考えてもみてください。キレイに4つ並んだ直径50㎜ほどのピストンが混合気の燃焼によって想像を絶する勢いで上下運動させられ、クランクシャフトを1秒間に270回転近く(!)ブン回すことにより、“ウマ45頭分”の仕事量を生み出している……。まさしく異次元感たっぷりな精密機械に心躍らないバイク乗りはいるでしょうか、いやいまい(反語法)!
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日本のお家芸たるエンジン形式。その最小排気量版!
カワサキの誇るスーパークオーター(死語?)、ニンジャZX-25Rの登場により一躍話題を集めた“250㏄並列4気筒”というエンジン形式。
筆者のような昭和40年代オトコからすれば、そのワードを耳にすると空前絶後のバイクブーム後半、1986年あたりから続々と登場してきた4ストローク250レーサーレプリカ群が真っ先に脳裏へと浮かび上がります。
ヤマハFZR250、ホンダCBR250RR、スズキGSX-R250、カワサキZXR250 etc……。
どの車両も今なお人気が非常に高く、往年の輝きっぷりをYouTubeなどで知ったナウなヤングたちが「いつかゼッテー自分のモノにしてやるぅ!」とアルバイトや仕事に燃えている姿も各種SNSで数多く拝見することができて頼もしい限り。
そんな250㏄4気筒エンジンを搭載したバイク、一番最初はどこのメーカーのどんな車種だったのか?
全世界に視野を広げると実はあの会社が……!?
このあたりは私がバイク雑誌編集部員時代に大変お世話になった、超博識ライター宮﨑健太郎氏がまとめられた素晴らしいウェブページ(コチラをクリック)がございますので、是非ご覧ください。一読するだけで“250へぇ”は確実なこと請け合いです。
変態的(ほめ言葉)に凄かった1980年代初頭のスズキ
さてさて、世界に冠たるジャパニーズバイクメーカーが生み出した初の量産公道用250インライン4に話を戻しますと、記念すべきパイオニアは1983年3月にスズキが放った「GS250FW」でございました。
水冷機構を採用した車種すらまだ物珍しく、周りを見渡せば空冷のツインと単気筒が圧倒的な大多数を占めていた軽二輪市場に突然舞い降りた驚異的な存在。
そりゃぁもう発売開始と同時に話題沸騰☆人気爆発、バックオーダー入りまくりになる……と思いきや非常に静かな滑り出し。
それもそのはず。
ほぼ同じ時期に市販車世界初のアルミフレームを採用し、250㏄クラスで前人未踏の45馬力を実現してデビューした同社の2ストロークレーサーレプリカ「RG250Γ」にライダーの視線は一極集中していたのであります。
GS250FWは排気量を考えると驚きの4気筒ではありましたが、前年に登場して大ヒットしていたホンダ「VT250F」の35馬力を1馬力だけ上回った慎ましやかな36馬力という最高出力や、絶妙に微妙なスタイリングなどが相まって、イケイケドンドンなメインストリームに乗り損なってしまったところが残念といえば残念でした。
それでもGS250FWを手に入れた人たちの声を集めた雑誌記事を読めば「吹け上がりの軽やかさが印象的」、「スクリーンの角度が適切で高速巡航でも非常に楽」などと高評価が続々。
スペック至上主義では推し量れない魅力を持つモデルから、日本の250インライン4伝説はスタートしたのです。
250インライン4の“新章”を切り拓いたヤマハの秘密兵器
以降、スズキが孤軍奮闘するもパワフルな2スト勢とVツインを積んだ4ストの雄、VT250Fが圧倒的な人気を博していた当時、「やっぱり250㏄という排気量で4気筒なんてメインストリームにはなりえないんだよ」なんて妙に上から目線だった田舎の中二病高校生(←筆者)のドギモを抜いたのが、1985年4月に出現したヤマハのスーパーウェポン「FZ250フェーザー」でした。
4ストながら超高回転域までブン回すことにより2ストレーサーレプリカ群に肩を並べる最高出力45馬力を発生させたエンジンと、今見ても非常にスタイリッシュなデザインとの融合には悪友たちも大騒ぎ。
丸坊主の頭を突っつき合わせて教室にこっそり持ち込んだバイク雑誌を読みあさったことが、昨日のことのように思い出されます。
カタログをせしめようと通学路途中にあった小さなバイク屋へ寄ったら、速攻で購入して慣らし運転を3日で終わらせたご近所でも評判の二輪好きアニキのFZ250フェーザーがちょうどオイル交換を終了したところ。
「ようやくレッド(ゾーン)までブチ回せるけぇ、ぶち嬉しいのぅ」とアニキが空ぶかしを始めたとき、マフラーから吐き出された金管楽器のように美しく甲高い音色は今もってハッキリとした記憶として心へ刻み込まれております。
また4メーカーによる熱い250インライン4バトルが見たい!
当然のごとく大ヒットモデルとなったFZ250フェーザーは2年も経たないうちに丸目2眼のフルカウルという生粋の4ストレーサーレプリカスタイルを身にまとった「FZR250」へとメタモルフォーゼ。
さらに人気が加速していったことで、ホンダをスズキをそしてカワサキまでを同ジャンルへ追従させていくことになります。
1980~1990年代に燃え上がった250インライン4バトルの最後発メーカーだったカワサキが、2020年代に同形式エンジンを復活させることになろうとは、当時の誰ひとりとして想像できなかったことでした。
かくいうニンジャZX-25Rは登場から3年目となる2023年モデルで大幅なアップグレードを果たし、最上級の「RR」グレードも誕生するなど着実な進化を遂げています(※海外仕様。近日発表の日本仕様でも同様の変更がなされる予定)。
逆説的な言い方になりますけれど、ニンジャZX-25Rが売れれば売れるほど他メーカーの250インライン4復活が近づくのかもしれません。
基本的に厳しくなる一方の環境諸規制へ対応していくためには、さまざまな対策が必要となり、それらはコストアップ……つまり販売価格上昇へ直結していくもの。
バイクは思い立ったときが一番お買い時なのです! 買うのはいつ? 今でしょ!(古い)
全国300店舗超のレッドバロンでもニンジャZX-25Rは新車購入できますので、近くのショップへお話だけでも聞きに行ってみましょう(冷やかしでも大歓迎とか)。
あ、それでも「やっぱり往年の4スト250レーサーレプリカが欲しい!」という初志貫徹ライダーにおかれましては、レッドバロンの販売する良質な中古車なら1980年代のモデルでもアフターサービスの心配はご無用。ぜひお近くの店舗にてイントラネット検索システムで豊富な在庫を確認してみてください!