田舎での暮らしは“雑草との戦い”である

過ぎ去った2021年を振り返りつつ、これから始まる2022年に思いを馳せるこの時期。

僕はといえば2021年は生活にとても大きな変化があった年だった。そう、夏からこの「ForR」での記事執筆が始まったこと!……も、そうなんだけど、さらに大きかったのは千葉県・南房総への引っ越し。そのあたりの経緯は「南房総がいざなう“2台持ち”生活」というコラムで書いているので、読んでいただけると嬉しいです!

南房総の家は、海から2kmの山の中。家の窓から見える風景は“ほぼ緑”というぐらいの自然豊かな環境で、これまで30年以上東京での生活を続けていた僕にとっては素晴らしいものなのだけど、いっぽうで都心の暮らしでは思いもよらなかった出来事もいろいろ起きる。そのひとつが“草との戦い”。我が家は賃貸住宅なのだけど、かなり広い庭があり、そこの草が伸びる伸びる。

南房総の家家の前にクルマが止められるんだけど、ね! “ほぼ緑”でしょ? この写真で見えてる範囲はわりと整っているのだけど、この画角の外はかなりの草ボーボー。借家なので大家さんに「草伸びちゃって〜」とお願いすれば業者さんを入れて刈ってくれるのだけど、夏場だと1ヶ月もするとまたボーボーになってしまうので、そんなにしょっちゅうお願いするのも憚られる。

というわけでこの夏、草刈り経験のある友達に来てもらって、“草刈り大会”を催したりもしたのでした。なぜなら僕はまったく草刈り経験がないので、どんな道具が必要で、どんなふうにやったらいいのか、ぜんぜんわからないのです(汗)。

草刈り十字軍この夏、我が家に来てくれた“草刈り十字軍”たち。ちなみに時期は7月。最高気温30℃超えのアッツイ日だった。僕が持ってるのは草刈り用の“鎌”。これもメンバーから借りたものだが、まずは「自らの手で刈るのが基本」ということで、機械に頼らずやることに。

草刈りこんな感じでかなりガッツリやっていました。鎌で刈るのは、力任せにやってもダメで、鎌を振る角度が大事。地面と平行に、常に同じ軌道で、軽くスイングするほうがいいみたい。ある意味野球とかゴルフのスイングとも通じるところあり? いずれにしてもかなりの運動量で、炎天下ではこまめな休憩、水分補給をしないとヤバい感じ。

草刈り家の庭だけじゃなく、近所の道路脇に生える雑草なども刈る。田舎で暮らすと、その地域のためにちょっとでも“役に立ちたい”という気持ちも芽生えたりするのです。って、その前にオレが目いっぱい友だちの協力を仰いでますが……。

HONDA POWERで草刈りを!

と、そんな“雑草との戦い”の夏を過ごして以来、気になってしまったのが草刈機、正式には“刈払機”というらしい。ホームセンターにいって見てみると、2ストローク、4ストローク、電動などいろいろなタイプがあってなかなか面白い。それにしてもまさか自分がホームセンターの農機具売り場でガチに品定めをするとは、思ってもみなかった……。

ちなみに館山のカインズホームを見たところ、刈払機のメーカーはリョービ、マキタ、ゼノア、共立、丸山、シングウ、新ダイワ……などなどまったく知らなかったブランドも含めていろいろあるのがわかった。そして家に帰ってパソコンで検索してみると「ホンダ」の刈払機がヒット!

ホンダ刈払機そういえばホンダがつくっているのはバイクやクルマばかりじゃない。20年ほど前にザ・ハイロウズの『日曜日よりの使者』をBGMにホンダのさまざまな製品が登場する「Do you have a HONDA?」のCMシリーズがあったのを思い出した。あれにたしか♪シャララ〜ラと、ホンダの耕うん機とかも登場してたよな。

ホンダのウェブサイトにも「信頼の4ストロークエンジン」とあるが、たしかにそうだ、そうだよな! 我われバイク乗りなら絶対的な信頼を置いているはずのホンダ・エンジン。せっかく刈払機を使うなら「Powered By HONDA」を使ってみたい!というのがライダーの心情である。しかもわたくし、ハンターカブを所有しております。同じホンダ製4スト・エンジンを積む2台を並べてみたいというのも、また心情。

そこでバイク関係の“ツテ”を使いまして、ホンダの刈払機を試乗ならぬ“試用”させていただくことに。借りたのは4ストロークエンジンを使用する「UMK425H」(価格57,530円/税込)。赤い本体に「HONDA」のロゴ。うーん、テンションあがる! ちなみに刈払機をはじめ耕うん機、芝刈機、発電機、高圧洗浄機……などなどのいわゆる“働く機械”系をホンダでは「パワープロダクツ」と呼んでいる。

ホンダの刈払機UMK425Hのエンジンは空冷4ストローク25cc OHC単気筒。最高出力は1ps。乗って走るわけじゃないので、パワーはこれで十分なのだろう。乾燥重量は5.3kgで、持ち上げるとかなりズシッと重く感じる(刈払機において軽さという点では2ストローク・エンジンのほうが有利らしい)。しかし赤いハンターカブと赤い刈払機、似合うなあ〜(シツコイ)。

ホンダの刈払機エンジンの始動はチョークレバーを引き(冷間時)、スターターのグリップを勢いよく引き上げる。カートや発電機の始動時に見るアレである。引き上げると、ストトトト……と軽やかな排気音を上げて軽やかにエンジンが回り始める。んー、やっぱりなんかバイクっぽいな。

ホンダの刈払機バイクのアクセルにあたるのはこの黄色いスロットルトリガー。左側の赤いスイッチがエンジン停止のキルスイッチだ。トリガーを操作してエンジン回転数を上げ下げする感覚は、バイク乗りならすぐ掴めると思う。

燃料燃料はガソリンなのだが、「どこで買えば?」と思っていた。近ごろはガソリンスタンドでは携行缶などへのガソリン販売の規制が厳しくなっていて、身分証明の提示が必要で、けっこう面倒なのだ。だがホームセンターの農作業機器売り場に行くとその疑問は解消。このような「管理機用燃料」というのが売っていた。2リッターで698円だからレギュラーガソリンに比べるとバカ高いようだが、専用のガソリンだしそもそも燃費は超イイだろうし(1年間保存が効く)、じっさいには高いとは感じなかった。あとはエンジン・オイルも必要だが(80cc)これもホームセンターで専用のものを買って注油した。

刈払機も“安全”と“エコ”がトレンドだった

ホンダの刈払機

いよいよ草刈り開始、というところで気づくのが、アレがない!ことである。アレだよアレ。そう、草を刈る肝心の“刃”がないのである(ちなみに丸型の刃のことはチップソーというらしい)。その代わりにナマズのヒゲのような紐が2本、ピロ〜ンと……。じつはこれ「ナイロンコードカッター」といって、強靭なナイロンコードが高速回転することにより、草をぶった切るという方式なのである。そのメリットはもちろん、刃がないのでケガや事故のリスクが低いということ。金属刃の刈払機では、硬い草木を刈ろうとしたときに機械が跳ね飛ばされて、跳ね返った方向が悪いと自分や周りにいる人を傷つけてしまうことがある。また石やコンクリートに当たることで刃が折れ、その破片でケガをするケースもあるという。

草刈り

見た目にはなんとも頼りない“ヒモ”のようなのだけど、ブィーン、ブィーン!とエンジンを回すと、これが切れ味鋭い“エアー刃物”?になって、バッサバッサと草を刈ることができるから不思議だ。ナイロンコードは特殊な素材でできていて劣化しにくいので、チップソー式より長もちするというメリットもあるという。いっぽう比較的柔らかい草は刈れるが、硬くて太い草木は刈りにくいという弱点もある。うちの庭の草を刈るのにはまったく問題はなかったが。

ホンダの4ストロークエンジンをぶん回しながらの草刈りはかなり楽しかった。しかしパワープロダクツ界にも車輪界と同様“電化”の波が来ているようで、刈払機もバッテリー式の電動タイプが増えているようだ。ホンダもコードレスのバッテリー式電動刈払機をラインナップしているので、こんどはそちらを使ってみたいと思った。そしてもうひとつ、ホンダのサイトを見ていたらこんな気になるモノが!

ホンダ草刈り機なんと『Grass Miimo(グラスミーモ)』なるロボット草刈機/芝刈機!つまりロボット掃除機ルンバの草刈版である。すごいなあ。「自動運転」の流れは農作業機器の世界にもきてるのね。ただしこちら、価格は64万円ほど。バイク買えるね(汗)。

というわけでこのグラスミーモをはじめ、ホンダのパワープロダクツ、バイク乗り的に面白いと思うので、よかったらウェブサイト(https://www.honda.co.jp/power/)見てみてください。

草刈り

 

 

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