシ。死亡事故も多発しているそうなので、とにかく安全運転で楽しみましょうね。

原付2種も楽しい!

奥多摩周遊道路

 原付2種で山岳ワインディングは楽しめるのか。実際に試してみたら、楽しめました。
 登りでは苦労するけど、パワーがないなりに一生懸命に走る感じが心地よく、また原チャリに乗っていた高校時代を思い出したりして、けっこういいものでした。16、17歳のころなんて、50㏄でシャカリキになって走り回ってたんだよなあ。
 でかいバイクも楽しいけれど、原チャリ時代だって充分に楽しかった。そのことを再認識できました。

 また、筆者を追い越していく大排気量車のライダーたちも、追い抜きざまに左手でハンドサインを送ってくれたりして……。バイク好き同士の、無言のコミュニケーションですよね。小排気量車で山岳ワインディングを走るのも、悪くないなと感じました。

奥多摩周遊道路

 最後に、奥多摩周遊道路でもっとも眺めのいい駐車場「月夜見(つきよみ)第一駐車場」へ、ピットイン。
 広々した駐車場の奥では、東京都の貴重な水源・奥多摩湖が眺められます。首都トーキョーもここまで来れば、こんな景色が見られるんですから奥多摩周遊道路は素晴らしい。
 奥多摩湖の湖畔には、青梅街道も見えます。奥多摩湖の湖畔といえば、うまい手打ちラーメンの店があるんですよね。
 このまま終点まで駆け降りていって、青梅街道を右折。ラーメン屋まで行っちゃいましょう。
 ラーメン屋のお話は、次回。ではまた!

奥多摩周遊道路

 

 

 

 

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事