僕が2拠点生活をはじめた理由

「2拠点生活」、「デュアルライフ」という言葉をあちこちで聞くようになった。都市部に住居や職場のある人が地方にも住居を持ち、2つの拠点を行ったり来たりしながら暮らす生活スタイルのことだ。違うパターンもあるだろうが、いま話題に上がる「2拠点生活」や「デュアルライフ」とは、概ねこのようなスタイルを指している。

僕も半年ほど前から、東京と千葉県・南房総市での2拠点生活を始めた。もともとは都心のマンション住まいだったのだが、ふと思い立って南房総の賃貸住宅を借りたのだ。なぜ“南房総”だったかと言えば、まず僕は千葉県育ちで、海が好き、そしてもちろんクルマやバイクで動くのが好き、ということがベースにあった。だから若い頃からよく千葉の海に遊びに行っていたのだが、歳を重ねてからもそれは変わらず、毎年夏になるとしょっちゅう房総の海にドライブやツーリングに出かけていた。そうこうするうち「いつか房総に住んでみたいな」と思うようになっていたのだ。

南房総ツーリング

仲間と出かけた房総ツーリングで。海岸沿いにバイクを止められるポイントが多いのも房総の魅力。

 

それを行動に移すことになった大きな理由は、東京湾アクアラインの開通や館山自動車道の延長などにより、都心から房総半島へのアクセスが劇的によくなったこと。僕の東京の住まいから南房総の家までは、渋滞さえなければクルマで1時間10分ほどだ。道も快適で、移動の負担やストレスはとても少ない。

加えて大きかったのは生活コストの安さだ。たとえば湘南などと比べると房総は圧倒的に“田舎”であり、その恩恵(?)で、僕の借りた物件は高速のインターチェンジからクルマで5分、海までも5分というアクセス、築15年ほどの2DK(50㎡超)で、家賃は港区の月極駐車場と変わらない金額である(もちろんこちらはクルマの駐車スペースだって付いている)。

 

南房総市のサイン

南房総市は地図でいうと館山の上、アクアラインと館山自動車道を使えば都心から1時間10分〜30分ほどというアクセスのよさ。

 

としまやチャーシュー弁当

房総にチェーン展開する「としまや」のチャーシュー弁当。TVでも紹介され、これを目的にツーリング、ドライブに訪れる人もいるほど。

生活のリズムが変わった

そう、僕の2拠点生活の特徴は、東京と南房総、どちらも“賃貸”ということだろう。2拠点とか田舎暮らしというと、いわゆる別荘ライフ的なものを想像し、「ハードル高い」「いまの自分じゃムリ」と思うだろうが、僕の場合、東京都心だったら駐車場代をもう1台分借りるぐらいの金額だった(都心の駐車場代、高すぎるな……)からこそ、踏み切れたということはある。

というような理由から、僕は昨秋、ふと2拠点生活の実践を思いつき、ウェブサイトで下調べしたうえで地元の不動産屋を訪れた。で、その日紹介してもらった物件のうちの1件に即日決めた。我ながらかなり衝動的な“とりあえず2拠点生活”のスタートだった。

南房総の家

僕が借りた南房総の家。海からは2kmほどだが、森の中にある一軒家、という風情。

 

平日は東京、週末は南房総、というのが基本パターンだが、週末に仕事や用事が入り、行けないときもある。そうなると「早く行きたいな……」と南房総への思いが募ってくる。海や山が近くにある生活が恋しくなる。南房総では、天気のいい夕方には必ず夕陽を見るため海岸に向かう。夜になるとあたりは真っ暗になり、やることがなくなるので自然に早く寝るようになる。そうすると朝は早く目が覚め、東京に居るときとは生活のリズムが変わってくる。

2拠点生活がもたらした「2台持ち」

そして2拠点生活により僕の“カーライフ”にも変化が起きた。これまでの愛車はちょっと旧い(1991年式)アルファロメオ・スパイダーだったが、南房総で過ごすようになり、やはりこの土地、環境にマッチしたクルマが欲しいと思うようになったのだ。こちらは基本、道幅が狭く、山に入れば舗装の荒れた“酷道”があり、小さな海岸に行けば、砂の積もった道を走ることもある。そこでふと僕のアタマに浮かんだのはスズキ・ジムニーだった。小さくて頼りになる軽のヨンク。見た目も大いに好みだ。

スズキ・ジムニー

僕が購入したのはジムニーのカスタムパーツ・メーカーとして知られる「アピオ」のコンプリートカー。

 

そして運よく、縁あって、ジムニーを譲ってもらうことになったのだが、いざ乗り始めると、ジムニーは田舎暮らしにおいては最高のクルマだった。小さな車体、ちょうどいいエンジンパワー、圧倒的な走破性の高さ。そして2台持ちに嬉しい維持費の安さ。僕の2拠点生活においてはどんな高級車もスポーツカーも敵わない。2拠点生活は僕に思いがけず“クルマ2台持ち生活”をもたらすことになったのだ。

スズキ・ジムニー

海岸沿いの道や荒れたダートにも躊躇せず入っていけるのはジムニーならでは。

そして、あのバイクがほしくなった…

そして……。新しい暮らしはなんと、僕のバイクライフにも変化をもたらしそうだ。いま所有しているのは1973年式のカワサキ「W3」と2004年式のベスパPX200(2ストローク、ハンドシフトやつ)なのだが、四輪と同じ理由から、コンパクトで小回りがきいて、田舎道やダートも苦にせず走れるバイクがあれば……と思い始めてしまった。

ベスパPX200

愛車の2004年式ベスパPX200FL2。2ストロークエンジンをハンドシフトで操るのが楽しいイタリアン・スクーター。

 

アタマに浮かんだのは、そう、いま人気の“ハンターカブ”、ホンダCT125だ。四輪におけるジムニーと同様、南房総においては最高の機動性を発揮してくれるに違いない。ただし125ccにしては少々高い値段(税込み44万円!)と、大人気ゆえ半年待ち?とも言われる納期の長さがネックではあるが……。

 

ホンダCT125カタログ

いま大人気の“ハンターカブ”ことホンダCT125のカタログを眺める日々…。

 

とはいえすでに雑誌やネットなどでCT125の情報をチェックしまくる日々。陥落の日はそう遠くない……と覚悟している。果たして2拠点生活はバイクライフも2台持ち……いや3台持ち(汗)へといざなうのか? この成り行きは引き続き報告していきますので、乞うご期待?

南房総の家の前には桜の木があり、自宅から花見ができる。

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