SV650シリーズ、Vストローム650などに搭載され、長年愛されてきた645cc90°Vツインエンジン。その名機が、ブランニューモデル・SV-7GXに搭載されて復活!! クロスオーバーモデルのSV-7GXとはいったいどんなモデルなのか? 今回は発表会の模様や開発陣へのインタビューの様子をレポート!!

スズキ二輪は、2026年10月20日、山梨県富士吉田市にて「SV-7GXプレス試乗会」を開催。
クロスオーバーモデル・SV-7GXは113万3000円/117万7000円

SV-7GXは、4色展開。右からブリリアントホワイト、グラススパークルブラック、ブリリアントホワイト/トリトンブルーメタリック、パールマットグレージュ。写真左端は、アクセサリーパーツを装着したブリリアントホワイト/トリトンブルーメタリック。価格は、ブリリアントホワイトが113万3000円で、それ以外が117万7000円。
スズキの新型SV-7GXは、“GX”の名前を冠していることからもわかるとおり、クロスオーバーモデル・GSX-S1000GXの弟分にあたるモデルだ。クロスオーバーモデルとは、ネイキッドとアドベンチャーバイクの中間的なキャラクターで、前後17インチホイールにアドベンチャー由来の長旅向きのポジションをドッキング。足まわりもアドベンチャーモデルに近い快適性重視のセッティングが施され、クルマでいうところの“SUV”的なキャラクターにまとめ上げられている。

前後17インチホイールのロードスポーツ向きの車体(SV650)がベース。そこにアップライトなポジションやソフトな足まわり、荷物の積載性といった長旅に向くキャラクターを組み合わせてクロスオーバーとしている。他メーカーのライバル機種は、カワサキのヴェルシス650、ヤマハのトレーサー9 GTやホンダのNC750X、NT1100あたりだが、層の薄い650ccクラスに、スズキがSV-7GXを送り込んだ。
また、このSV-7GXに搭載されている、645cc90°Vツインエンジンは25年以上の歴史を持つだけでなく、そのフィーリングやスポーツ性の高さから多くのファンに支持されている。ただその一方で、時流のパラレルツインに押され、国内外のラインナップから、どんどん姿を消しつつあるのが90°Vツイン。スズキの645cc90°Vツインエンジンの復活を心待ちにしていたライダーも多いのではないだろうか?
名エンジンを電スロ化して復活! 今後はSV650やVストローム650も!? 【開発陣インタビュー】
谷田貝:まずは名機である90°Vツインエンジンの復活おめでとうございます!
開発陣一同:ありがとうございます!
谷田貝:やはり、スズキさんの社内にも「このエンジンを復活させたい」という強い思いがあって、今回の復活につながったのでしょうか?
エンジン設計担当・小出 翔さん:一度は生産終了となって途絶えてはしまっていますが、実はディスコンする前から開発自体は始まっていたんですよ。
谷田貝:というと、以前からこの90°Vツインエンジンを電子制御スロットル化して存続させるつもりはもともとあったと?
チーフエンジニア・加藤幸生さん:Vストローム800シリーズやGSX-8TTなどの8シリーズの新作エンジン(775ccパラレルツイン)が出てきたりしたんですが、やっぱりVツインエンジンの要望は感じていました。ミドルクラスの645cc90°Vツインエンジンを残したいという声は、社内外含めて大きかったんですよ。
谷田貝:私もこのエンジンのファンのひとりです。ただ、このエンジンが登場したのは1999年で、今から25年以上前です。登場当時は当然キャブレター吸気で、途中でインジェクション化したりしながらブラッシュアップを重ねてきたわけですが、今回の改変にあたり、大きな苦労などはあったのでしょうか?
エンジン適合実験・伊藤 篤さん:今回の復活にあたっては、まず電子制御スロットルを新採用したというところが大きなアップデートです。従来のワイヤー式から電子制御にスロットルを置き換えただけなのに、それがどう変わるのか? と思うかもしれませんが、思いもよらない挙動が出たため、ECMによるエンジンマネジメントはほぼやり直すことになりました。

右:エンジン適合実験・伊藤 篤さん。左:電子制御スロットル化されたことで、ライディングモードの切り替え(3段階)が可能に。特に「Aモード(アクティブ)」は、その名のとおりアクティブな出力特性となるようキャラクターを作り込んだ。その一方で、「Cモード(コンフォート)」は、ピークパワーを17%下げることでより扱いやすいキャラクターとしている。
エンジン設計担当・小出 翔さん:今回、新採用となったクイックシフターも電子制御スロットルの採用で装備可能となった機能です。ただ、クイックシフターによる操作は、“人間が丁寧にクラッチを切って”チェンジペダルを操作するのとは違い、ギヤボックスに大きな負担がかかるんです。なので、今回はクイックシフターに対応できるよう、ハード側の耐久性や信頼性を高める目的でギヤボックスを作り替えることにしました。

左:エンジン設計担当・小出 翔さん。右:クイックシフター導入のためにギヤドッグの噛み合い部分の形状を丸型から四角に変更することで耐久性をアップ。クイックシフターの“入りの良さ”と“耐久性”はトレードオフであるところが開発するうえでの悩みどころだったとか。
チーフエンジニア・加藤幸生さん:先代の645cc90°Vツインエンジンには、とてもスムーズでよく回るエンジンだった記憶があるんですけど、新旧のモデルを乗り比べてみると雑味を感じるんですね。SV-7GXの開発では、そんな雑味をうまくいなせたことで、この645cc90°Vツインエンジンが持つ本来の良さが強調されて、乗り手に伝わってくる感じに仕上がりました。
車体は先代SV650の素性の良さをそのままに“GX”化
谷田貝:今回のSV-7GXは、クロスオーバーモデルの“GX”キャラクターということで、先代のSV650から車体はどんな変更を受けているのでしょう?
チーフエンジニア・加藤幸生さん:まず、スリムな645cc90°Vツインエンジンとトラスフレームの組み合わせからくる“しなやかさ”を失ってはならない……というところから開発をスタートしました。この“しなやかさ”は乗りやすさにつながってきますからね。
車体設計担当・甲斐 智樹さん:開発では、まず「走る」「曲がる」「止まる」という基本的な部分を納得できるところまで作り込み、その後に“GX”らしさを追求しました。“GX”らしく乗り心地をよくするためにサスペンションを柔らかめにして、コンフォートな乗り味に。そんな乗り心地の良さのためにシートにも相当こだわってまして、ボトム(底板)から作り直しています。
車体設計担当・甲斐 智樹さん:なるべくシートクッションの厚みを確保できるようなボトムを作って、必要な剛性を確保した感じです。結果としてライダー側で+10mm、パッセンジャー側で+20mmクッションの厚みを増やすことができました。それにシートの真下にあるフレームカバーも今回作り直してまして、より足着き性がよくなるような形状に変更しています。
谷田貝:基本的なベース車体を作って、その後に“GX”らしい乗り心地を付加したということですが、フレームに関してはベースのSVからどのような変更が行われているのでしょうか?
車体設計担当・甲斐 智樹さん:後端のシートレール部分には手を入れていますが、メインフレームの乗り味に関わるような仕様に関しては手を入れず、先代のSV650からそのまま使っています。SV-7GXの開発にあたっては、SV650のバランスのよさを保ちながら、クロスオーバーモデルへと昇華することに注力しました。
谷田貝:サスペンションなどの足まわりもそのままですか?
車体設計担当・甲斐 智樹さん:バネレートを変更するといったセッティングのレベルに留めており、フロントフォークは正立フォークのままでインナーチューブ径も変えていません。
谷田貝:すばらしいですね! 先代がとてもいいバランスだったのに、モデルチェンジで「スポーツ性のアップ」とか「市場からの要望」なんて理由でいたずらに倒立フォーク化してしまう……なんてことが最近モデルではよく起こる。倒立フォークの導入で確かにスポーツ性はアップしたけど、車体の“しなやかさ”を失ってフレンドリーな乗りやすさがスポイルされてしまうなんてことはよくありますからね。先代のSV650が持っていた“しなやかさ”の部分に変に手を入れず、そのままのキャラクターでリニューアルしてくれたことがとても嬉しいです。

左:テストライダー・赤堀 康裕さん。右:“GX”らしい快適性を追求。ウインドプロテクションに関しては赤堀さんの一言でナックルカバーの純正装着が決定したのだとか。またエンジン特性に関しては、スロットルを開けた瞬間からライダーの操作に素直に応えてくれるエンジンレスポンスを追求。特にアイドリングから4000回転付近までの扱いやすさにこだわった。
テストライダー・赤堀 康裕さん:とはいっても車体はしっかり作り込んでます。サスペンションを柔らかくしたり、二人乗りしやすさや荷物の積載性は向上させていますが、きちっと竜洋のテストコースを走り込んでますから御安心ください。快適性にこだわったSV-7GXですが、竜洋にある2kmぐらいのストレートで全開走行したり、二人乗りで180km/hくらい出しても破綻しないように作っています。
谷田貝:こうなってくると、SV-7GXの“次”のモデルが気になってきました。先代の645cc90°Vツインエンジンには、ネイキッドのSV650、Vストローム650という同系エンジンを搭載したモデルがありました。また先程、「基本的なベース車体を作って、その後に“GX”らしい乗り心地を付加した」なんてお話もありましたが、SV-7GXの兄弟車はいつ出てくるのでしょうか? 2年前のVストロームミーティングでは、二輪事業本部長がVストロームシリーズの新型登場を匂わせるような発言をしていましたが……?
チーフエンジニア・加藤幸生さん:詳しくお答えできません。……まぁ、少なくともこのSV-7GXだけでは終わらないですよ(笑)。
谷田貝:もう間違いなく、SV650もVストローム650も復活しそうですね。EICMA 2026もすぐですし、発表を楽しみにしています!
SUZUKI SV-7GXの主要諸元
全長2160 全幅910 全高1295 軸距1445 シート高795(各mm) 車重211kg(装備) ■水冷4ストローク90°V型2気筒DOHC4バルブ 645cc 73PS/8500rpm 6.5kgf・m/6800rpm 変速機形式6段リターン 燃料タンク容量17L(レギュラーガソリン指定)) ■ブレーキ F=ダブルディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=160/60ZR17 ●価格:113万3000円/117万7000円
さて、いよいよそのキャラクターが気になってきたスズキのSV-7GX。試乗インプレッションは次回お届けします!!
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