東京・多摩地区に長年暮らしている筆者。学生だった1980年代後半は、甲州街道(国道20号線)を西へ向かい、かつての走り屋の聖地「大垂水峠」を駆け抜け、相模湖をぶらついて帰ってくるという日帰りツーを楽しんでいました。相模湖にはボート遊びができる公園があり、園内に古いゲームセンターもあったりして、くつろげたんですよね。40年近く経過した現在は? というのが今回のお話です。
ドキドキする相模湖
関東屈指の「走り屋の聖地」だった大垂水峠。革ツナギを身にまとった若者たちがコーナーにヒザを擦りながら駆け回っていた1980年代後半は、毎週末がお祭り騒ぎのようでしたが、そんな大垂水峠を走り過ぎれば、そこは相模湖。
中央道・相模湖ICを降りればすぐ、というアクセスのよさから、湖畔には派手なラブホも点在し、若き日の筆者は相模湖に行くたびにドキドキしたものでした。
ラブホは今も変わらずに妖しい雰囲気を漂わせています。
心なごむ相模湖公園
今も変わらず、というのは、ここ相模湖公園もそう。1951年に開設された神奈川県立の公園で、相模湖を一望する眺めのよさは、今も当時のまま。
相模湖公園には、バイク専用の駐輪場があります。バイク駐輪料金は、1回60円(平日は無料)。安いよね。
バイクを駐めたら、いざ公園内へ。湖に面した「水辺の広場」は、相模湖を眺めるのに最高の場所。
静けさの漂う湖面には、たくさんのボートが浮かび、のどかな印象。
大垂水峠での激しいバトルを眺めた後にここへ来ると、その空気感の違いにめまいを覚えたものです。
昭和レトロなゲーセンが今も
陽光きらめく「水辺の広場」の先は、にぎやかで微笑ましいエリア。
湖に面した左手は、ボート乗り場とゲームセンター。今も昔の雰囲気のままです。
まずは手前の振興ボートさんに入ってみましょうか。手漕ぎボートや足漕ぎボートで遊んだり、遊覧船に乗ったりするのも楽しいでしょう。でも筆者としては無料休憩所を兼ねているゲームコーナーが一番のお気に入り。
アンパンマンの乗り物なんかは最近のものですけど、年代物のゲーム機が今も現役で活躍しているのです。例えばこれ。
もぐらたたきの達成度をふたりで競う「対抗もぐら」。日本初のもぐらたたきは1975年に誕生したそうですが、あれは一世を風靡したゲーム機でしたね。こういうゲーム機で底抜けに楽しめたのですから昭和後期は平和な時代でした。ナニ? 底抜けって。
これは知らないなあ、「カーニバルターゲット」。縦に回転する景品は、白い紙で吊るされており、手前のコルク銃でその紙を打ちぬいて景品を落としてゲットする仕組み。
おーっ! これは駄菓子屋の軒先なんかに置かれていたやつ。10円玉を投入口に入れ、左右のレバーで10円玉をはじいてゴールまで運ぶと景品をゲット。途中のトラップに引っかかって、最後まで行かなかったことがほとんどでした。
しかし現金を直接はじいてゲームにしてしまうというのは、なんというか、背徳感というか、お金を粗末に扱っているようで、うしろめたさを感じたものです。
うしろめたさと言えば、振興ボートさんのとなりにある勝瀬観光さんのゲームコーナーもすごい。
これですよ。手前に10円玉の投入口がありますよね。ここから10円玉を入れると……。
まっすぐに伸びたレールの上を10円玉が転がっていきます。レールの下では、十字型の細いレールが回転していて、その細いレールの先端にはコインの受け口があり、10円玉がうまくその受け口に乗っかれば成功、ということのようです。
成功すると、板の上の10円玉が総取りできる? いやいや、なにか景品がもらえるんでしょうが、それよりも、なんでしょうねえ。射幸心をあおられて現金をゲーム機に突っ込むという行為に、やっぱりうしろめたさが……(笑)。
これも古い。いつのゲーム機だよとツッコミを入れたくなる「ももたろう」(20円)と「カプコン座 名人会」(30円)。10円の差額分は海老一染之助・染太郎さんに肖像権使用料としてお納めされるのか不明ですけど、とにかくもう、こういうゲーム機に胸を熱くさせていた当時を思い出して、いやはや懐かしいのなんの。
ということで、相模湖公園。
今もなお、昭和レトロな空気感がそこかしこに漂っております。ぜひみなさんも足をお運びください。
函館ラーメン「湖龍」
相模湖に行くなら食べてみたいとかねてから思っていたのが、1991年創業の函館ラーメン「湖龍」。
相模湖公園から国道412号線を2㎞ほど南下すれば左手にあります。
バブル期に勢いで開業しちゃった感のある店構え。でもそれから35年も営業を続けているんですから、味は間違いないはず。ラーメン屋さんって、約7割のお店が3年以内に廃業するという話もあるくらいキビシイ業界ですからね。35年はすごいです。
店内には4人掛けのテーブルがふたつと、座卓ふたつの小上がり。小上がりには店主の私物があちこちに置かれていました。
店主の山口さんは函館ご出身。ゆえに函館ラーメンのお店を開業なさったのだそう。
メニューには醤油ラーメンや味噌ラーメンもありますが、函館ラーメンなのだから塩味を注文することに。
選んだのは各種グルメサイトでも評判の、ホタテラーメン(1,300円)。
具はホタテ5個、エビ、カニカマ、ワカメ、ナルト、錦糸卵。麺は自家製麺で、スープがよくからむようにと細麺に。
注文を受けてから仕上げるスープがうまいのです。少し濁っているのは、ホタテから抽出された旨味。
エビも鮮度がよく、噛めばプリッとジューシーな味わい。
昔ながらのノスタルジックな中華そばではなく、いまどきのラーメンでもない、確かに函館の味だと想わせる至極の一杯でした。
いいホタテを使っているのですよ、これが。こんな大ぶりなホタテが5個も入っているので、ホタテのダシが濃厚なのです。
他に人気なのが海鮮系の湖龍ラーメン(1,080円)。こちらは具にホタテ1個、エビ2個など。
いずれも注文を受けてからお出しするのに、1品につき15分ほどかかりますので、お急ぎの方、多人数のお客様にはお勧めできないお店ですのでご注意を。
ご高齢のご主人がワンオペで営業していますので、ソロで行くか、ふたり連れで行くなら同じメニューを注文するとか、そんな感じでどうぞ。
定休日なし、営業時間は11時~22時。
寒い時期にバイクで出かけて食べるラーメン、最高です。ではまた!