今ではすっかり車種が増えた「アッパーミドル」。どんなバイクを指すのか? どんなメリットがあるのか? 近頃登場した注目モデルは? 改めて解説しましょう。

1990~2000年代のミドルクラスブームと、アンチリッターSSを背景に誕生

2010年代前後から聞くようになった「アッパーミドル」というクラス。明確な定義はありませんが、スーパースポーツやアドベンチャーといったジャンルを問わず、概ね650~800cc台のバイクを指します。900cc台を含めるケースもありますが、筆者としてはリッター(1000cc)クラスに近い感覚なので、ここでは800cc台までをアッパーミドルとします。

そもそもなぜ、こういうネーミングなのでしょうか? 元々は400~600cc程度の「ミドルクラス」があり、ミドルよりチョイ大きめの排気量であることから「アッパーミドル」という言葉が生まれました。

600ccのミドルスーパースポーツが1990年代中盤から欧州でヒット。2000年代前後からはホンダのホーネット600,ヤマハのFZ6、スズキのSV650といった日本ではマイナーだったネイキッドが大きくセールスを伸ばしました。

徐々に600cc+αの排気量帯が増え、2010年代前半には一大勢力に。やや遅れて、このトレンドが日本にも波及した形です。

アッパーミドルの登場には「高性能化&高価格化したリッタースーパースポーツ」を敬遠する人が増えたことも背景にあり、メリットとも密接にかかわっています。

↑1999年にデビューしたスズキのSV650。欧州では販売台数トップを記録。2004年に派生機種のV-ストローム650が展開されるなど、アッパーミドルの先駆けとなったモデルの一つです。

アッパーミドルのメリットは3つ、ライダーにも懐にもマル!

では、アッパーミドルのメリットを挙げていきましょう。

・メリット① 必要十分なパワー

前述したとおり、2000年代にリッタースーパースポーツは飛躍的な進化を遂げ、やがて200ps超にまで到達しました。その反面、扱えるライダーやシチュエーションが限られるようになってしまいました。

また、同じく流行していたジャスト600ccのスーパースポーツは高回転域を重視し、やや低速トルクが細い一面がありました。

そんな中、ライダーが注目したのが600ccプラスαのアッパーミドル。リッタークラスのようにパワーを持て余すことがなく、400~600ccクラスよりパワーに余裕があります。アッパーミドルは650cc前後でも70ps程度のパワーがあり、800cc台では120ps程度をマークします。

街中はもちろん、高速道路のクルージングもこなし、峠でも十分なパワーです。ちなみにホンダのCBR400Rは最高出力45ps、新型CB400SFは58psですが、ミドルクラスのパワーに物足りない人もアッパーミドルなら満たされるハズです。

・メリット② 適度な軽さと車格

リッターバイクに比べ、車体がコンパクトで軽いのはアッパーミドルの大きなメリット。中には400cc並みに軽いモデルもあります。例えばヤマハのMT-07は車重183kgで、新型CB400SFの187kgより軽いのです。

そのため大型クラスながら、押し歩きや狭い路地での小回りなどがラクです。またアッパーミドルは、ネイキッドやアドベンチャーといったライディングポジションが安楽なタイプが人気。使い方が限定されるスーパースポーツに対し、ステージを問わず幅広く活躍できるのが支持されている理由です。

アッパーミドルはよくジャストサイズと称されますが、パワーも車格もまさにその通りなのです。

・メリット③ 現実的な価格帯

大型クラスの花形だったリッタースーパースポーツは高価格化が進み、2010年代には200万円超が当たり前になってしまいました。なかなか手が出る価格帯ではありません。

その一方、アッパーミドルは国産新車の場合、100万~110万円台がボリュームゾーン。ホンダNC750Xなど90万円台のモデルもあります。

輸入車はお高めですが、それでも130万円前後から購入可能。中には100万円台のモデルがあり、トライアンフのトライデント660(104万9000円)、ロイヤルエンフィールドのショットガン650(102万6000円~)などが挙げられます。

注目の最新アッパーミドルをまとめて紹介!

2025~2026年に登場、もしくはもうすぐデビューが期待される国産アッパーミドルを厳選して紹介しましょう。

【GSX-8T/TT】 モダンな外観と走りで人気

↑GSX-8T(スズキ)。スズキの新設計775cc並列ツインシリーズの第4弾として、2026年1月にデビュー。モダンな外観と最新の機能を両立しています。●価格:129万8000円


1960~70年代の名車「T500(通称Titan)」をモチーフにした新作ネオレトロネイキッド。775cc水冷並列2気筒のGSX-8Sをベースに、専用タンクやバーエンドミラーを与え、スタイリッシュな外観が魅力です。80psのパワーで走りは力強く、ライポジもラク。まさに万能で、ストリートからツーリングまで幅広く楽しめる1台です。

↑ビキニカウルを装着した兄弟車のGSX-8TTも人気。往年のGS1000Sを意識した角型カウルによるスタイルと防風性が魅力です。●価格:138万6000円

【SV7-GX】 国内登場に期待の快速クロスオーバー

↑SV7-GX(スズキ)。生産終了した名機「SV650」の645cc水冷V型2気筒エンジンを継承した新型クロスオーバー。国内発売はアナウンスされていませんが、登場に期待!


今や珍しい国産Vツインエンジンを搭載したオンロード系ツアラー。電子制御スロットルやトラコン、クイックシフターなどの電脳サポートのほか、ハーフカウルとリヤキャリアなどツーリングに役立つ装備も充実しています。2026年後半から海外で発売予定で、国内導入も望まれます。

【CB750ホーネット E-クラッチ】 パワーと軽さ、イージーさが魅力

↑CB750ホーネット E-クラッチ(ホンダ)。エッジの効いたデザインと、196kgというクラス随一の軽さが魅力。さらにクラッチレバー操作が要らないE-クラッチを搭載しました。●価格:114万9500円


かつての名車「ホーネット」のネーミングを冠したファイター系ネイキッド。754cc並列2気筒は91psのハイパワーを発生。196kgの軽量な車体と相まって、爽快な走りが楽しめます。

2026年4月、クラッチレバーを使っても使わなくても走行できるE-クラッチ仕様を追加。電子制御スロットル採用モデル初のE-クラッチ仕様で、きめ細かい制御によるスポーティかつ安定感のある走行が楽しめます。

【YZF-R7】 扱いやすいSSが電脳を強化

↑YZF-R7(ヤマハ)。スーパースポーツのスタイルながら、扱いやすさバツグン。2026年のモデルチェンジでフレームを改良し、電子制御を充実。よりフレンドリーな走りを獲得しました。●価格:116万6000円~


689cc並列2気筒のMT-07をベースとするフルカウルスポーツ。必要十分な最高出力73psに加え、車重189kgの軽さとスリムさが自慢です。

2026年モデルで電子制御をフル装備。電子制御スロットルでレスポンスを向上したほか、YZF-R1譲りの6軸IMU、選択可能なライディングモードや、クルーズコントロールも搭載しました。スーパースポーツながら、ツーリングも楽しめる1台です。

【トレーサー9GT+ Y-AMT】 ヤマハの旗艦ツアラーはアッパーミドル

↑トレーサー9GT+ Y-AMT(ヤマハ)は2025年4月登場。前後レーダーや追従型クルーズコントロール、周囲の状況に応じて自動調整するヘッドライトなどハイテクが満載です。●価格:198万円


FJR1300やXT1200Zスーパーテネレが生産終了した今、ヤマハのフラッグシップツアラーに君臨する本作。MT-09譲りの888cc水冷3気筒はアッパーミドル最強クラスの120psを発生するなど、パワフルさが魅力です。

さらにツーリングに役立つ先進機能が満載。周囲の状況を検知し、明るさと照射範囲を自動調整する二輪初のマトリックスLEDヘッドランプ、ヤマハ車初の追従型クルーズコントロール、後方への注意喚起システムなどのハイテクをこれでもかと搭載しています。

さらに手元のスイッチで変速できるY-AMTも装備。とにかくラクチンに長旅が楽しめます。

↑3気筒エンジンやアルミフレームなどの基本構成を踏襲するXSR900GPは、1980年代のWGPマシンをオマージュした外観が特徴。2026年モデルでは、ケニー・ロバーツで有名になったUSインターカラーを彷彿とさせるイエローが新投入されました。●価格:146万3000円

【Z650S】 軽快な走りにSugomiを増したデザインを融合

↑Z650S(カワサキ)は、従来型のZ650に対し、デザインやライポジ変更によりスポーティさをアップ。●価格:107万8000円


649cc並列2気筒を搭載するスーパーネイキッド、Z650の上級バージョンとして2026年7月に発売。シリーズ伝統の「凄み(Sugomi)」デザインをより進化させ、トリプルLEDヘッドライトやワイドなハンドルバー、ボリュームのあるラジエターシュラウドを採用しています。

余裕の最高出力68psと190kgの軽量な車体で、ステージを問わず気軽に走れます。トラクションコントロールやクイックシフターなどの電脳サポート、新設計の4.3インチTFTカラー液晶メーターといったアイテムを備えつつ、100万円台という価格もうれしいです。

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