個人的思い入れ全開で選ぶ5台!

今回のテーマは「今欲しい絶版名車5選」。うーん、こういうのを考えるのはとても楽しいのだが、いっぽうで悩ましく難しく(そしてちょっと恥ずかしく)もある。“絶版”であるからして、対象になるのはおおむね7090年代のモデルだろう。まさにバイクの黄金時代であり、その時期に登場した数多の名車の中から「5台」を選ぶのはめちゃ大変なのである。

なので、ここは完全に“恣意的に”、つまりカワニシ個人の好みや思い入れ全開で選ばせてもらおうと思う。先に“ちょっと恥ずかしい”と言ったのはそのことで、5台を選ぶときにどうしても自分の趣味嗜好などがモロバレになってしまうのが、若干気恥ずかしくもあったりするのだ。

……なんてことはまあ、どうでもいいか。とりあえずカワニシが思い入れ全開で選ぶ、ホンネの「今欲しい5台」を発表させていただきます!

カワサキGPZ900R

カワサキGPz900R

1台目は直球ド真ん中の「欲しい!」である。これを挙げた時点ですでにおわかりかもしれないが……。そう、1967(昭和42)年生まれのわたくし、『トップガン』に多大なる影響を受けた者なのです。ハタチのときに限定解除し、本当は“Ninja”が欲しかった。だが当時900Rは逆輸入車として人気絶頂。中古でも100万円は下らず、貧乏大学生の自分にはとても手の届く存在ではなかった。そこで購入したのが排気量違いの日本仕様「GPZ750R」。こっちはなんと中古で38万円だった。ザラザラっとした感触で回る水冷4発はとても気持ちよく、ナナハンでもそれなりに満足はしていたものの、とはいえアタマにはいつも「900」の存在があった。以来、「いつかトム・クルーズになる!」の夢はずっとココロに秘めている。84年から2003年まで、長きにわたって作られたモデルだが、とはいえそろそろ程度のいい個体も減ってきているし、じっさい価格もかなり上がってきている(汗)。このままではオレの“いつか”は一生来ないゾ……と焦るこの頃なのである。

ドゥカティ900SS

ドゥカティ900SS2台目は内角高め直球ストライク。ちょっとでも甘い球が来たらカキーン!と打ち返すぜ、とココロに決めている1台、ドゥカティ900SS。ドゥカのSSSuper Sport)は70年代から現在まで歴代モデルがあるが、欲しいのは75年から82年まで生産されていた初期型だ。丸目ライトにロケットカウル、なが〜いタンクが特徴の超カッコいいあのSSである。SSについては、Ninjaのような明確な憧れの“原点”はないのだが、とにかくあのスタイルに「惚れた」としか言いようがない。ちなみにMHR(マイク・ヘイルウッド・レプリカ)のような役モノではなく、スタンダードなモデルでよい。これまで雑誌の取材や撮影で何度か乗ったことはあるが、決して乗りやすいバイクではないし、当時は一級のスポーツバイクだったとしても、今乗ってその性能に感動するというわけではない。それでも「あのバイクを手に入れたい」という気持ちは高まるばかり。たぶん手に入れてもほとんど乗らず、“盆栽化”するのはわかっている。それでもいいので、ほしい。

ヤマハSR500

ヤマハSR5003台目は「あいつと、もう一度」パターン。ヤマハSR500である。既出の2台に比べるとグッと現実的な気もするが、とはいえ生産中止から20年、数も少なくなり、価格的にもハードルが上がってきている。だからこそ「今欲しい」なのである。My青春時代を過ごした80年代、世の中は“レーサーレプリカ”全盛期だったにも関わらず、なぜかシングルorツイン好きというシブ好みの若者だった私。初めて買ったヨンヒャクは初代ヤマハSRX400。兄貴分のSRX600もあったがチューメンしかなかったのだ。それゆえ当然のごとく600に憧れた。その思いは後にSR500に向かう。400には目もくれず一択で500。そして限定解除した後、もちろんSR500を手に入れた。当時、500はあまり人気がなく(限定解除が必要なうえ、見た目400と変わらないので威張りも効かないから)、価格も安かった。しかしSR500、乗ったらすごくヨカッタ! 400と比べ、トルクおよび鼓動感の差は明確で、ダッダッダッ!と後ろ足で地面を蹴るような走りは500ならでは。ちなみにその後、排ガス規制対応を受けたSR400も買ったのだが、なんだか物足りなく、1年ほどで手放してしまった。だからこそもういちど付き合って、かつての“彼女”の魅力を再確認したいのである。

BMW R1150R ロックスター

BMW R1150Rロックスター

4台目は変化球。それもフワフワと揺れて落ちるナックルボールぐらいクセの強い変わり種だ。BMWの「R1150Rロックスター」である。きっと「ん?それどんなバイクだっけ」となる人も多いだろう。BMWには“ボクサーツイン”こと水平対向2気筒エンジンを積む「ロードスター」というシリーズが代々あるのだけど、2003年に発売された「ロックスター」は、そのバリエーションモデルだ。丸目2灯の個性的な顔つき、フラットなバーハンドル、艶消しブラックを基調としたカラーリング。つまりBMW流の“ストリートファイター”だったのだけど、おカタいブランドイメージとのギャップが大きかったのか、いわゆる不人気・短命モデルとして終わってしまった。なにしろ名前が“Rockster”である。イメージの若返りを狙ったのだろうが、頑張りすぎたか(汗)。しかし、当時試乗したときの印象はとてもよかった。下から上までモーターのように淀みなく回り、どこからでもぶ厚いトルクを紡ぎ出すボクサーツインと、アップライトで自在感のあるハンドリング。そして抜群の安定感がある足まわり&ブレーキが相まって、運転が上手くなった気がした。かなりヒネリの効いた名前とルックスも嫌いではなかった。今や相当希少なモデルになっているだろうが、もし売りモノがあれば“底値”間違いなしだろう。レア車好きにはオススメだ。

カワサキ650RSW3

カワサキW3

さて「今欲しい絶版名車5選」、トリはこちら。カワサキの“ダブサン(W3)”こと650RS。あのゼッツーと同じ1973年にデビューした、もはや“ヴィンテージ”の領域にある絶版旧車だ。そしてこのW3は僕にとっては特別なバイクなのである。なぜなら自分のバイクライフの原点と言える、片岡義男さんの小説『彼のオートバイ、彼女の島』に登場するモデルだからだ。往年の英国車をイメージさせるオーセンティックなデザインの車体に、650ccのバーチカルツイン(直立2気筒)エンジンを積むW3は、じつは登場したときから“ちょっと古かった”らしいが、その古めかしさが、今や10周ぐらい回ってカッコいい。そしてじつはW3最大の魅力はその排気音かもしれない、と思うほど音がいい。……と、ここで告白すると、「今欲しい」と言いながら、じつはこのW3を1年前に手に入れてしまったのです……(汗)。いや、とてもいい個体と、縁あって出会ってしまったもので。これはもう、一生乗る所存です。

“いつか”と言ってる時間はない !?

思った通り、5台を選んでその理由を述べることは、自分のバイク史を語るのと同じことになってしまった。とはいえ挙げた5台は僕の40年近いバイクライフの中でひときわ心を惹かれたモデルたちなので、総じて“いいバイク”であることは間違いないと思う。だがひとつ問題は、“いいバイク”というのは時間の経過とともに値段が上がってしまうことだ(ロックスターは当分大丈夫そうだが)。だからこそ本当に欲しいバイクがあり、よい出会いがあったなら“今”手に入れるべきなのだ。最後に僕と同世代の方々に向けて一句。「“いつか”って 言ってるうちに 歳とっちゃうよ(字余り)」。

カワサキW3

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