レッドバロン浦和東でスーパーカブ110を購入してから約3週間。あまり乗れていないけど、ようやく走行100kmに届きそうなので、現時点のインプレッションを書いてみたい。やっぱりカブはイイ!

クラッチレバーはないけどギアチェンジがオモシロイ

納車されてから、近所をブラブラしてみたけど、もうそこから楽しい。数日後、都内で取材があったので、慣らし運転を兼ねて往復70kmほど走行した。
ちなみに“慣らし”は走行距離500kmまで60km/hに抑え、急加速や急ブレーキに急なシフトダウンを避ける。スーパーカブ110は下道しか走れないので、最高速度は理論上(?)60km/hで問題ない。
また、レッドバロン浦和東の村上店長によると、「なるべくミッションは4速とも万遍なく使ってください」とのことだった。

初めてカブを所有する私だけど、改めて思うのはギアチェンジの新鮮さ。
ご存じの人は多いだろうが、4速ロータリー式(50は3速ロータリー式)は、クラッチレバーの操作ナシで変速できる(というかレバー自体がない)。シフトペダルの前側を踏み込むとシフトアップ。後ろ側を踏むとシフトダウンして、停止中だけ4速からニュートラルに入る。なお、走行中にシフトアップしても4速のままなので安心。たまに幻の5速に入れてしまう(笑)。

↑前側を踏むとシフトアップ、後ろ側を踏むとシフトダウンする。シーソーみたいに動くので、“シーソーペダル”ともいう。


一般的なクラッチ付き+リターン式のバイクとは、ペダルの動きが逆なので、頭を“カブ脳”にする必要があるのがオモシロイ。一度、カブに乗っているのを忘れ、シフトアップすべき場面でシフトダウンしてしまい、盛大にウォーンと吹かしてしまったのはナイショだ。

また“クラッチ操作”がオモシロイ。
クラッチレバーがないカブだけど、実はクラッチを使うことができるのだ。シフトペダルの踏み始めで一旦クラッチが切れ、そのまま踏み込むとギアが変わる。ここで踏み込んだままにしておくとクラッチが切れた状態を維持でき、ペダルを戻していくと再度クラッチがつながる仕組みだ。
特にシフトを3→2速または2→1速に落とす際、強いエンジンブレーキがかかる。そこでシフトペダルを踏んですぐに離すのではなく、ペダルを踏んでクラッチが切れた状態にしたまま、スロットルで少し回転を上げて合わせながら(タコメーターはないので勘で)半クラッチを使うようにペダルをジワッと離す。すると、エンブレの衝撃もなくスムーズに変速できる。
これを繊細な操作ができる手ではなく、かかとでやるのだから少々コツが要る。

さらにロータリー式のナイスなポイントとして、クツが傷みにくいのも大きい。シフトペダルで靴の甲をボロボロにしたことがある人は多いと思うけど、ロータリー式はシフトの上下とも靴底でできるので靴にやさしいのだ。

↑お気に入りのブーツ。一般的なリターン式バイクに乗っていたら、甲の縫い合わせた部分が潰れてしまったが、カブなら遠慮なく履ける。

 

↑ヘッドライトはLED! 真っ暗な道はまだ走っていないが、光量は十分。ロービームで上側(写真)、ハイビームで上下とも点灯する。

ノンビリ走ってマッタリ癒される

これまで何度かスーパーカブ系のバイクを試乗してきたけど、特に110系は淡々とどこまでも走りたくなる味わいがある。
個人的にバイクに乗ると、ついつい飛ばしたくなる方だけど、コイツは違う。「ドゥリューン」という独特なサウンドとともにまろやかに加速し、振動も相当回さない限りほとんどない。さらに、衝撃を吸収しやすいスポークホイールとソフトなサスが相まって、乗り心地もやわらかい。飛ばすよりノンビリ走るのが似合うし気持ちいいので、「ゆっくり行こうか」という気分になる。
こうした感覚はハーレーにもあったけど、カブはビッグバイクにありがちな“重い車体を扱う”ことに伴う緊張感が皆無なのもポイントだ。狭い道やちょっとしたダートでも何とかなる気がしてくる。
とはいえ、決して遅くはなく、テンポよくシフトアップしていけば60km/hに割とすぐ到達。一方、2速で発進できるほど極低速では粘る。
今さら私が言うまでもないけど、さすが世界のカブ。たった8psながら柔軟な出力特性だ。

久々にドラムブレーキの車両に乗ったけど、これも今となってはなかなか新鮮だ(笑)。ディスクブレーキに慣れた体には、初期タッチの効力が弱く感じるけど、いきなり効力が立ち上がって驚くことがない。もちろん握り込んでいくとしっかり効く。ドラムブレーキの車両は今やかなり少ないので、味として楽しみたい。

↑貴重なドラムブレーキ(前後とも)。フワフワした初期タッチながら、握り込めばしっかり効く。

ヒラヒラしたコーナリングが楽しい

今までさほど意識してはいなかったけど、ハンドリングが軽やかで曲がるのがとても楽しい。
車重99kgと軽いのもあって、体をイン側に動かしただけでグイっと舵角がつき、さらにステップワークや逆操舵を使うとスパッと車体が寝てくれる。自転車の感覚に近い。それでいて、前後17インチのせいか、倒し込みから旋回中もクセがなく、安心だ。ただし、その分、横風などの外乱は受けやすいと思う。
なお、クロスカブ110に試乗した経験もあるけど、スーパーカブ110の方が着座位置が低い(シート高が49mm低い)ので、全体的に挙動はより穏やかだ。

カッコイイ、カッコイイ、カッコイイ!

これまた今さらながら、とにかくカッコイイ。
流線形の伝統的なフォルムはもちろんのこと、ここまでメッキが美しいとは思わなかった。

↑レトロ風に加工した写真。こんなのもよく似合う。


この輝きを少しでもキープするために、納車した当日に防錆剤を塗っておいた。

↑用意しておいた防錆剤を塗布。ホイールはウエスに吹いてフキフキ。見える部分はもちろん、リヤキャリアの裏側も重点的に塗っておきました。

 

↑ちなみにリアキャリアは表面が梨地加工されていて、サビに強いはずだ。


周囲の人間からも評判がいい。意外だったのは妻の反応だ。
妻は2輪免許を持っておらず、バイクもクルマもほとんど興味がない。今まで私の愛車に一切無関心だったが、カブを見た瞬間から「カワイイ!」とお気に入り。乗った後に「ちゃんとカギをかけたのか?」と心配している。今までこんなことはなかった。

話を訊いてみると、'80年代、中学生の頃にカブが出てくるバイク小説『風より元気!!』(三好礼子 著)を読んで、実は昔からカブに憧れていたのだとか。知り合って20年になるけど、初めて聞いた……(夫婦仲は大丈夫……たぶん笑)。

加えて、こんなエピソードも。道ばたで防錆剤を塗っていたら、犬の散歩をしていた30代ぐらいの男性が「滅茶苦茶カッコイイですね! これ普通のカブなんですか?」と声をかけてきた。
これも初めてのケースだ。さすが世界のカブ、一般の人にもアピールする普遍的な魅力がある。

ここからは、気になったことも書いておきたい。

混雑している街中やクルマが少ない道は何ら問題はないものの、制限速度以上に飛ばすクルマが多い郊外の道(外環自動車道と並走するR298など)ではやや不安を感じる。最高出力や車体の軽さが影響しているのだろうが、これは原付2種クラスだから仕方ないとは思う。

ギアの段数がわかりにくいのも気になるところ。シフトインジケーターのないバイク全般に言えることだけど、特にロータリー式のカブは混乱しやすい気がする。
新車でミッションの入りがまだ甘いのか、停止中にN(ニュートラル)を出そうとしてペダルを踏んでも出ない時がある。そのまま何速かわからない状態でノロノロ発進して焦る、なんて場面も。また、1速か2速に入れたつもりが3速になっていて、発進したら慌てて4速に上げてしまったりなんてこともあった。
後付けでシフトインジケーターをつける人が多いらしいけど、それもわかる気がする。

↑メーターはシンプル。燃料計とスピードメーター、積算計のほか、FI、ニュートラルのインジケーターがある。


とはいえ、魅力が勝りまくっていて、メチャメチャ気に入っているのは間違いない(笑)。
また進展があれば報告します!

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