大阪モーターサイクルショーで新型カブ110が市販予定車として出品された

3月19日に開幕した大阪モーターサイクルショーに新型スーパーカブ110とクロスカブ110が出品され、国内スタンダードカブシリーズでは初となるディスクブレーキにキャストホイールを採用した姿がお披露目された。正式発表は月末頃になる見込みだが、一足早くその全容を解説したい。

まず、目を引くのが新型クロスカブ110のカラーリング。これは2019年モデルのX-ADVでも採用されたマットグリーンで、同車で2018年モデルから存在していたカムフラージュグリーンとは異なるもの。クロスカブ初のマットカラーはかなり新鮮な印象となる。

カブ110シリーズはスーパーカブ110をベースとする兄弟車で、エンジンやフレームのプラットフォームは共通。2022年型は、オールニューエンジンにフロントディスクブレーキ、さらにキャストホイールを採用している。また、ブレーキキャリパーはそれぞれ独自の装備としている。

これらの変更は令和2年排ガス規制と2021年10月からのブレーキ規制に対応するためで、ブレーキについては前後連動かABSが必須となるが、新型カブ110シリーズは安全性に配慮したABSを選択している。

新型スーパーカブ110[HONDA] 大阪モーターサイクルショーで市販予定車として出品された2022年モデル。シルバー塗装のキャストホイールに1ポットキャリパーのディスクブレーキ&ABSを装備している。

新型クロスカブ110[HONDA] こちらも市販予定車として出品された2022年モデル。ブラックのキャストホイールや2ポットキャリパーを装備したディスクブレーキ&ABSを装備している。出品されたのはカスタム車で市販されるのはダウンマフラーだと思われる。

外観は変えず、キモとなるエンジンと足まわりをアップデートした新型カブ110シリーズ。正式発表は3月末で価格は各2万2000円アップと予想される。

キャストホイールはカブに似合わない!? でもチューブレスタイヤは魅力!

ブレーキ規制に対応するだけなら従来のスポークホイールとチューブタイヤでも問題ないが、新型カブ110シリーズはキャストホールに加え、チューブレスタイヤを装着しているのが確認できた。

まず、新型スーパーカブ110は、スーパーカブC125が履いていたものと同じIRC製のNF63B/Y NR94Lを装着しており、チューブレス仕様となる。一方、新型クロスカブ110は従来型同様にIRCのGP-5を装着するが、こちらはチューブタイヤのみラインナップ。

細かく観察したところ、展示車のタイヤに「TUBELESS」の刻印を確認。また、バルブもチューブレス用になっていたので、間違いなくチューブレスタイヤ化されていると言える。

ちなみにチューブレスホイールは、チューブを利用すればこれまでラインナップされてきたチューブ仕様のカブ用タイヤを装着できることもメリット。タイヤサイズは新型スーパーカブ110がフロント70/90-17、リア80/90-17、新型クロスカブ110は前後80/90-17とし、従来型と同じサイズを踏襲している。

ホイールはスーパーカブC125と同じデザインのY字×5本のスポークデザインを採用。スーパーカブ110はシルバー塗装、クロスカブ110はマットブラック塗装に仕上げている。

新型スーパーカブ110は、IRC製のスーパーカブC125用純正タイヤを装着。価格上昇を抑えるため1ポットキャリパーを選択したと思われる。

新型クロスカブ110はセミブロックタイヤのGP-5 に2ポットキャリパーを装備する。ホイールは「FOR TUBELESS」と刻印されたキャストホイールを採用。

新型クロスカブ110のチューブレス用タイヤとバルブ。タイヤ銘柄はそのままにチューブレス化していることが分かる。

こちらはスーパーカブC125のホイール。同じY字スポークだが、高級感ある切削加工が施される。装備的に新型スーパーカブ110と近くなったが細部で差別化している。

新型クロスカブ110のリアまわり。新型スーパーカブ110とともにドラムブレーキを継続。新型カブ110シリーズのABSはフロントのみの1チャンネル仕様となる。

エンジンは令和2年排ガス規制に対応しつつ、最大トルクや燃費が向上

そして、エンジンは両車共通のオールニューに変更。実は、新型カブ110シリーズはタイで発売されている新型スーパーカブと共通のユニットを採用しており、そこから仕様が推測できる。

タイ仕様は、ボア47.0mm x ストローク63.1mmの109.5ccで圧縮比は10:1。従来型カブ110シリーズは、50.0mm×55.6mmの109ccで圧縮比は9:1なので、新型はかなりロングストローク&高圧縮比仕様に変更された。

詳細は未発表だがニューエンジンには低フリクション技術が盛り込まれており、日本仕様は令和2年排ガス規制に対応しつつ最大トルクは0.87kg-m→0.89kg-mに向上。さらにWMTCモードの燃費を67km/L→67.9km/Lにまで伸ばしているのだ。

機能面ではキックペダルを継続採用し、キックにはラバー付きアームを新たに採用することで踏みやすさにも配慮している。ミッションは従来と同じ4速ロータリー式だが、タイ仕様のギア比は従来型と全く異なることから、国内新型カブ110シリーズも走行フィーリングが変化するだろう。

新型カブ110シリーズの新作エンジン。排気量やクラッチ方式の異なるグロムやモンキー125、スーパーカブC125、新型ダックス125などにも展開されている。

フィンが刻まれたシリンダーヘッドカバーなど従来型とは外観が全く異なる。この車両にはタケガワのヘッドサイドカバーやキタコのエンジンスライダーが装着されている。

こちらは従来型クロスカブ110のエンジン。ギア比は1速:2.615/2速:1.555/3速:1.136/4速:0.916となる。タイ仕様は、1速:3.143/2速:1.833/3速:1.333/4速:1.071と完全に異なる。

実はメーターの変更が一番嬉しい!? ギアポジション表示が付いた!

既存のカブ主が最も羨むのは新しいスピードメーターかもしれない。新型カブ110シリーズはついに液晶画面を採用。燃料計や距離計に加え、ギアポジションが表示されるようになったのだ。

ロータリー式ミッションのカブは、停止中にギアを上げていくとそのまま1周してしまうので、何速に入っているのか分からなくなってしまう。慣れればなんてことはないが、それでもインジケーターで表示してくれると操作が楽になるのは間違いない。

カラーバリエーションは、新型スーパーカブ110が青、緑、ベージュ、白、黄の5色で従来のアーベインブルーメタリックを廃止。新型クロスカブ110は、新色のマットアーマードグリーンとパールディープマットグレーに従来からあるプコブルーを加えた3色。黄、艶あり緑、白の3色は廃止された。また、新型クロスカブ110のくまモンバージョンは継続だ。

価格は、新型スーパーカブ110が30万2500円、新型クロスカブ110が36万3000円、同くまモンは37万4000円と予想され、全車2万2000円アップするだろう。正式発表は3月末になりそうだ。

新型スーパーカブ110のメーター。スピードメーターが120km/hから140km/hへ拡大され、ABSのインジケーターも追加された。

新型クロスカブ110のメーター。こちらもスピードメーターが120km/hから140km/hへ拡大され、ABSのインジケーターも追加された。

新型スーパーカブ110のリアキャリアは従来のメッキ仕上げから黒塗装に変更されている。

新型クロスカブ110カスタマイズ解説

今回、新型スーパーカブ110はカスタマイズ仕様で出品された。従来型クロスカブ110用のSP武川やキタコ製のパーツを組み合わせているが、マフラーはニューエンジンに合わせて認証を取得することになるだろう。

◎スクランブラーマフラーリフトアップ<SP武川> 試作品
◎アルミセンターキャリアキット<SP武川> 1万5180円
◎ナックルガード<SP武川> 試作品
◎エアフローシートカバー<SP武川> 2750円
◎リアショック<キタコ> 1万4300円
◎一七式特殊荷箱<JMS>(中) 2万8600円

新型クロスカブ110に装着されているリアボックスはJMSの一七式特殊荷箱(カーキ)。カブカスタムの定番アイテムだ。

マフラーはスペシャルパーツ武川のスクランブラーマフラーリフトアップ。リアサスはキタコ製で、共に従来型クロスカブ110用としてもラインナップされている。

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事