今回は横浜の海へ。横浜には20~30代にかけて十数年間も住んでいたけど、いかんせん横浜と言っても緑区(のち青葉区)の山の中。なんちゃらハーバーなんて夢にも思わなかった“横浜の田舎”だった。そんなわけで、横浜の海なんて山下公園くらいしか知らなかったけど、まさか横浜に魚市場があるとは!?
で、とある平日、ホンダ「CB250R」にまたがって横浜の海へ。見てよ、この寒々とした出発風景。出勤サラリーマンの目の冷たいことと言ったら…。平日休みのツーリングって朝だけなんかキツイよね(笑)
有名な第三京浜で横浜へバビュン!
調布市の自宅から多摩川を下って第三京浜へ。京浜っていうくらいだから東京と横浜をつないでいるんだけど、某バイク漫画なんかにも登場する首都圏ではちょっと名の知れた有料道路だ。CB250Rは単気筒ながらパワーもなかなか。クルマの流れに乗っても余裕で巡航できる。ほどなく、頭上で分岐のレーンが交差するヤマタノオロチのような港北JCTをくぐり、保土ヶ谷料金所を目指す。
それにしてもサムイサムイ。料金所のすぐ先にある保土ヶ谷PAに思わず逃げ込んでしまった。ここもバイク乗りには有名な場所。しかしまぁ、加齢で代謝が落ちたからか、近年とにかく寒がりになってしまったのが悲しい。普段はあまり飲まないホット缶コーヒーを流し込んで、一休みしてから走り出した。
神奈川県内の首都高速は東京都心よりも入り組んでいて、いつまでたっても覚えられないが、グーグル先生の講義(案内)を聴きながら「みなとみらい」インターまで迷うことなく到達。無事、横浜市街に入ることができた。ここまで海が全く見えないのがツライけど、寒さと空腹で少々ひもじくなってきたので、市場へ直行することに。
微妙にわかりづらい… 横浜市中央卸売市場
横浜市中央卸売市場は道をはさんで両側に大きな建物が立っていてわかりづらい。ひとつは「水産物部」で海産物を扱い、もうひとつは「青果部」で野菜や果物を扱っている。建物の壁面に大きな文字が書いてあるので、入場する前に落ち着いて確認することをオススメする。なんせ市場は忙しくて、出入りするクルマも人も多いので、事故には気を付けないと。
さて、今回目指すべき市場メシは水産物部の「厚生食堂」さん。正門から入ってすぐ左側にあるスロープの下にある。表通りからは全く見えないが、店舗前に張り出したテントが目印だ。なお、ありがたいことに、バイク置き場はスロープのすぐ横。仲買人っぽい人もけっこうバイクで来てるみたいだ。
厚生食堂のカウンターで海鮮丼をキメる!
さて、店舗の外観はまさしく市場のお店で、期待感も高まる。壁に貼られたメニューに目を通して「店長のおすすめ海鮮丼(990円)」を注文する。店内はカウンターのみのシンプルな造りで、注文と配膳がメインという感じ。店舗前のテントにもテーブル席があるけど、ここは海の男?を気取ってカウンターでワイルドにいただくことに。
「わぁ~お~! エキサイティング!!」
海鮮丼の具材は、インドまぐろ、しめさば(松輪サバ)、さわら、たこ、かつお、アルゼンチン赤エビ、あさりの佃煮(丼の中央)、ミル貝、真鯛、サーモンといった構成。夏場だと地元のアジも入ってくる。なお、松輪(まつわ)サバとは三浦半島の松輪漁港で取れるマサバの高級ブランドだ。丼に盛られた海の幸がまぶしい! エビの頭が入った味噌汁と切干し大根のおひたしも添えられている。刺身をほおばりたい欲求を抑えつつ、まずは冷えた体にアツアツの味噌汁を流し込んで開幕。さて、どの魚から頂こうか… と瞬間悩みつつも、インドまぐろから頂くことに。
うーん、ウマいっ!(心の語彙力)
この見た目のバラエティ感と刺身のウマさに箸が止まらない。個人的には卵焼きやきゅうりといった余計なものが入っていないのも好印象だ。もう少しゆっくり味わうべきなんだろうけど、魚の切り身は時間との戦い、ゆっくりしているとあっという間に鮮度が落ちてしまう(カメライターの職業病)。そんなことも頭の隅にあってか、無我夢中で平らげてしまった。
「やっぱり市場メシはいいもんだなぁ」と余韻に浸りながらシミジミ。
なお、海鮮丼を食べている間にも、仲買人の方や観光客が次々にメニューを注文していく。店主の岡田さんに話を聞くと、やっぱり早朝と昼前後は混むようなので、ゆったり食べたいなら9~10時くらいがベストだろう。
ちなみに、厚生食堂にはジャンプや新聞も売っていて、こんな所からも市場の人の朝の様子が垣間見れた。そして、カウンターの後ろにはクセのすごい置き物もあって、これがまた、やたらと視線を感じるのだった(笑)
「よう来たのう!!」
●横浜魚市場卸協同組合「厚生食堂」
営業時間:3:30〜15:00
定休日:日・祝・休市日
住 所:神奈川県横浜市神奈川区山内町1-1 横浜中央卸売市場本場内
東海道は神奈川宿に想いを馳せる
さて、せっかく横浜の海に来たんだから、近くの観光スポットを冷やかそうと走り出す。実は、卸売市場があるこの場所は江戸時代は東京湾の一部であり東海道の神奈川宿にあたった。横浜は開港当時(1859年)は東海道から離れた村だったけど、お寺やお屋敷などが各国の領事館になったりして、外国人も大勢闊歩し、いきなりイケてる街に変貌を遂げたのだ。
●ヘボン博士施療所跡
宗興寺にあったアメリカ人医師で宣教師のヘボン博士の施療所跡。ヘボン博士はヘボン式ローマ字を用いて日本で最初の和英辞典を作った人でもある。いまは宗興寺境内に博士の功績を記念する石碑が建立されている。
●神奈川宿 高札場(こうさつば)跡
神奈川県の東海道には9つの宿場があり、高札場は各宿場に1か所ずつ置かれていた。幕府や領主からの法度(はっと)や掟書(おきてがき)などが掲示されていたのだ。この高札場は元々は瀧之橋のたもとにあったものを復元されたものだ。
●神奈川台場跡
台場とは砲台が置かれていた場所のことで、開港当時はここは海の上であり、異国の船などに睨みを利かせていた。この台場を設計したのは、幕臣として知られる勝海舟であり、その形から「こうもり台場」とも呼ばれた。現在は大半が埋め立てられているのでよくわからないが、星野町公園の一角などに石垣が残っている。
日産の歴史や技術を“発祥の地”で学ぶ
さて、最後に向かったのは、日産の横浜工場敷地内にある「日産エンジンミュージアム」。創業時に建てられた本社の事務棟をそのまま活かして博物館として運営している。複数企業の合併などを繰り返した日産は1933年にこの地で誕生した。「ダットサンのDATって3人の頭文字だったんだ… しかも脱兎って…」なんてことが学べる、クルマ好きにはかなりオススメの施設だ。
ところで、観覧料金は何と無料! 1階では、最新の技術やクルマの製造工程が紹介されており、「鋳造(ちゅうぞう)や鍛造(たんぞう)って何?」という所から学べるので、ファミリー層にもオススメしたい。
展示の中でも度肝を抜かれたGT-Rのエンジン。スカイラインGT-Rのエンジンはわずか5人の匠(たくみ)によって組み上げられている。どんなに機械化が進んでも、人の手はやっぱりスゴイ! エンジンに自分の名前のプレートがついているなんて想像しただけでワクワクするよね。
2階には、日産の歴史がひと目でわかるパネル展示や歴代レーサーマシンも含めた各種エンジンがずらりと並んでいる。実に、壮観な眺めだ! 日産車のミニカーや貴重な部品・パーツの展示もあって楽しめるぞ。
ガソリンエンジンの仕組みがわかる、こんな展示もあった! これはわかりやすい!
「movガソリンエンジンの仕組み」を挿入
息子へのお土産は限定トミカのスカイラインGT-R NISMOモデル(500円)をセレクト。館内に自動販売機が置いてあってNISMOブランドの公式アクセサリーなどが購入できる。
最後は、横浜の海を眺めてから帰路につく。キビキビとして小回りの効くCB250Rのおかげで入り組んだ町並みでも不安なく散策できた。横浜の海を身近に感じられたし、意外な発見も多くて、我ながら面白い旅だった。皆さんもぜひ訪れてみてほしい。 では、また次回!