2022年4月16日、新東名高速道路の伊勢原大山IC~新秦野IC間が開通した(約13km)。秦野(はだの)や中井といった神奈川県西部へのアクセスが良くなったことで、ツーリングに出かける人も多いと思う。

そこで今回は、このエリアきっての由緒あるツーリングルート「県道70号秦野清川線」を紹介する。うねうね道あり、絶景スポットあり、全国的にも有名なヤビツ峠あり、さらには、北端には宮ヶ瀬湖があって、そこからまた走りつなぐこともできたりと贅沢なルートだ。

県道70号 秦野清川線

【DATA】●延長距離:約70km ●走りやすさ:★★☆☆☆ ●絶景度:★★★★☆
【概要】秦野市街から丹沢山地の尾根沿いを抜け、宮ヶ瀬湖へと下っていく1~1.5車線の舗装路。丹沢を南北に貫く唯一の道路で、登山客やサイクリング客も多く、週末には渋滞が発生することもある。勾配が極端にきつい所はないが、線形はうねうねとしている。かつては丹沢林道と呼ばれたほどで、ヤビツ峠の北側はクルマ1台分の狭い区間も多く、雰囲気はもう舗装林道だ。なお、秦野~ヤビツ峠を表ヤビツ、ヤビツ峠~宮ヶ瀬を裏ヤビツと呼ぶこともある。

このルートの楽しいところは、走りも景色も楽しめることの他に、展望台などの休憩スポットやトイレが点在し、ヤビツ峠には売店やレストハウスもあるので、観光目的でも十分に楽しめる点だ。地元のライダーは125ccクラスのバイクで気軽にツーリングを楽しんでいる。

さて、今回は秦野市側から北上してみた。県道70号が山へとゆっくり上り、蓑毛(みのげ)橋の手前、左に丹沢大山国定公園のモニュメントが見えてくる辺りからが、本格的なワインディングの始まりだ。
まずは、右に左にとうねうね上っていく。途中、右手に林道六本松線の入口がある(取材当時は森林整備で通行止め)。浅間神社を過ぎた辺りからは眼下に市街地が広がっており眺めが良いが、景色を見ながら走る余裕はないかも。
前方に集中していると、右ヘアピンカーブの真ん中に駐車場入り口が見える。ここが有名な菜の花台展望台。秦野市街のみならず相模湾や江ノ島まで見渡せる絶景スポットだ。夜景スポットでもあるので、日が沈んでも誰かしらいるといった感じだ。蓑毛橋からここまで約4km・10分ほど。
展望台を後にすると、ゆるやかな尾根筋に出られる。周囲の杉林が密なので景色はそれほど見えないが、道幅も広くなって一息つける。ここの左手には林道表丹沢線の起点ゲートがある。表丹沢線は蓑毛地区に下っていく林道だが、一般車通行禁止なのが残念だ。
その後は、尾根をトラバースするように道が延びていくが、カーブミラーが見づらいブラインドカーブが多いので走行ラインには注意。ちょっとふくらむと対向車とあわやということになってしまう。ヤビツ峠周辺は、けっこう攻めた走りをしているクルマもいるので気が抜けないのだ。
菜の花展望台から3.3km・8分ほどで、ヤビツ峠駐車場に到着する。駐車場には大きなトイレがあって、道をはさむように売店とレストハウスも設置されている。「国民宿舎丹沢ホームヤビツ峠売店」の前には飲料の自動販売機もあるのでありがたい。取材時には閉店していて残念。どうやら現在は気まぐれ営業という感じらしい。


階段を上った所にある「ヤビツ峠レストハウス 丹沢MON」へ。昨年の春に完成したばかりということで外観も内観もキレイ。
カレーライスやクロモジ茶が名物のようだが、疲れていたのでロールケーキとアイスコーヒーのセット(1,100円)を注文。エアコンの効いた店内で美味しいスイーツを頂けるなんて、とても峠の頂上にいるとは思えない。しばらく休んでいたが、サイクリストや登山客も代わる代わる立ち寄って店内は賑わっていた。ここは本当にオススメだ。
ヤビツ峠から北は、ひたすらに坂道を下っていく。周囲の緑が深くなったなぁと思ったら、沢沿いのルートに変貌していた。木漏れ日と鳥のさえずりが心地よい空間だ。
ヤビツ峠から下ること約11km・20分ほどで本谷川に掛かる塩水橋に到着。ここは川沿いにバイクを停められるスペースがある。橋の下の滝つぼはとても美しいので必見だ。クルマに注意しながら渓谷の水と緑に癒されてほしい。
ここから先は、本当に道幅の狭い区間が多いので、対向車に注意しながら進む。塩水橋から約7km・13分ほどで宮ヶ瀬湖をつらぬく県道64号線にぶつかり、ここで県道70号線は終了となる。ここで右に行けばやまびこ大橋を渡り、相模原や清川方面。左に行けば、宮ヶ瀬湖畔園地や鳥居原園地などがあり、休憩や食事も頂ける。

神奈川県の西部にある爽快な走り処、県道70号線のヤビツ峠越えをぜひ体感してほしい。

【ハイライト動画:約4分】(2022年5月末当時)

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事