桂川の美しい渓谷にかかる名勝「猿橋(さるはし)」。この橋は世にも稀な構造で作られているため「日本三奇橋」のひとつに数えられています。周囲の自然景観との調和も見事なため、昭和7年には国の名勝に指定されている観光スポット。中央道・大月ICからバイクで約10分とアクセスもしやすく、関東ライダーに人気の「道志みち」や道の駅「こすげ」からも20~30㎞の位置にあるので、合わせて辿ってみるのもいいかも。
日本三奇橋とは
日本に古くからある橋のうち、特徴ある構造として数えられてきたのが山口県岩国市の錦帯橋、富山県黒部市の愛本橋、そして山梨県大月市の猿橋。
この3つが日本三奇橋とされていますが、これには諸説あるようで、愛本橋ではなく「木曽の桟(かけはし)」を三奇橋にあげる説、愛本橋も木曽の桟も現存しないので徳島県三好市の「祖谷のかずら橋」だとする説もあります。
橋が現存しないのであれば、見に行くことができませんよね。ツーリング情報を発信する筆者にとって、それでは困るのです。
ということで今回は、バイクで行ける猿橋、錦帯橋、祖谷のかずら橋を日本三奇橋として話を進めます。
まずはこちら、猿橋から。
ここから見ると、ただの木製の古い橋じゃないのという気もしますが、アングルを変えてみましょうか。
名勝「猿橋」
桂川の美しい渓谷にかかる猿橋。
どうです? 印象が変わりましたでしょうか。やっぱりただの古い橋?
この場所は谷が約31mと深くて橋脚が建てられなかったため、橋脚には頼らず、両岸から張り出した四層のはね木によって橋げたを支えるという構造になっているのです。
斜めから見てみます。四層のはね木で長さ31m、幅3.3mの橋げたを支えています。
猿橋がかけられたのは西暦600年ごろ。百済からやってきた造園博士が、どうやって橋をかけるか思案していたところ、たくさんのサルがつながりあって対岸へ渡っていく姿を見て、着想を得たという伝説が残っているそうです。
実は筆者も、初めて訪ねた時は「ただの古めかしい橋じゃん」と感じてしまったんですよね。あれはハタチのころ。無知な若者でした(笑)。
今はもういい歳のオッサンですから、猿橋のすごさが分かる。西暦600年って、今から1400年以上も昔の、重機もない時代です。地上に建つ神社仏閣ならまだしも、渓谷の真上の空間に人力だけで建造物を作り上げるって、どれだけすごいことなのか。
バイクの駐輪場所は
猿橋からすぐの場所に、普通乗用車なら5台まで駐められる無料の駐車場があります。横には清潔な男女別の公衆トイレもあります(しかも個室内にはシャワートイレ!)。
ここの駐車場が満車になっていたら、近隣の猿橋公園の駐車場を使いましょう。
ここが猿橋公園の駐車場(無料)。駐輪スペースには屋根もある。横には大月市の郷土資料館があります。
猿橋公園の駐輪スペースにバイクを置いたら、公園内を歩いていきます。ここから猿橋までは、徒歩5分ぐらい。
公園を抜けると、あじさい遊歩道に出ます。約3000株のあじさいが植えられているそうです。見ごろは6月下旬~7月中旬とのこと。
あじさい遊歩道からは桂川の流れも眺められ、いい雰囲気。お散歩気分が楽しめますので、猿橋を訪ねるなら、最初から猿橋公園にバイクを置くのもいいかも知れません。
猿橋公園にも男女別の清潔な公衆トイレがあります。
老舗っぷりに心ときめく
さて今回の旅めしは、大月駅近くの老舗のラーメン屋「宝来軒」さん。出かける前にグーグルマップや各種グルメサイトで下調べしておいたのですよ。
店に到着すると、ちょうどご主人がカブで出前に行くところ。「バイク、ここに停めても大丈夫ですか?」と聞くと、「いいよ」とのこと。
ここから先は道が狭まり、クルマが通り抜けられないようになっていますから、店前が車両の行き止まりといった状態。
激シブの店構え。看板に書かれている電話番号、市内局番がヒトケタって、いったいいつから商売をなさっているのでしょう。
店内は4人掛けテーブルがふたつと、小上がりに4人掛け座卓がふたつ。
店内に入るなり「手をアルコールで消毒してください」と声をかけられました。コロナ対策の名残でしょうか。注文は紙にメモ書きして手渡すというスタイル。郷に入りては郷に従え。言われた通り、素直に従います。
こちら「宝来軒」さんは、芋揚げラーメン、肉揚げラーメン、そして芋揚げと肉揚げの両方をのせたミックスラーメンという特製メニューが人気のお店だそうで、筆者は迷わずミックスラーメンを注文しました。
まずはカチ割りの氷が入ったコップと冷水入りポットが渡され、しばらくして箸が一膳だけ届きました。卓上には箸立てがないのです。これもコロナ対策の名残でしょう。
そして来ました! ミックスラーメン(1,000円)。ネットで見た通りの盛りつけにワクワクしてしまいます。
山頂に鎮座するのは、ジャガイモを薄くスライスして片栗粉(おそらく)をふって揚げたもの。
中腹には薄切りの豚肉に片栗粉(たぶん)をふって揚げたもの。
その下には約100g(きっと)の茹でもやし。スープはきりっとした醤油スープで、麺は中細。
芋揚げも肉揚げもカラッと揚げられていて、おせんべいに近い食感(ちょっと盛りました)。けれどもスープに浸すとしんなりと変化し、味わいが増します。
カラッとした状態と、しんなりした状態。両方を堪能しつつ、シャキシャキのもやしとつるつるの麺を交互にいただいて、完食。
ツーリング先で出会う、初めての味わいに感謝です。
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