中古価格は2倍に爆上がり!? お店からバイクが足りないと悲鳴

今、バイクの中古車価格が高騰していることをご存じだろうか? Webikeが運営する新車中古車サイト「バイク選び」の担当者は「今、中古車は爆上がりしている状況で、2倍くらいになっているというお店の声も聞きます」と語る。お店によっては販売するバイクが足りない“タマ不足”に陥っており、需要に対して供給が追いついていない状況なのだ。

時期としては、2020年5月に1回目の緊急事態宣言が解除されてから現在のような状況になっており、それから1年を経た2021年春になっても中古車相場が落ち着く気配はないという。ここでは、実際に価格はどの程度高騰しているのか? またその背景には何があるのかも探ってみたい。

王道バイクCB400SFの相場から1割の価格上昇を確認

中古車の業販は主にオークションで行われているが、主催するオークネット・モーターサイクルでは年間の成約台数は2019ー2020年比で93%に減少している。一方で成約率は上がっており、車体に何かしらのダメージがある評価3点車でも成約されるケースが増えているという。タマ不足は明確だ。

成約価格は全体で1.6%の上昇。傾向としては趣味領域のモデルの方が高騰しているということから、代表的なモデルであるCB400SFの取引データを分析してみると、よりリアルな市場状況が浮き彫りになってきたのだ。

車種 程度 19-20年成約価格比較 19-20年成約価格車種比較 19-20年成約価格全体比較
CB400SF VTEC 4点車 117% 110% 110%
3点車 104%
CB400SF VTECII 4点車 113% 113%
3点車 114%
CB400SF VTECIII 4点車 103% 101%
3点車 99%
CB400SF VTEC REVO 4点車 107% 116%
3点車 126%

ここでは、CB400SFでもサンプル数の豊富な1999年型以降の4車種で2019年と2020年の数字を比較してみたい。まず、成約平均価格は1999年型以降全体で1割上昇している。下落したのはVTECIIIの3点車だけで、他はすべて103~126%と相場が上がっているのだ。この金額はあくまでも業者オークションの落札価格となるが、バイク店の仕入れ価格が上がれば小売価格に影響するので、中古車価格が上昇していることの証拠と言えるものだ。

車種 程度 19-20年成約台数比較 19-20年成約台数車種比較 19-20年成約台数全体比較
CB400SF VTEC 4点車 50% 96% 93%
3点車 117%
CB400SF VTECII 4点車 84% 80%
3点車 78%
CB400SF VTECIII 4点車 94% 95%
3点車 97%
CB400SF VTEC REVO 4点車 91% 113%
3点車 220%

そして、こちらは同じ年、同じモデルのオークション成約台数の比較となる。全体では93%に減少。VTECとREVOの3点車以外は全て対前年比50~97%と成約台数を減らすことになった。これは供給が減ると値上がりするという経済の原則の表れ。バイクショップがタマ不足になる中で、オークションに出品されずに流通するケースも増えているという。

CB400スーパーフォア ハイパーVTEC(1999年2月発売)

 

CB400スーパーフォア ハイパーVTECスペックII(2002年1月発売)

CB400スーパーフォア ハイパーVTECスペックIII(2003年12月発売)

CB400スーパーフォア ハイパーVTEC REVO(2007年12月発売)

中古車価格の上昇は、新車不足が原因か

CB400SFのような累計販売台数の多いモデルでもタマ不足および価格上昇が起こってしまっている理由は、新車の供給が不安定になっていることが原因と言われている。例えばホンダの例では、同じ普通二輪免許のCBR400RやCBR250RRは8月以降の生産、400Xは9月以降の生産という情報で、すぐに乗りたくても買える新車が少ない。

他にも12月に発売されたCRF250Lがこの4月までほぼ入荷しなかったことやレブル250や500が半年待ちと言われている状況、CB650R、CBR650Rの入荷が調整中になっていたりと、特に海外から輸入されるモデルや海外から部品を調達してノックダウン生産されるモデルはすぐに買うのが難しい状況なのだ。

バイクの輸出は木箱に梱包されたバイクをコンテナに詰め込んで行われる。

根本的な原因は、世界的なコンテナとコンテナ船不足にある。2020年の後半以降、新型コロナウイルスの感染を抑え込んだ中国から欧州やアメリカへの輸出が再開されるも受け入れる欧米側ではコロナ禍が続いているため足止めとなり、世界のコンテナ輸送が混乱している状況なのだ。これがホンダの新車へも影響し、タイやインドネシアからの車両および部品の輸出を滞らせ、生産を遅らせている理由と思われる。

新車のタマ不足はホンダだけでの話ではなく、あるカワサキディーラーの経営者は「今は7割くらいに供給が減っている」と現状を語る。実際、カワサキの大人気モデルであるZ900RSは中古市場で高値安定しているだけでなく、現行モデルには設定されていない“火の玉カラー”は新車の希望小売価格よりも高額になっている例もあり、新車と中古車価格の逆転現状も起こっているのだ。

今、バイクブームが来ている!? 底堅い需要も影響

タマ不足以外にも理由がある。バイクは今、レジャーとしても注目が集まっており、今回取材に協力してもらったオークネットの「モトオークレンタルバイク」では2019ー2020年比較で125%と貸し出し数が上昇しているのだ。2020年は、3月以降の緊急事態宣言下の落ち込みをカバーしてのプラス着地となっており、さらに2021年は1-2月で135%を記録していることからさらなる伸びを見せるのは間違いない。特にオークネットでは女性の利用が目立つようになってきており、ブームとしての側面も見過ごすことはできない。

また、資産としてバイクの価値が高まっている動きもあり、最近になって見られるようになったのはエストレヤの価格高騰だ。特に2017年に発売されたファイナルエディションは、ついに2020年の平均成約価格が当時の新車価格(53万3000円※本体価格)を超えてしまった。もちろん、小売ではプレミアム価格になってしまっているだろう。

2007年6月に発売されたエストレヤファイナルエディション。2020年の平均成約価格は58万3000円、70万円のプライスが付く取引もある。

この流れから、近年生産終了になったセロー250ファイナルエディションやSR400も同様の動きを見せるだろうと予想される。余談になるが、CB400SFは年間計画台数に達したということで2021年モデルの注文受付は終了している。こちらも生産終了の噂があり、それも要因となって注文が積み上がったのかも知れない。

あるバイク買い取りおよび販売会社からは、「2020年夏以降の小売りは絶好調でバブルの様相」との声も聞こえてきており、バイクはブーム期と言える加熱ぶりを見せているのだ。

取材協力はオークネット・モーターサイクル代表取締役の福田博介氏。1999年からオークネットで4輪事業に携わり2015年から現職。

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