生産国のインドネシアでKLX230シリーズがモデルチェンジし、スーパーモタードの「SM」が登場。これが’22年10月に日本でも発売された。国内ではDトラッカーXが’16年まで販売されていたので、カワサキのスーパーモタードはおよそ6年ぶり。これは実に楽しみだ!

●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:柴田直行 ●外部リンク:カワサキモータースジャパン

カワサキKLX230SM 概要

【KAWASAKI KLX230SM】■全長2050 全高1120 シート高845(各mm) 車重136kg ■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ 232cc 19ps/7600rpm 1.9kgf・m/6100rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量7.4L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=110/70-17 R=120/70-17 ●色:黒 ●価格:57万2000円

【ライディングポジション】シート高はKLX230Sより15mm高く、乗車1Gでの沈み込みも少なめ。ただ、ライディングポジション自体はほぼシリーズ共通。[身長175cm/体重68kg]

[◯]17インチ化も破綻なし。これぞ街の遊撃手だ!

デュアルパーパスのKLX230をベースに、オンロード用の17インチタイヤを前後に履かせ、高剛性な倒立式フォークと大径なフロントブレーキディスクを組み合わせたのが、このKLX230SMだ。現在はカタログ落ちしているKLX230Sよりもホイールトラベル量は前後とも長く、本気ぶりが伝わってくる。

232ccの空冷シングルはシリーズ共通で、最高出力は19psを発生する。バランサーのおかげで微振動は十分以上に抑えられており、レブリミット付近まで回しても不快感は皆無だ。デュアルパーパスのKLX230や同Sよりもレスポンスがいいと感じるのは、サスペンションが硬めに設定されている影響もあるだろう。開ければ脱兎のごとく加速し、それでいてギクシャクしないのがうれしい。

トップ6速、100km/hでの回転数を計算したところ約6600rpmで、19psとは思えないほど元気よく巡航できるうえ、この回転域でも気ぜわしく感じない。シフトタッチはスムーズで、クラッチレバーの操作力も軽い。あらためてフレキシブルで優秀なエンジンだと感じた。

ハンドリングは正しくスーパーモタードのそれだ。軽い車重から想像するほど倒し込みや切り返しは軽快ではなく、潤沢な接地感を伴いながらスーッと糸を引くようにバンクしていく。加えて舵角の付き方も穏やかで、マシン任せで曲がれるネイキッドとは性格を異にする。本領を発揮するのは、効力の高いフロントブレーキを使ってのタイトなコーナリングで、リーンアウト気味にマシンを倒し込むと、まるでヘッドパイプを中心にリアホイールを振り出すような高い旋回力が引き出せる。

高剛性な倒立フォークとグリップの高いタイヤを採用しながら、フレームは一切破綻を来さない。だからこそ攻めたくなるのだ。諸元上のサスペンションストロークは長めだが、アスリートのようにほどよく引き締まっており、ペースを上げて初めてストロークを使い切れるといった印象だ。

Dトラッカーを手掛けたカワサキだけに一切手抜きなし。交差点の右左折すら楽しめる街の遊撃手だ。

[△]長いツーリングは苦手、ミラーは後方視界悪し

同時開発されたコンペモデルのKLX230Rより座面が広いとはいえ、高速道路を含む60kmの移動でお尻に痛みが出始めた。ミラーに関してはステーが短いため腕の映り込みが大きく、後方視界が狭い。私がオーナーなら交換するだろう。

[こんな人におすすめ]国内モタードは短命モデル多し。早めにゲットを

2019年にホンダのCRF250Mがディスコンになって以降、久しぶりに軽二輪クラスに登場したモタードがこのKLX230SMだ。躍動的なスタイリングと俊敏な走りが見事に合致しており、再びラインナップに加えてくれたカワサキに感謝!

カワサキKLX230SM ディテール写真解説

カワサキKLX230SM スタイリング

【カワサキが手掛けるD-トラッカー以来の久々モタード】KLX230シリーズ初のスーパーモタード(カワサキはスーパーモトと表記)モデルで、倒立式フォークと前後17インチのワイヤースポークホイールを採用。タイヤはIRCのRX-01で、前後ともチューブ入りだ。なお、デュアルパーパスのSTDやSは、国内ラインナップから消えている。

カワサキKLX230SM エンジン/足まわり

【最高出力19psを発生する空冷シングル】シリーズ共通の232cc空冷SOHC2バルブ単気筒。スロットルボディはφ32mmで、バランサーやセルモーターを採用する。

低~中回転域でのパフォーマンスを重視して設計されたエキゾーストシステム。歯切れのいいサウンドも持ち味のつだ。

【倒立フォークを採用&フロントディスクを大径化】ホイールトラベル量はKLX230の220/223mm、Sの168/158mmに対し、SMは204/168mmに設定。フォークはφ37mm正立式から同径の倒立式へ。フロントブレーキディスクはφ265mmからφ300mmのセミフローティングとし、リアディスクはφ220mmのまま。

カワサキKLX230SM 主要装備

生産国のインドネシアではKLX230シリーズ全車が小顔となり、SMもこれを踏襲する。灯火類はヘッドライト(ハイ/ロー/ポジション)のみがLEDを採用している。

ブレース付きのハンドルバーやグリップラバー、シンプルな左右スイッチボックスなどはシリーズ共通で、このSMのみアーバンなイメージのブラックで統一される。また、倒立式フォークを採用するので上下のブラケットは専用品だ。ミラーステーが短いため後方視界が悪い点もKLX230の時代から変わらない。

モノクロ表示の液晶メーターはシリーズ共通だ。速度/積算/距離×2/燃料計/時計というシンプルな内容で、ギアポジションインジケーターはなし。

モトクロッサーKXシリーズに通じるフラットなタンク&シート。タンク容量は7.4Lだ。

左サイドカバーはキーロック式で、バッテリーの下に車載工具あり。リアショックのプリロード調整もここから行う。

可倒式のタンデムステップはボルトオンのため、ステーごと脱着可。

純正アクセサリーのリアキャリアとETC2.0車載器。

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