カッコイイと気になるパイセン

 ここ「ForR」でも執筆陣として、ご一緒させていただいております河西啓介さん。雑誌『MOTO NAVI(モトナビ)』創刊編集長で、現在はエディター/プロデューサー/アーティストとして多方面でご活躍中。ボクがMOTO NAVIで毎号記事を書かせていただいているのも、河西さんが編集長時代にお声をかけてくださったからです。

 後輩から見ると、まず見た目がスラッとしてハンサム。ロックバンドのヴォーカリストとして音楽アーティストの顔も持ち、カッコイイですよね……。


 そんなふうに、ずっと内心で思っているのですが、わざわざ男どうし「センパイ、カッコイイっす!」と伝えたところで気持ちが悪いし、誤解されてはいけません。ただなんとなく、河西さんもいつも気にかけてくださったりして、ボクにとっては背中を追いかける先輩の一人だったりします。

クラウドファンディング初参加

 そんな河西さんが「片岡義男小説の魅力を伝える雑誌をつくりたい!」と、クラウドファンディングを始めたのが春頃。Facebookでそれを知ると、ボクもコッソリ応援することに。クラウドファンディング参加、初体験でした。このプロジェクト、成功すると良いなぁって陰ながら応援していました。

 河西さんはこれまでも片岡義男さんの特集を『MOTO NAVI』で企画するなどし、ボクも熱烈ファンのひとりとして、誌面座談会に参加させてもらうなどしてきました。

   
 ここでも以前書きましたが、ボクがオートバイを好きになるキッカケとなったのが『彼のオートバイ、彼女の島』など、片岡義男さんのオートバイ小説たち。『スローなブギにしてくれ』『ボビーに首ったけ』『人生は野菜スープ』『愛してるなんて とても言えない』『幸せは白いTシャツ』『俺のハートがNOと言う』『長距離ライダーの憂鬱』『湾岸道路』などなど、中学生の頃にそれはもう読み漁りましたよ。

 物語によく登場するオートバイが、カワサキのバーチカルツイン。『W1』や『W3』に憧れ、ボクは21歳のときから四半世紀以上『W1SA』(1971年式)に乗り続けています。

青木タカオのカワサキW1SA(1971年式)

▲筆者(青木タカオ)が25年以上乗り続けるカワサキW1SA(1971年式)。じつは2台目で、15年くらい前にフルレストアしたものに買い替えました。


 河西さんとは、片岡義男さんや「あいつとララバイ」(週刊少年マガジン/講談社1981〜1989年)のハナシをするといつも大盛り上がり。今までも、いろいろなことを教えていただきました。片岡義男さんの特集をした『MOTO NAVI』はファンからも好評で、その誌面にボクが載っていることはとても光栄に思っています。

ボクもまた関われると歓喜!

 すると、数カ月後。「片岡義男さんの雑誌をつくるのだけど、手伝って欲しい」とご本人から連絡が。

えぇ、知っていますとも!

 嬉しいではありませんか。ただし、ちょうど編集長として携わっている『WITHHARLEY』(内外出版社)や各メディアの締切に追われて大忙しだった時期。たいへん失礼なハナシでありますが、「今は少ししか関われないかもしれません」と、伝えたのでした。

 にもかかわらず、今度はまた「片岡義男ファンとして、座談会に参加して欲しい」とご依頼が!! もちろんひとつ返事でOK。大好きな片岡義男について、好き放題話せる機会ですから、断る理由などどこにもありません。

片岡義男を旅する一冊。座談会に参加したメンバーたち。

「片岡義男を旅する一冊。」ファン座談会に参加したメンバー。左からアピオ社長の河野 仁さん、ボク=青木タカオ、編集長の河西啓介さん、そしてフリージャーナリストの嶋田智之さん。この写真もボクにとってはお宝になりました。

 

 メンバーは河西さんとボク、そしてMOTO NAVIでの座談会のときもご一緒した河野 仁さん、進行役のMC/ライターとして嶋田智之さんと豪華です。

豪華メンバーと夢の時間

 河野さんはジムニーのパーツメーカー『アピオ株式会社』の代表取締役として知られ、あらゆるメディアへ頻繁にご登場される業界の有名人。工業デザイナーのご出身で、バイクやクルマだけでなく、あらゆることに精通する文化人でして、なんでも詳しく知っている人です。

 趣味人としていろいろなメディアでインタビューされ、雑誌に連載企画をもつクリエイターでもあります。ファンも多い。丹精をこめ丁寧な筆致で描く絵日記をつけていて、それを見せていただいたときは「芸術家でもあるのか!」と驚きました。

 嶋田智之さんもまた著名で、『CAR MAGAZINE』『Tipo』『ROSSO』などで編集者として携わり、ティーポでは約10年編集長を、ROSSO時代は姉妹誌も含めた総編集長を務めた大大大先輩。日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考員であり、イベントでトークショーをするなど大活躍されています。

 執筆された記事を読むと、勉強になることばかり。お会いすると、いつも気さくにお話してくださり嬉しく思っていますが、今回の座談会でもさすがの“回し術”で、インタビュアーとして“振る”のと“聞く”のが、さすがプロ! 目の当たりにして、自分も取材時のインタビューをもっと頑張ろうと刺激を受けたのでありました。

星条旗と青春と 対談:ぼくらの個人史 小林信彦 片岡義男

▲嶋田さんもまた片岡義男小説について造詣が深く、ボクが写真の本について「読んだことはあるはずだけど、所有していなくて内容が思い出せません」と言うと、「よかったら貸してあげるから、持っていきなよ」とサラッと言ってくれます。そんな優しい先輩です。「星条旗と青春と 対談:ぼくらの個人史 小林信彦 片岡義男」

当時の空気感を知り大興奮!

 ボクはみなさんより年齢で言うと、1つ世代が下。片岡義男さんがラジオのパーソナリティをしていた『きまぐれ飛行船〜野性時代〜』(1974年4月〜1988年3月、FM東京)は中学生の頃に終わってしまったし、写真にあるオートバイ小説が新刊として発売されたのもリアルタイムで体験していません。

 映画『彼のオートバイ、彼女の島』や『湾岸道路』も映画館で見たのではなくビデオやテレビ。“片岡義男ブーム”なるものを知らない世代なのに、熱烈ファンであるボクの視点が河西さんらには新鮮なようで、こうして座談会などの企画があると、お声がけくださるのです。

 しかしボクからすると、当時の空気感がこれまたものすごく興味津々。「小説に出てくるような言い回しをマネするのは男子だけでなく、女子もワンサカいた」とか、片岡小説を読む女子がクラスメイトにはいなかった世代のボクからすると、衝撃に近いハナシがたくさん聞けて、あっという間に時間が過ぎていきます。

ファン垂涎のお宝拝見

 会場はアピオ株式会社の社長室で、河野さんのお宝が次々に登場。実物を見たことがなかった片岡義男さん執筆の雑誌であったり、70〜80年代のバイクカタログを河野さんが惜しげもなく見せてくれ、ボクはもう夢中です。

 みなさんより少し子どものボクは、その甘えからいつも好き放題に喋って、延長戦に持ち込もうとしますが、まとめ役の嶋田さんらが「まぁまぁ、落ち着け」と、興奮するボクの手綱を引いてくれます。「アオキくん、物足りないよね。今度またね」と、河野さんが耳元で囁いてくれ、ようやく我に返るのでした。

 そんな大興奮で喋りまくった片岡義男ファン・暴走トーク座談会の模様は、河西さんがクラウドファンディングを使って刊行した『片岡義男を旅する一冊。』に掲載されております。三好礼子さんを写真を大きく使った表紙もファン垂涎モノ。


 ボクはクラウドファンディング参加者として送られてきた1冊と、座談会参加のお礼としていただいた1冊、合わせて2冊を大切に所蔵しています。ボクの大事なお宝です。

片岡義男を旅する一冊。
●A4変形 138ページ オールカラー
●編集人 河西啓介
●価格 2200円(税込)
●出版:SHIRO
https://www.fujisan.co.jp/product/1281702724/new/

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